- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065122105
作品紹介・あらすじ
青春期。
数えても数えきれない複雑な思い、葛藤を抱え、少女たちは大人になっていく――。
「白線と一歩」……どうしてあの子みたいにうまくできないんだろう。
「赤点と二万」……受験勉強って、不平等だ。
「側転と三夏」……SNS。それが私の居場所だった。
「作戦と四角」……本当の“わたし”って何?
「漠然と五体」……はみ出したくない。でも、たまに息がつまりそうになる。
この痛みは、感情は、“青春”の一言で片づけられない!!
「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者、待望の最新刊!
切実でリアルな思いの数々を、5人の女子校生の視点から描いた連作集。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
登場人物が同い年だったこともあり、共感できるところが多い本でした。自分が嫌になったり、不安になったり、心の中で渦巻くもどかしい気持ちが巧みに表現されていました。
p178『自分の容姿に自信を持ち、自分を支配しようとする不合理なルールを全て蹴散らして生きていく。他人にしかれたレーツを無視して、自分の足だけで道を作る。私はそんな人間になりたかった。そして、自分がそうなれないことも知っていた。』
本に出てくるある一人の言葉です。まさに私の気持ちを代弁してくれているようだと思いました。他人が作った常識、規則に支配されてそれに少しでもはみ出ないように。いい人でいなければいけないという気持ちがどこかで私を抑圧している。自由を謳歌している人間を羨ましいと思っているとともに、自分を変える勇気はないのです。
こんなもどかしく、複雑な気持ちが表現されている本は今までありませんでした。高校生はもちろん、高校生の脆く繊細な心に触れたい人におすすめしたい1冊です。 -
苦しいくらいに青春だなぁ。大人になっちゃうと、ほんとモラトリアムよねって一歩引いて見ちゃうけど、そこにどっぷりつかってたよな、かつての私も。だから、私の中の深いところに埋もれた私がめちゃくちゃ共感してる。部活に勉強に友人関係、恋愛、親、教師との関係にモヤモヤしながら、逃げる勇気も持てずにルールに従ってたつまらない私が、自由に行動できる人、愛される人をものすごく羨んでる。ちょっと苦しくなるけど、青春の爽やかな香りも感じられる本だった。
-
どのエピソードも印象的で、高校生のリアルな不安定さをうまく描いていた。共感の連続。高校生の頃の気持ちを忘れないよう、また読み返したい。
-
【白線と一歩】
仲がいい友達だからこそ、いつも近くにいる友達だからこそ、自分と比べて劣等感を抱いてしまったり、キツく当たってしまうことがあるものだ。だが、優しさや愛想ばかり振りまいてみんなに好かれようとするよりは、こうしてぶつかり合ってともに成長していける関係の方がいいと私は思う。
【赤点と二万】
『きっと、ずるくたっていいのだ。誰かに嫉妬してばかりの惨めなところも、自分を好きになれない情けないところも、その全てをひっくるめて、私という人間は存在している。生きるって、きっとそういうことだ。嫌な自分を抱きしめて、二人三脚で明日を目指す。』
時に自分を嫌いになってしまったり、自分を卑下してしまうときもあるが、そんな自分と二人三脚で明日を目指す、というこの表現が気に入った。
【側転と三夏】
なんでもできる私よりいつも失敗ばかりの姉がみんなから愛されるのはなぜ??という妹のもどかしい感情を描いたお話。
淋しさを感じていた妹だったが、ずっと近くにいてくれた姉が1番自分のことを理解し、愛してくれていたことに気づき、自分にも、苦しいときや淋しいときにもいつもそばにいてくれる存在を再確認できた。
【作戦と四角】
性別なんてなければいいと思う主人公の気持ちに共感した。性別があるからこの世には未だに性差別や男女格差が蔓延っているわけで、性別などなければ私達はもっと親しくなれたり、苦しみをなくすことだってできると思う。
【漠然と五体】
優等生の自分が嫌いな女の子のお話。学校に休みがちになった彼女は、本当に追い詰められていたのだと思う。自分にはまだ、学校を休める勇気がないから。 -
自分の考えが他の人と違っていて突飛な物に感じてしまい、成りたい自分と周りから見た自分の間で葛藤する物語
自分も若い頃はもちろんそうだったけど
年を取ってもあまり、変わってないなと思った -
痛い程青春。短編の主人公達が別の話の脇役で、そこが現実的だと思った。
-
女子高生たちの話。情景が目に浮かぶようで、楽しかった。
これをエモいと呼ぶのだろう…
どの話のどの子にもうっすら共感。特に知咲ちゃんの、優しい人のイメージにはうんうんと頷いた。
「相手に合わせて自分の意見を胸中で握り潰してしまえば、みんなが私のことをいい人だと評価する」
全体を通して、自分の意見をちゃんと持つこと、伝えることって相手と深い関係を築くのにとても大切だなと思った。
やっぱ、大切はうすっぺらい気持ちじゃダメなんだと思う