水鏡推理6 クロノスタシス (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.80
  • (32)
  • (68)
  • (62)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 583
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936118

作品紹介・あらすじ

過労死続出の闇〔ブラック〕官庁。腐った隠蔽体質に真っ向挑むノンキャリ女子!

大人気シリーズ第6弾!【本シリーズはどの巻からでも読めます!】

シリーズ史上、最も熱心に読んだ。そして翌日は、定時で仕事を上がった。―三省堂書店営業本部 新井見枝香

意外な事実のつるべ打ち。一冊の中に、どれだけネタをぶち込むのかと、唖然呆然。―文芸評論家 細谷正充

過労死のリスクを数値化して予防できる画期的新技術が、文科省研究公正推進室による最終評価段階を迎えていた。評価担当者・水鏡瑞希は周囲の反対を押し切り、財務省の若手官僚にまつわる実例を探る。ブラック企業並みの劣悪環境を野放しにする霞が関は変われるのか? 文科省官僚も注目する傑作ミステリー。

〔クロノスタシス〕
急に時計を見ると秒針が止まっているように錯覚する時のような、視点移動にかかる時間的を脳が埋めようとする現象。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『すべての不幸を踏まえて未来は築かれる。理想の実現は案外近いかもしれない』水鏡瑞希の国家公務員としての道義である。これまで研究不正を彼女の着眼点で暴いてきた。今回は過労死(Karoshi=海外でも通用)に切り込む。過労死リスクを数値化(PDG値)する最終段階で、本当に過労死した人がPDG値が高いのか?を究明するが、過労死した人が生きていたり、文科省主任、警部補、国立病院外科医部長の3者の不正は少しやりすぎだったかな?36協定の重要性を認識したのと、感度、特異度、ROC曲線まで言及するべきでした。

  • 「人の死なないミステリー」を売りにしてきたはずのシリーズで、何と「過労死」をテーマにした問題作。松岡作品のこの手のシリーズを、いつもだったら、「気軽に読める作品」を位置づけてきたが、今作はすごく考えさせられた内容だった。電通で起きた過労死をベースに、国家公務員の就業の実態に迫っていく。自分も国家公務員に近い職種で働きながら、転職し、一般の会社に入った時に抱いた違和感の謎が一気に解けた気がする。「国税で暮らしている」と言われる国家公務員の実態にスポットを当てたのは、とても勇気がいることではないかと思う。日本国民の性格ゆえに休みを取れず、「過労」に陥りやすい環境に警鐘を鳴らした一冊。シリーズものだけど、どの作品も1話完結のスタイルになっているので、いろんな人に読んでもらいたい。そして、今回、瑞希の相棒になった須藤には、シリーズ初の連続で次作にも登場して欲しい。

  • 公務員シリーズ。一旦区切りなのかな。過労死判定システムと公務員の過労死事件に纏わる話。社会保険労務士の勉強してますと、公務員が労働基準法の対象外なのは、割と有名です。
    ストーリーとしては、いつも通りエンタメ全開で楽しいのですが、今回はちょっとバカミスっぽいというか、仕掛けが大雑把な印象でした。前作くらいから、やや社会に物申す姿勢が結構出てきていて、やや取ってつけたような印象を感じました。

  • 過労死のリスクを数値化して予防できる画期的新技術の最終評価段階の報告書に関する調査をするために、ヒロイン・水鏡瑞希が財務省の若手官僚にまつわる実例を探る。
    今までのシリーズとは若干違い、研究の真偽を暴くという内容ではなく、研究の対象となった若手官僚の死の謎を解き明かすという一味違った内容になっていた。本書の前書きにもあるように、作者が過労死の根絶を強く願っているということがわかる。

  • このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
    とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。

  • 今作は、またまたひと味違います
    「過労」というテーマを設け、中盤まで読者には何一つ明かされず、後半に意外な展開の連続
    紆余曲折があっても、最後は収まるところに収まったようです
    シリーズ中、一番よかった

  • 過労死の危険度を測定できるという「過労死バイオマーカー」

    研究の是非を評価して3日以内に報告せよと指示された
    研究公正推進室の末席事務員水鏡瑞希とキャリアの須藤誠は
    自殺した財務省主計局の主査を調べるうちにおかしなことに気づく

    巧妙に張られた伏線とミスリードが回収されるみごとな結末に喝采

    「文科省のほうも、幹部の天下り斡旋問題でてんてこ舞いだろ?
     同情するよ。どこの組織にもあることだからね」

    なんて皮肉も効いた“シリーズ史上、最も面白い。”下克上ミステリ

  • 冒頭にアンチひとの死なないミステリ的な事書いておきつつ、内容はアレで、どん団返しでまたびっくり
    流石のパターンです☆

    天災を乗り越え、人災に抗う
    なんて働きマンなんだよ…

    で、この終わり方ってもしかして完結なの!?

  • 読みやすいとは言えないけど、面白いとは思う。

  • 今回も大変面白く読ませていただきました。物語の流れとしては前回迄とは少し違う様にに感じましたが、最後は今後の日本の未来に問題を投げ掛けられました。水鏡探偵はこれが最期ではと噂が有りますが、これからも続編期待して待っています。シリーズも長くなると最初の爽快感をどうしても求めてしまいます。でも完全に爽快感が無くなるまで頑張って下さい。お願いします。

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松岡圭祐の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×