まるまるの毬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936873

感想・レビュー・書評

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  • 武家を捨てて菓子職人となった主人は、出戻り娘と看板娘である孫の親子三代で『南星屋』を営む。
    全国を旅しながら得た知識を活かし作る菓子はいつも売り切れごめんの繁盛店。とは言え日暮らしの身にも優しい庶民的な価格のため倹しく暮らしている。
    理不尽さに憤り 奥の深い優しさに涙がこぼれ 意志の強さに希望の灯りがともる。

    楽しく読めました。
    続編が出たら良いのになぁ。

  • 201707/面白かった。和菓子は好まないほうだけど、おいしそうな描写と丁寧に作る様子が書かれていることで、登場人物らの実直な性格も一層深く伝わってきた。切なさはあるけど、温もり溢れた時代小説で読後感もよかった。

  • 菓子職人の治兵衛と娘と孫一家の短編集。旗本の次男であった治兵衛は10歳で菓子職人に弟子入りし、諸国を旅し各地の銘菓を江戸で再現して店を繁盛させた。実は家斉のご落胤である治兵衛はその生い立ちから、自分がいると周りに迷惑をかけるからと目立たぬように町人になりひっそりと職人として暮らしていたが、孫娘が武士と恋仲になると、その生い立ちのせいで思わぬところで良からぬ邪推をされ縁談が壊れ育ての旗本や弟までにも迷惑をかけてしまう。

    前に読んだ同じ作者の「烏金」より時代小説にこなれてきた感じで楽しく読めた。ただ、やはりご落胤だの町人娘と武士の安易な恋やら弟が権威のある住職だったりと、なんとも出来すぎ、都合よすぎな展開は少し興ざめする。

  • ご落胤である意味ってなんや‥?と思ってたら後半切ない感じだった。
    時代小説の菓子描写はどんなに頑張ってもイマイチ喉がならない。餡子は美味しそうだけども。

  • カスドース/若みどり/まるまるの毬/大鶉/梅枝/松の風/南天月

    お菓子を通して治兵衛さん達の日常が見える。甘く爽やかにちょっぴりしょっぱい時もあって、過ぎていく時も人も優しい。そして、七つのお菓子を食べてみたい♪

  • 江戸時代、麹町で御菓子「満星屋」を営む冶兵衛と、その家族が織りなす人情噺。
    1つ1つの物語に、それぞれ御菓子が絡んでくるのですが、その御菓子の美味しそうなことと言ったら!
    思わずヨダレが垂れてきそう(⌒¬⌒*) 
    和菓子好きにはたまりませんでした。

    いろいろな人と出会い、なかには辛い別れもあったりしますが・・・・
    どんな時にも助け合い、支え合う家族。良いものです。

    お気に入りは「大鶉」。
    子供の頃の冶兵衛(小平治)と石海(五郎)が一番好きでした。
    7つの御菓子に7つの物語。至極満腹にてございます♪
    皆様も御賞味あれ。

  • 親子三代で菓子を商う南星屋が舞台の時代小説。
    登場するお菓子はもちろん、家族愛、兄弟愛が素敵。お団子みたく、気持ちのまあるい女の子におなりなさい、というお永の言葉も。時折ほろりと涙。
    カバー装画 彦坂木版工房

  • 美味しくて優しくなれる人情時代小説
    親子三代で菓子を商う「南星屋」。治兵衛を主に、出戻り娘のお永とひと粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。読み味絶品の、人情時代
    小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

  • 南星屋シリーズ第一弾。
    武家の身分を捨て、菓子屋になろうと決心し、諸国を16年も周り、各地で修行をして、麹町に南星屋を開いた治兵衛。旅先で妻を亡くし、娘と孫娘の親子三代で和菓子屋を営んでいる。
    将軍家の御落胤という秘密をもつ治兵衛。娘のお永は夫の浮気が原因で娘のお君を連れて、実家である南星屋に戻ってきている。いろいろ問題を抱えている家族であるが、家族みんなで、いろいろな問題を乗り越えていく。

  • とても良かった。
    誰かを想う気持ちに溢れた優しい一冊だった。

    菓子店“南星屋”を舞台に元武家の店主、その娘と孫、僧侶である店主の弟の日常を描く。
    日々持ち込まれる厄介ごとを家族で支え合いながら乗り越えていく、その姿に心揺さぶられた。

    ☆4.8

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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