羊の木(5) (イブニングKC)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063545159

作品紹介・あらすじ

犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘更正事業の舞台となった魚深市。 市長・鳥原秀太郎は一般市民には何も知らせずに過去を隠し元受刑者11人を受け入れたが・・・・。 元受刑者たちをよそに暴走する一部住民たち! 市長が、元受刑者たちが望んだ未来は築いてゆけるのか?

犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘更正事業の舞台となった魚深市。 市長・鳥原秀太郎は一般市民には何も知らせずに過去を隠し元受刑者11人を受け入れたが・・・・。元受刑者たちをよそに暴走する一部住民たち! のろろの仮面を被った凶悪なる者の正体は!?  天才二人が描く問題作、ついに完結!

感想・レビュー・書評

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  • 妻の不倫についにぶちきれた白尾がクレーン車を奪い大暴走。不倫相手・米松の実家を襲撃、母親をクレーンに吊るして連れ去り立て籠もる。もはや元受刑者どころの騒ぎじゃない。

    そして一向に改心しない宮腰はまたしても寺山と同棲中の智子につきまとい、ついに智子を・・・。のろろ様マスクをかぶった男の第二の殺人も起こり、もはやあっちもこっちも事件だらけでなにがなんだか。

    法務省の三田村の正体については、27年前の惨殺事件の犯人は本当に彼なのか、結局本当に法務省の人間だったのか、嘘だとしたならそもそも受刑者受け入れのプロジェクト自体が実在しなかったのか、実は彼の先祖がかつて鳥原の先祖に救われた元流刑囚の一人で、のちに謀反をおこし処刑されたことを恨みに思って鳥原に復讐しようとしたというのが真相で良いのか、等、いろんなモヤモヤが残る。

    逆になぜ市長がいち市民である月末と大塚をあれほど信頼して事情を打ち明けていたのかという理由については、同じく救済された流刑囚の子孫だったことがラストで明かされてスッキリ!この伏線は予想外だった。月さんカッコイイ!(笑)

    つまり歴史は繰り返している。200年前の流刑囚たちも、鳥原(先祖)に感謝し更生して土地に根付いたものもいれば、三田村の先祖のように改心できずまた悪事を犯し、その子孫もまた凶悪な犯罪をおこなう場合もある。元受刑者11名も、寺田や大野のように受け入れられていく者もいれば、宮腰のように、どうしても腐った性根を治せないものもいる。そしてそういう歴史的因縁とは別に、白尾のように突如犯罪者側に落ちてしまう者もいて。

    幸福の遺伝子と不幸の遺伝子の話を、たしか大塚がしていたが、三田村のような人間を見る限り不幸の遺伝子は断ち切れなさそうだけれど、問題児宮腰を排除するため結託した他の受刑者たちは、その連鎖を断ち切りたいという意思があるのだと感じたし、希望のあるラストだったと思う。

  • ふー…。つ…つかれた…。

    マンガ読む時って、「テーマはこんな感じかな」「結末はこうかな」「この人はこうなるんだろうな」とか予測しながら読むけど、この作品は、特に後半は、その予想をことごとく裏切られた、と言うか、思いもよらない方向に進んでいった感じ。

    元々、元受刑者をどう社会で受け入れていくか、みたいなことを考えさせられる社会派マンガと期待して読み始めたんだけど、話がぶっ飛び過ぎてて、その問いに対する答えがあったのか、そもそもそんな問い自体あったのか、もうよくわからない。

    ストーリー自体も、色んな謎を最後に全て拾い切れたのかもわからなくなったし、教育長の話は元受刑者と何か関係あったっけ!?、とか、頭の中???だらけ。

    でも、全然中身が無いという気はしなくて、なんだか深過ぎて私が付いていけてないのかも、と思わされる。

    あとがきのエピソードにまで驚かされた。

  • 山上たつひこは巻末の掌編が意外なくらいよかったので、こうい薄っぺらい発想のある人なのだなと、ギャグ漫画だけでない才能を感じた。
    いがらしみきおに作画を依頼したのは、果たしてよかったのかは疑問。

    事件が起こりすぎて回収出来ずに終わった感あり。読後に映画を見たが、こちらは整理しすぎていて既視感のあるドラマみたいであった。

  • 最後の方は暴走して自滅するものあり、なんども与えられたチャンスをことごとく無にして消えたものあり、そして、のろろの正体は、三田村は何者で動機はなんだったのか、プロジェクト自体があったのかという可能性まで示唆しつつ、ひとまずの大団円。残されたものはそれぞれ溶け込んだのだろうと思わせつつ。

  • 想像していたより、ずっとスリリング。この題材で、希望を描いてしまえる、尊さにひれ伏さんばかり。傑作。

  • 不思議な読後感。
    新しい住人として迎え入れられた犯罪者たちに、少しばかりの愛は与えられるのだろうか。
    いがらしみきおの人を不安にさせる絵やセリフ回しは妙に癖になる。

  • 人が目を背けたくなるようなテーマをうまくまとめてると思う
    情をかけても変われる人と変われない人の両方が出てくるねって話

  • これが荒唐無稽と思えるほうがまともか、幸せか。

  •  連載当初から読んでいた本作も、ついに完結。山上たつひこ氏、いがらしみきお氏の両氏にお疲れ様でしたと言いたい。人間の業の表現の追求や、ある種の「社会実験」風の設定が興味深かった。

     誰かがよかれと思ってやったことが、その逆の結果になることもある、その逆もしかりということを表したエピソードが、色々な意味で光っていた。
     「おっかあ」さんは気がついたらあんな光景を見ることになって、本当に驚き、恐怖したことだろうと思う。しかし、漫画的には迫力のある絵だった。
     海で思いがけない壮絶な光景を見て、生きる気力を取り戻した少年の警官とのやりとりのシーンも良かった。「壮絶な光景」も迫力のある絵だった。

     ある人物のところまで車を飛ばす際の市長の形相が凄かった。

     200年ほど前に遡る市長らの先祖の因縁、新住民の個性、三田村の正体、市長の若い頃や妻のことなど、興味深い素材が沢山あるので、もっと早い段階で掘り下げて書いてほしかった。江戸時代~の歴史ドラマ的要素もあれば嬉しかった。

     やや消化不良の感。

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著者プロフィール

1955年宮城県中新田町(加美町)に生まれる。24歳で漫画家デビュー。代表作に「あんたが悪いっ」(1983年漫画家協会賞優秀賞)、「ぼのぼの」(1988年講談社漫画賞)、「忍ペンまん丸」(1998年小学館漫画賞)、「I(アイ)」、「羊の木」(2015年文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞)、「誰でもないところからの眺め」(2016年漫画家協会賞優秀賞)など。現在「ぼのぼの」がフジテレビ系列でアニメ放映中。仙台市在住。

「2023年 『IMONを創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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