ながやす巧作品集 (KCデラックス)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063755602

感想・レビュー・書評

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  • 初期作「その人は昔」から近作「鉄道員(ぽっぽや)」まで、45年の集大成……というには4作しかないので(この2作がそれぞれ単行本1冊クラスの分量あるからなー)少々さびしいが、作者の変遷がかいま見られて興味深い内容なのは確か。
    なにより本書で魅力なのは、実はみなもと太郎先生の解説。背景になる当時のマンガ業界事情をわかりやすく説明しつつ、作者本人とのインタビュー(?)も交えておどろきの創作法まで迫る内容はまさに解説のお手本という感じで、5ページとは思えない濃い内容。

    『幽婚』は古典的な怪談話で、作者としては実験的な題材じゃないかしらん? 写実的な作風は導入部では魅力的・機能的だけど、後半で怪異を直接的に描写するとかえってどこかウソっぽく感じられてしまう。この時の経験が『鉄道員』で活きている気がするのだけど、これはさすがに僕だけの勝手な印象じゃろうか。

    『鉄道員』は文句なしの名作だが、せっかくの浅田次郎をして敬服させた「あの」巻頭カラーを白黒で収録してしまうとはデリカシーがない。
    個人的にはこの直前に描かれた同じく浅田次郎原作の『ラブ・レター』の方が傑作と思っているので、これを載せていないところも少々不満。これならカラーページのある『鉄道員/ラブ・レター』の単行本を買った方がいいよ!

    『チャンピオン』『その人は昔』はどちらも時代性が強く感じられる内容。ひとことで言えば良くも悪くも古くさい、というところだが、その時代時代で徹底して通俗的(いい意味)な内容を追っていることが分かって興味深くもある。

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著者プロフィール

ながやす 巧(ながやす たくみ)
1949年生まれの漫画家。長崎県生まれ、熊本県育ち。貸本劇画作家としてデビュー、南波健二プロダクションアシスタントを経て独立し、1969年『男になれ』で商業誌デビューを果たした。原作を元にしたコミック作が多く、なかでも浅田次郎小説が多い。
代表作として、講談社漫画賞を受賞した梶原一騎原作『愛と誠』、第39回日本漫画家協会賞・優秀賞を受賞した『壬生義士伝』、そして『画業45年記念出版 ながやす巧 作品集』など。

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