今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940351

感想・レビュー・書評

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  • 読書初心者です。
    表紙に圧倒されて読み始めましたが、想像していた鬼は結局出てこなかったです。正直、頭が悪いので土方歳三と刀研ぎ師あたりはよくわからなかった。あと、犯人の動機が物足りなかった。シリーズものなので期待しすぎました。少し説明過多で読者の想像力を阻止する印象があり、この著者をリピートすることはないと思います。

  • ★刀が悪いんです(p.245)
    ・「昭和の辻斬り」に殺された片倉ハル子は『絡新婦の理』の呉美由紀の新しい学校での友人だった。
    ・呉美由紀も、話を聞いた中禅寺敦子も、捜査した刑事の賀川太一もどこかに釈然としないものを感じている。
    ・片倉ハル子の家系は女が斬り殺される家系でそれには「鬼」が関わっているらしい。
    ・鬼の刀。鬼は虚無。虚無の刀。
    ・謎を考えるミステリではなく、真相は始まってすぐわかると思いますので、後は京極夏彦さんの語り口を楽しむミステリという感じになるでしょう。

    ================================

    ■関口センセや京極堂や榎木津探偵に関する簡単なリストを下に置きます(数冊分だけ)。

    【青木】こけしのような頭の、警視庁刑事。敦子にとっては兄の友人の戦友の元部下。
    【敦子】→中禅寺敦子
    【今川雅澄】骨董屋「待古庵」の主人。口元のしまりがないのと顎がほとんどないのを除けば男前らしい。ていねいな言葉遣いをする。
    【榎木津礼二郎★】天下無敵の薔薇十字探偵。って、なんじゃいな? 推理もへったくれもなく「いきなりわかってしまう」人。京極堂の友人。超美形でガタイもいいし、強い!!ほぼ無敵。父親は元華族で大財閥の主。
    【大垣喜一郎/おおごき・きいちろう】研師。連続辻斬りをした刀を研いだかもしれない。
    【鬼】《兄に依れば、鬼とはないものだと云う。存在しないのではなく、ないという形であるものだと云う。ならば虚無こそが鬼だ。》『今昔百鬼拾遺 鬼』p.91
    【賀川太一/かがわ・たいち】玉川署刑事課捜査一係刑事。二十九歳。警視庁の青木とは同期のような間柄。
    【梶野美津子】地味な娘というか29歳の女性。旧家の下女。
    【刀】大垣喜一郎《俺が研いでるのは、これは殺意だ》『今昔百鬼拾遺 鬼』p.149
    【神無月鏡太郎】霊感探偵。派手で品がなくて滑稽でパチもん臭い。
    【片倉ハル子】呉美由紀の新しい学校での友人。一学年上でなぜか親切にしてくれた。実家は下谷の刀剣屋。連続斬殺魔「昭和の辻斬り」宇野憲一に斬殺された。片倉と宇野は交際していたらしい。「昭和の辻斬り」の話が出てきた頃から片倉家の女は代々斬殺されるのだと怖がっていた。母は勢子(せいこ)。
    【稀譚月報】中禅寺敦子が記者をしている雑誌。怪しげだが科学雑誌なんだとか。
    【木場修太郎★】こわもてでガラッパチな刑事。通称「キバシュウ」。京極堂や関口の学友(だっけ?)。主要人物中もっともまとまな人。でも京極堂や榎木津にほぼ同等に対していられるのだからじつはかなりすごい人なのだ。
    【京極堂】→中禅寺秋彦
    【銀信閣】信濃の持っている風俗店。
    【呉美由紀/くれ・みゆき】十四、五の娘。中禅寺敦子よりも背が高く手足が長い。甘味屋よりも駄菓子屋の「子供屋」が好み。『絡新婦の理』の登場人物と思われる。『今昔百鬼拾遺 鬼』にも登場。新しい学校での友人、片倉ハル子が交際相手である「昭和の辻斬り」宇野憲一に殺され、京極堂か榎木津に相談するつもりだったが彼らは別の事件に駆り出されていたので中禅寺敦子にお鉢がまわってきた。
    【月刊實録犯罪】カストリ雑誌の生き残り。金満家が趣味でやってるので廃刊にならない。鳥口守彦がいる。
    【豪徳寺】世田谷の寺で招き猫発祥の地で井伊家の菩提寺でもあるらしい。
    【五徳猫】7つの徳のうち2つを忘れているらしい。
    【近藤有嶽/こんどう・ゆうがく】紙芝居の絵を描くことをなりわいとしている男でいかつい髭男。子供が泣き出すようなおどろおどろしい絵しか描きたくない。他人の年齢を値踏みするのが得意。
    【殺人】大垣喜一郎《「人が人を殺すな、どうしてだと思う」(中略)「簡単なことだ。殺せるこらよ」》『今昔百鬼拾遺 鬼』p.145
    【里村】元気な人でも解剖したがる医師。
    【主夜神】夜の世界を司る神らしい。その使いは猫。
    【駿東】加々美興業の専務取締役で初老の紳士(と本島には見えた)。
    【浄玻璃の鏡】神無月の一族が閻魔大王からもらったと言うやはり主人と同じくパチもんくさい魔鏡。
    【昭和の辻斬り】連続辻斬り事件。被害者は七人だが最初の三人は死亡まで至らず。だんだん上達しているようなので練習していたようにも見える。犯人は逮捕済みで旋盤工の宇野憲一という青年ということになっている。最後に殺された片倉ハル子は宇野と交際していたそうだ。そのときハル子の母がそばにいた。
    【関口★】百鬼夜行シリーズのほぼ主役。情けなさが異常なまでに高まっているある意味すごい人。一応作家で世間的には「先生」と呼ばれているところが恐ろしい。京極堂の学友(だっけ?)。超美形だったりするとさらにおもしろいんやけどな。《歩いてるとこ見ただけで、駄目だなあと思うでしょうに。何だか攻撃しなきゃ悪いような気になる》by益田(百器徒然草風p.249)。
    【多々良★】全国を行脚して民話や伝説を蒐集している。主役の話も持っている。
    【探偵】愉快なことならなにをしてもいいらしい。変装したりすんのも趣味でやってるということで。職業ではなくて称号らしい。
    【中禅寺秋彦★】古本屋にして祓い師(家業が神主でで副業が憑き物落としの拝み屋)。博覧強記のクールな男。榎木津の対等な友人。百鬼夜行シリーズでは主役(というか探偵役)。悪魔的に弁が立つ。《まるで怪しい魔術のようである。》《いつも死ぬ程機嫌が悪そうな顔をしている。》(by本島 百器徒然袋 風p.81)。敦子は《兄は多分、言葉で出来ている。》と思う(今昔と拾遺 鬼p.7)。
    【中禅寺敦子★/ちゅうぜんじ・あつこ】京極堂=中禅寺秋彦の妹。雑誌『稀譚月報』記者。堅い性格で《何ごとにも杓子定規で何につけあそびのない人生を歩んでいる》『今昔百鬼拾遺 鬼』p.12。自分も若い娘だが若い娘が苦手。ついでに明治大正あたりの時代も苦手。
    【徳】儒教では「温、良、恭、倹、譲」を五徳とする。部門では「暴を禁じ、兵をおさめ、大を保ち、功を定め、民を安んじ、財を豊かにする」を七徳とする。また徳とは「生まれつきそなわっている」という意味らしい。(by京極堂 百器徒然草 風p.167)
    【鳥口守彦/とりぐち・もりひこ】『月刊實録犯罪』の記者。大柄で逞しい。中禅寺敦子とは縁がある。元カストリ雑誌とはいえ、鳥口自身はけっこう誠実な記者。
    【奈美木セツ】気の強い娘。二十歳前。通いの家政婦。誰もが中華そばのどんぶりの模様の童子を想起するらしい。京極堂と知らない仲ではないらしいがどっかで出たっけ?
    【沼上】アノ多々良大先生の助手ということになるか。
    【猫】猫肉は陸河豚と呼ばれて美味らしい。
    【呪い】《 信じた者の中では。/ 真実になる。》『今昔百鬼拾遺 鬼』p.217
    【羽田隆三】羽田製鉄の顧問で関西弁の助平そうな爺さんらしい。どっかの話に出てたみたいやけどどれやったっけ?鉄鼠あらり?
    【益田龍一】薔薇十字探偵事務所の助手。軽薄だが元刑事。「マスカマ」と呼ばれている。
    【招き猫】右手を上げていれば福を招き左手を上げていると人を招くのだとか。
    【本島】とある探偵の手下にして電気工事会社の図面描き。巻き込まれて被害を受けるタイプ。自ら小物とか雑魚とか三下とか小人物とか鈍感とか凡庸とか常識人とか思っている。会社を休んでまで警察に自分にとって不利な証言ををしにいく。京極堂の周辺にいる中で関口の次に弱そう(by益田)。
    【安和寅吉】薔薇十字探偵事務所の秘書兼給仕でそれなりに堅実なタイプ。「かずとら」と呼ばれている。
    【藍童子】霊感で悪人を暴いていた少年。
    【凌雲閣】関東大震災で崩壊する以前からすでにほぼ廃墟となっていた。その廃墟にすまうものは虚無=鬼ではないかと敦子は考えた。消滅した後にもいまだ亡霊の塔として遺っているのではないかとも。

  • 「私、子供だから綺麗ごと云いますよ。無理なのかもしれないけど、努力して下さいよ。そう云うことはやれば出来るんだって、出来なくってもやるんだって、そう云う素敵な夢を示して下さいよ。私は、夢見がちな女学生なんですッ」

    2020/4/6読了
    '19年4月~講談社タイガ、角川文庫、新潮文庫と出版社横断的に刊行されたシリーズとしてちょっと話題になった('20年8月には、『今昔百鬼拾遺 月』として3作まとめた形で刊行された)。鬼は『怖い』、河童は『下品』、天狗は『傲慢』と各章を似た言葉で始める所、京極風です。それにしても、このシリーズは女の子がべらぼうに『強い』。

  • 繰り返し繰り返し読むほど好きなシリーズなのに、スピンオフが出てることを知らなかった。ショック!でも読めて幸せ!

  • 本家の京極堂シリーズと比べると、少し物足りないけど、それもページ数が少ない分そうなるかな。

  • 京極氏にしては、かなり短い長編。なのだけれど、コアになってるアイデアは正直短編クラスのもの。とはいえ、それでこういう話が書けちゃうんだもんな。文句はございませんわ。もっとも、大方の読者がかなり早い段階で真相を見抜いたのではないかとは思う。美由紀嬢の出番が少なく、クライマックスでの啖呵でしか見せ場がないのが、少し残念。

  • 分厚すぎて読めない本の人。2〜3人目あたりから話が始まって、推理してる端から斬られるくらいにハラハラしてくれてもよかったかなぁ。さて、『絡新婦の理』を読むか、最初からか、『河童』に行くか。

  • 気づいてなかったけど百鬼夜行シリーズじゃ~ん!と思って即買って即読んだ。

  • 敦子が明治大正期を夜明け前の暗い時間帯みたいって言ってるの分かる

    因縁を因縁たらしめてるのってやっぱり非科学的なものじゃなくて人間の妄執だよな〜

    刑事の息巻く訊問といまいち的を得ない証言する登場人物の掛け合いがまどろっこしいんだけど緩急あって面白い

  • 少し物足りないがサクッと読むにはよいかな。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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