- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062922043
作品紹介・あらすじ
〈東京〉は、いつ生まれ、どう育ったのか。
江戸の残照を映す下町と、下町文化。
近代化を担った山の手と、山の手文化。
二つのせめぎあいと融けあいを軸として、
1867年から1923年まで―明治維新から関東大震災まで――モダン都市・東京へと変貌するさまをたどり、
江戸の香りが失われてゆく〈原・東京〉の姿を愛惜をこめて描く。
谷崎潤一郎、川端康成、永井荷風、三島由紀夫らを英訳し、源氏物語の英訳を完成させるなど数々の日本文学を世界に紹介した泰斗による東京論・近代日本論の名著。
感想・レビュー・書評
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エドワード サイデンステッカー seidensticker 「 東京下町山の手 」
明治大正時代の東京の変化を捉えた本。下町文化の中心が日本橋から銀座、浅草に変化し、さらに 山の手が下町文化ごと取り込んだ変化について、著者が見出したのは 新しい変化を従来の伝統に取り込む日本人の姿勢であるように思う
江戸文化を継承し、経済、権力、文化の中心地として 台頭した銀座や浅草が、震災被害を受けながらも 復興による近代化を図ってきたが
経済、権力、文化の中心が山の手に移り、下町文化の栄光の時代が終わり、東京の共同体としての性格が失われるまで
「下町の中心は日本橋だった〜大政奉還以来大震災までの間に、下町は大きく変化していった〜江戸文化の消滅〜最初の現れが銀座の台頭」
浅草
江戸最大の歓楽地〜観音様、吉原、歌舞伎
銀座
*職人や小商人の町から、銀座大火により、新しい銀座へ
*首都不燃化〜銀座全域を赤煉瓦造りへ
「明治の革命は〜江戸の陰影を追い払ってしまった〜日本人の美意識の核心である陰影を捨て〜東京は明るい都市へ」
江戸文化
*江戸文化の本質=演劇性
*江戸文化の精髄=歌舞伎と遊里
*その遊里で過ごす優美な一夜は〜演劇としての側面を持っていた
*見世物は江戸文化の中心
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東京アンダーワールドつながり
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関西に住んでいる私は東京の土地鑑が無いので、巻頭の古地図を見ながらの読書でした。掲載されている写真に郷愁を感じました。坪内祐三氏も『靖国』で述べられていましたが、エドワード氏も「明治十二年、東京招魂社は靖国神社となる。江戸以来の伝統で、この神社もまた、尊崇の場であると同時に楽しみの場であって、境内に競馬場が設けられた。(中略)しかし境内では相変わらず、相撲の興行からお能の上演まで、種々さまざまの催しが続けられた。」と記されています。〇〇氏はご存じなのでしょうか。
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幕末から、関東大震災で壊れてしまうまでの、江戸/東京を描いている。
こういう、町のある時代を描き出していくとき、自分だったらどうするだろうかと思いながら読んだ。
どうまとめても、断片的になってしまうような・・・
どう並べても、行き当たりばったりになってしまうような・・・
結局時代順になってしまうのかな?
でも、サイデンステッカーはそうではない。
最初に初期東京の終焉から語り起こして、その始まり(明治維新)へ遡る。
でも、そこからは別に時代順というわけでもない。
細部のさまざまなエピソードは、知らなかったものも多くて、追っかけているだけでそれなりに楽しい。
でも、なぜかどういう構成なのか、その意図は何か、いまだにつかめないでいる。
引用されている文章の美しさが目を惹いた。
例えば、184~185ページにある、荷風の「日和下駄」の、雑草を称えた一文は、たしかにすばらしかった。
そういう、美しい文を集めるサイデンステッカーの鑑賞力のすばらしさが印象的だった。