- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920070
作品紹介・あらすじ
中国は「開放的」、日本は「褻視的」である
風水・タオが教える「気」の満ちた空間での情交を夢みた中国人の身体観・宇宙観・肉麻観を読み解く
身体よりも象徴に、絵よりも文字に、性器よりも行為に、肉が麻(むずむず)する中国的感性は、独特の春画世界を創出した。屋外風の場所で、無表情(ニル・アドミラリ)かつ性差不明の男女が交合するのだ。老荘思想、房中術、煉丹術、園林術、纏足愛好、怪異趣味などが織りなす中国春画の不思議な文法(グラマー)とは? 日本、インド、西欧の春画との縦横な比較で、中国的快楽の源泉を探る。
中国美術でいうところの絵画、すなわち山水画、花鳥画、人物画などに、それぞれのグラマーがあるように、「低俗」な春画にもまた、しかるべきグラマーがあるはずだ。グラマーとは、たとえば「中国の山水画には絶えて地平線が引かれたことはない」といった素朴な基本原理(グラマー)のことである。そのグラマーのキーワードは、庭園と肉体にあると、私はかねてから考え、すこしずつ書いてもいた。それらの考えを新たに再構成し、書きおろしたのが本書である。――<「あとがき」より抜粋>
※本書の原本『肉麻図譜 中国春画論序説』は2001年、作品社から刊行されました。
感想・レビュー・書評
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中国の春画の男ってなんであんなヘンなんだ・・・と思ってたら、なるほど・・・。
なんかこう、日本人だからかな、
(いや日本人でも昔の春画「・・・・・・・???」ってなるけど)
中国の春画もそれはそれでこう、「・・・・・・・・・?????」ってなるな・・・
老人×老人の春画強烈すぎてお茶噴くかと思った詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2010-9-26
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"『西遊記』の翻訳およびその論理構造の追及をしごとの一本の柱"としている著者の、もう一本の柱たる中国人の空間デザインについての考察を春宮画(春画)から推し進めていったのが本書。房中術的思想や言葉からの連想を重んじ現実にはありえぬ体位なり表情でことに及ぶ中国春画の特徴は、中国神話の神々がとかく現実味の稀薄な観念的存在である点と相通じるものがある。暴論寸前の危うい論考も目につくが、〈序説〉であればさもありなん。P316のnirvanaを論じる箇所を読んでいて、PCから「Rape Me」が流れてきた符合に微笑。
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中国の春画は日本とは全く違っていたので驚きました。少しもいやらしくなく、絵画として鑑賞するとかなり稚拙。しかしこの本の解析によると、そこには中国ならではの易の思想や宇宙観が数多く隠されていて大変興味深く見ることができます。日本の春画は主に劣情を煽ることが目的ですが、中国の春画はむやみな射精を良しとしない「還精補脳」を理想とした房中術に基づいている。だから猥褻さは必要としないという仮説には納得させられました。盛りだくさんの内容で中国の歴史や古典の知識がないと厳しい面もありますが、奥深い世界を味わえる本です。
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その国の文化を知るのにはエロと食は外せないし間違いない(はず)
性教育の一環でもあったんだろうけど、馬の上でとかブランコ乗りながらとか、まあよく考えるなあと笑えてくる