西海原子力発電所/輸送 (講談社文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062902236

作品紹介・あらすじ

原子力発電所をかかえる閉鎖的な地域社会のなかで起きた一件の不審火。
原発の危険性と経済的依存との葛藤を劇的に描きつつ、
〈原爆文学〉と〈原発文学〉とを深く結びつけた記念碑的労作「西海原子力発電所」。
チェルノブイリ原発事故を受け、核廃棄物輸送事故による被爆と避難生活が
もたらした生活の破壊と人間の崩壊を予言した「輸送」。
3.11原発事故を経験した現在から、先駆的〈核〉文学はいかに読み解かれるか。

感想・レビュー・書評

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  • 『西海原子力発電所』執筆中にチェルノブイリ原発事故が起こり当初の構想を変えたという。現実の惨状を前に変えざるをえなかったのであろう。原発の破壊力のイメージはイメージを超えて眼前したのだから。原発殺人事件とも題されそうなミステリー調の作品となっている。ここで表出しきれなかった悔いが『輸送』を書かせる。事後の様子が大半を占めるこの作品は、被爆者の肉体と精神の破壊をあらゆる角度から切り出す。それぞれのエピソードに決着はない。ただ緩やかな崩壊が景色の中を漂う。そして現在も。この恐怖に抗わねばならぬことを自覚せよ。

  • ●アマゾンの説明
    原子力発電所をかかえる閉鎖的な地域社会のなかで起きた一件の不審火。
    原発の危険性と経済的依存との葛藤を劇的に描きつつ、
    〈原爆文学〉と〈原発文学〉とを深く結びつけた記念碑的労作「西海原子力発電所」。
    チェルノブイリ原発事故を受け、核廃棄物輸送事故による被爆と避難生活が
    もたらした生活の破壊と人間の崩壊を予言した「輸送」。
    3.11原発事故を経験した現在から、先駆的〈核〉文学はいかに読み解かれるか。

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著者プロフィール

井上光晴(1926.5.15~1992.5.30) 小説家。福岡県生まれ。高等小学校中退後、電波兵器技術養成所に通い、入営直前に長崎・城崎で敗戦を迎える。1946年、日本共産党に入党、地区常任となる。この頃から詩を発表。50年、日本共産党の「所感派」「国際派」の分裂により「所感派」から除名されるが拒否。同年7月、「書かれざる一章」を「新日本文学」に発表。53年、日本共産党を離脱。55年、上京し、本格的な作家活動に入る。70年より89年まで、季刊誌「辺境」(第一次から第三次)を刊行。77年、佐世保に文学伝習所を開設。その後、各地に文学伝習所が開かれることとなる。主な著書に『虚構のクレーン』『地の群れ』『他国の死』『心優しき叛逆者たち』『明日 一九四五年八月八日・長崎』『暗い人』など多数。

「2014年 『西海原子力発電所/輸送』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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