- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062935814
作品紹介・あらすじ
妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷は、ある夜、コンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。中谷はその過去を辿ることになる。同じころ一人の青年が幼少期の「恩人」を探し出そうとしていた。三人の孤独が交錯し「家族」の真の意味を問い直す傑作ミステリー!
感想・レビュー・書評
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新野剛志著:「美しい家」
「煮詰まる」が「行き詰まる」のような意味に使われることはもはや誤用ではないのだろうか?
謎めいた書き出しに引き込まれて読み始めながら、わずか3ページで
「散歩は煮詰まったときにもちいる手軽な最終手段。」という文章にであってしまった。これは明らかに「アイデアが出ずにどうしようもなくなった状態」の意味で「煮詰まった」を使用していると考えられます。
さらに終盤に
「岩田は、錆びついた鋏の片割れを握りしめて佇む、若者を見上げた。」
という文章があるのだけれどこの場合2つの読点「、」は要るのだろうか??
読む時のリズムも壊す上にもしかすると意味も不明確になるのではないか?
子供の頃スパイ学校に入れられたという謎の少女との出会いから始まる、人間の業を軸にしたとても面白いミステリーなのだけれど、上記の2点のせいでこの作者と作品を素直に受け入れられなかった。
作品を世に出すにあたって「校閲」は上の点を見逃したのだろうか?
それとも、これは私の知識と感覚の間違いなのだろうか? -
妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷は、ある夜、コンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。中谷はその過去を辿ることになる。同じころ一人の青年が幼少期の「恩人」を探し出そうとしていた。孤独な三人が交錯し「家族」の真の意味を模索する傑作ミステリー!
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100タイトル献本キャンペーンでブクログさんからいただきました。
名前は知っているけれど、手を出したことのない作家さんです。
テーマは「家族」。
ほぼすべての物語は、それを構成する登場人物ごとにそれぞれの世界をもっています。読者はそれを神の視点からながめて、世界と世界の交わりを楽しむ。それをとても強く認識させる読み心地でした。
ひとりひとりの世界をよーく咀嚼させられた。だからこそ、後半で起こるひとつの事件は衝撃的でした。
あらすじの文面が比較的キャッチーで、登場人物たちのバックグラウンドも平坦とは言い難いものないのに、淡々と進んでいくストーリーに違和感を覚えている途中でいきなり事故った感覚。
でもそれは山頂ではなくて、まだ登り道なんですよね。
「家族」に怯え、「家族」に憧れ、「家族」に惑わされる。でも結果として「家族」とはなんなのか。
読者の家族感によって評価が大きく別れる本だろうなと思います。
新たな書き手と出会わせてくれたブクログさんに感謝しつつ、雰囲気の違いそうな「あぽやん」シリーズも読んでみたいです。 -
妻子と別れ一人暮らしの中谷は高校時代に行方不明となった姉を探し続けている。
中谷はある日酔った女性を助ける。
彼女が語った話と共通の過去を持つ青年。
三人の思いが交錯していく。
ストーリーの軸となる人が呆気なくドロップアウトしてしまい、軸を見失ったまま読み進めてエンディングとなったので、少し拍子抜けしてしまった。 -
作品の中で最も血が通ったように思えキャラクターに親しみを感じていた主役級の人間が、いとも簡単に殺されてしまったときの、
あの、待って行き場のない、苛立ちと焦燥を感じる不安定な物語だ。
作家という職業のナイーブさが、この主役級の男性は、物心ついたころからの家族の呪縛から成っていて、不完全な家族に感じる恐怖に雁字搦めにされて生きている。
私はもう少し家族について楽観的に考えているけれど、それは私の強さゆえではなく、一般的で中流の家庭に生まれた幸運ゆえだろう。
つかみどころのない、魅力的でもない登場人物ばかりで終わってしまうこの話を私は愛せないけれど、
家族ほど呪縛になる人間関係は他にはないのだという確信を新たにした作品だ。 -
妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷は、ある夜、コンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。中谷はその過去を辿ることになる。同じころ一人の青年が幼少期の「恩人」を探し出そうとしていた。三人の孤独が交錯し「家族」の真の意味を問い直す傑作ミステリー!
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新野剛志『美しい家』講談社文庫。
デビュー作の『八月のマルクス』と同じような路線のミステリー小説なのだが、『八月のマルクス』の面白さは無く、殺伐とした後味だけが残った。 -
あらゆる予測を拒絶する衝撃の展開。傑作ミステリー! 妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷はコンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは、幼いころスパイ学校にいたという記憶。作家はその過去を辿ることに―。「家族」を突き詰める傑作長編。