ゴーストケース 心霊科学捜査官 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940566

作品紹介・あらすじ

地下アイドル・奏歌(ルビ:かなう)のCDが誘発する、ファンの連続自殺事件。このCDの呪いを科学的に解明せよ。
ミッションを託されたのは陰陽師にして心霊科学捜査官の御陵清太郎(ルビ:みささぎせいたろう)と、警視庁捜査零課の刑事、音名井高潔(ルビ:おとないたかきよ)のバディ。
鍵となるのは人間の意識の主体である「霊子(ルビ:りょうし)」と、人間が死後に発する精神毒素である「怨素(ルビ:おんそ)」。
奏歌のライブに立ち会った御陵と音名井は、奏歌もまた「自殺したアイドル」に祟られているという噂を知る。
地下アイドルの光と影に直面した2人が導き出す「呪いの構造」とは?

筋良し、キャラ良し、テンポ良し。意外性抜群のラストで落涙。
圧倒的な面白さで、読み出したら止まらない、王道エンタメの傑作!
異能の新鋭作家・柴田勝家に注目せよ!

感想・レビュー・書評

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  • 色々なジャンルでマンガのようにキャラクター性の強い作品が増えてきているけど、これもなかなかだった。土佐弁で陰陽師で捜査官の主人公。だけど思考は割と常識的だから、同僚の捜査官たちのアクの強さがまあ目立つ、目立つ……。
    カルト宗教マニアで、あらゆる宗教団体からブラックリストに入れられてるキャラなんて、自分は一生かかっても思いつかないだろうなあ。

    この小説はいわゆる特殊設定のミステリです。“霊子”や"怨素”などといった人間の精神から発せられる原子など発見によって、霊現象や祟り、呪いが科学捜査にも使われるという設定。
    だから主人公である陰陽師の御陵(みささぎ)も捜査官の一員で、警視庁にも心霊事件を専門に扱う「捜査令課」という部署があります。

    著者の柴田勝家さんという方がSF畑出身の作家さんだけあってか、こうしたとんでも設定も上手いこと作品に落とし込んでいる印象を受けます。
    「今この瞬間なら死んでも悔いはない」という思い。それを宗教に例え、アイドルに熱狂するファンに例え、そしてそこからこの設定ならではの、事件につなげる。
    このあたりの理屈っぽさというか、設定を書き込み、本当に心霊科学がありそう、と思わせるのは流石だなあ、と感じます。

    そして、この設定のミステリへの落とし込み方も上手い。仕掛け自体は目新しいという感じでもないですが、ホラーやオカルトに走るでもなく、この世界観の中のルールに乗っ取っての捜査と推理、そして解決はしっかりとミステリやってるな、という印象でした。

    御陵とバディを組む音名井という刑事のキャラも良かったなあ。
    ザ・エリート&堅物という感じの刑事で、御陵とは度々衝突するとっつきにくいキャラなのですが、ある瞬間に一気に親近感が湧きました(笑)お前、そっち側の人間か! と。

    御陵の高知弁も良い味を出してます。高知から出てきたばかりで東京の様々な文化に不慣れなところなど、特殊なキャラなのに素朴で垢抜けない感じが、妙に親近感があります。御陵と音名井、凸凹コンビがお互いに一目置き始めるのもバディものの王道という感じで良かったです。

    この作品、シリーズ化もされているみたいです。キャラと設定が馴染んでくれば、もっと化けそうな雰囲気のある印象を受けました。

  • 地下アイドルの話は無縁だからか、最後までストーリーに入り込めなかった。
    他にも、
    ・登場人物の名前が凝りすぎていて、ルビがないと読めない
    ・主人公の土佐弁が難しい
    など、全体的に読みにくかった。
    心霊科学捜査というのは斬新だと思った。

  • それを聴いたファンが次々と自殺するというアイドルのCDの呪い。陰陽師にして心霊科学捜査官が謎に立ち向かう。
    ”霊子”や”怨素”という概念で呪いや陰陽道が科学的に説明できる世界の中で、オカルトに特化せずミステリしているのが面白かった。そして地下アイドルへの愛が感じられる。
    キャラ造型はラノベの王道的だし、シリーズ化に期待。
    それにしても著者のペンネームがインパクトありすぎる。

  • 心霊科学が警察の捜査にも使われ、証拠になりうる世界でのお話。面白く読めました。
    本格的なミステリではないけれど、お話としてのバランスが良かったので、最後までするする読めました。知らなかったアイドルの世界が垣間見えたのも楽しかったです。
    登場人物の名前がそろって読みづらいのは(意図的なものだとしても)どうにかしていただきたいですが、続きが出たら読みたいです。
    この名前なんて読むんだっけ、っていちいち引っかかると、読みづらいしめんどくさいんですよね。その頻度が高すぎると物語に没頭できないし、そんな変な名前にするメリットどこにあるの?と思ってしまいます。主人公くらいならまだいいのですが。

  • 土佐弁が好きなので嬉しい。

    科学が発達して細胞が可視化されたように、いつか幽霊も科学の発展により可視化される、というのが私の持論なのですが、それを小説化されてしまった!
    見たかったものが見れてます。

  • シリーズ第一巻。
    人間が死後に発する精神毒素「怨素」が原因で祟りにあったり、生きた人間が感染して事件を起こしたりする新しい設定のストーリー。
    キャラの名前がなじみのない独特なのが多く読めない漢字の名前ばかり出てきた(笑)
    主役の御陵が方弁を使っていて大阪人の自分には分からないセリフもあった。
    ストーリーは面白く、最後は予想外の結末が待っていた。
    独自の世界観とか完成度高く読み終わりは高揚感が残った。
    キャラクターの動かし方とかドラマを見ているような感覚になった。
    これは次の巻も期待できる。

  • 出だしのホラー感とか主人公の描写とか良かったんだけど、そもそもの世界設定で科学的に心霊現象が解決されている設定だと、さて、どう感じるべきか迷いますね。(^^;
    一応、ホラー要素有りの推理小説だけれど、そう怖くないし、かといって推理小説として目新しいかというと、それもちょっと疑問。
    オリジナリティはあるけれど、素直に楽しめない感じとでも言いましょうか。
    この手のからくりに慣れていない人なら楽しめるとは思いますが。(^^;

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★★ 10
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》80 A-

  • 初めましての作家さん。
    幽霊が科学的に解明されている世界。
    霊子科学(リョウシカガク)が発達して、高校くらいなら知っている事。
    心霊科学捜査研究所(略して霊捜研)の心霊科学捜査官っていうのが
    新しい。しかも陰陽師!
    そんな世界だから警視庁には死後犯罪撲滅キャンペーンとか
    幽霊との遺産相続問題とか、防霊スプレーとか漢方とか
    幽霊が商業利用されている。
    ≧(´▽`)≦アハハハハハ・・・
    一風変わった捜査の結果、浮き上がって来たのは
    あまりにも切ないアイドルの真実
    まぁ感動まではいかないまでも、楽しめました。

  • 土佐弁が全然頭に入らない。プロローグは面白かったのに…。

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著者プロフィール

SF作家。ペンネームは戦国武将の柴田勝家にちなんだもの。1987年、東京都生まれ。成城大学大学院(文学研究科日本常民文化専攻)在学中にハヤカワSFコンテスト・大賞を受賞し、『ニルヤの島』で2014年にデビュー。このほか著作に、『ワールド・インシュランス』(星海社FICTIONS)、星雲賞日本短編部門を受賞した表題作を収録する『アメリカン・ブッダ』(ハヤカワ文庫JA)などがある。

「2022年 『メイド喫茶探偵黒苺フガシの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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