世にも奇妙な君物語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 675
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065137222

感想・レビュー・書評

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  •  本書はホラー小説ではありませんが最後にはゾッとするオチがたくさん用意されています。私が特に好きなのは第3話です。
     第3話は男性保育士の物語です。情熱的に園児と関わるが、評価されない主人公。対して園児に対しドライに淡々の接するのに評価の高い先輩。主人公は先輩から情熱的な接し方を指摘されるが、それでも自分の考えを貫き、最後は努力が実り、モンスターぺアレントから感謝されるという、心温まる物語。
     だけで終わりません。最後の1ページでいい意味で全てが台無しになります。

     他の話についても同様にどんでん返しを楽しめます。どの話も最後はゾッとしますが、そのテイストが微妙に異なっており、
    ・1話は恐怖と「そういうことか」という驚き
    ・2話はじわじわ精神に攻撃してくる恐怖
    ・3話は台無しになるやるせなさ
    ・4話は天国から地獄へのギャップ
    ・5話は劇的な展開と全てが繋がる心地よさ

      私個人としては相当気に入ったジャンルでしたので、続編が出て欲しいと願っています。「事実は小説より奇なり」と言いますが、並大抵の事実ではこの奇妙な小説には呼ばないと思えるほどでした。

  • はああ面白い。。ため息がでる。
    本家の「世にも」はテレビで付いていたら見る程度の私でさえ、めちゃくちゃ楽しめた。
    一遍を読むのに30分とかからない。そんな短い物語の中にハラハラドキドキあり、伏線回収あり、ラストの驚くべき着地ありと、究極のエンターテインメントだと感じた。
    朝井リョウさんは元々「世にも」のファン。だとしてもここまで完成度の高いものが書けてしまうなんて…さすがとしか言いようがない。

    朝井さんも後書きで述べているが、「世にも」は始まった瞬間にもう奇妙な設定であることも多い。
    しかし、この「君物語」は設定は全く奇妙ではなく現実にありそうな感じでグイグイ引き込まれ(「リア充裁判」は除く、かな)むしろオチが奇妙。

    一番好きなのは「立て!金次郎」。
    何なら少し感動した。しかしいい話のときは必ずブラックな結末が待っている…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
    あと短編集だからといって、面白そうな話から読んではいけない。ちゃんと順番通り…最後の「脇役バトルロワイヤル」は3ページくらい読んで、まじで震えた。

  • 本当に、世にも奇妙な物語みたい。

    1つ目の話で、ふんふん、と読んでたら、
    あ、なんか嫌な予感・・あーヤバイヤバイヤバイ!
    ・・うわぁぁ。。
    と心の中で思ったところとか、テレビで観てた感じとそっくり。すごい。

    ♪チャッ チャッ タララ、タララ、タララ
    ♪チャッ チャッ タララ、タララ、タララ
    ♪チャーン チャチャーン(ターン タターン)

    のBGM付きで完全にタモリ出てくる流れだった。(タモリは出てこない)

    どれも微妙に気持ちのいい話では無いけど、こんな感じだったなぁ、と懐かしかった。最後まで読むとまた一味違うように見えるカラクリが面白い。

    テレビの方の再放送を最近見たら、ストーリーとはあんまり関係ない道具や価値観に、ふっるぅ、といちいち思ってしまったのもあって期待したより楽しめなかった。なので、あの番組昔楽しみにしてたな、やたら怖かったな、というのは思い出の中だけに置いておくことしたけど、この本ではそれがなくて素直に、こわっ、キモっ、うっわサイアク!と楽しむことができてよかった。

  • どんでん返しと世にも奇妙な物語が好きな人は、間違いなく読んで損無し。全短編が見事なプロットで大好きな一冊になりました。

  • 朝井リョウ版「世にも奇妙な物語」。
    「世にも奇妙な物語」といえば、時に荒唐無稽な設定だったり、ちょっとホラー風味だったり、終わりがゾッとしたりするあのドラマのこと。誰しもがその前提を持っているので、話の背景や設定を疑問に思うことは無い。作者が後書きで述べた通りだ。読者が共通の前提を持って臨める話はそうそうないのかもしれない。

    テレビドラマと同じ5話からなる物語は、どれも後味悪くて面白い。
    途中まではちょっとの違和感からくるのか、少し物足りないというか、つまんないなーと感じる部分もある。
    だがしかし。
    最後の数ページでひっくり返ってゾッとして終わる。これが気持ちいい。ぞわってきたりするけども、違和感を全部回収して終わるのが気持ちいい。

    特に面白かったのが「リア充裁判」。
    リア充になるよう強制されるところがいたたまれなくて、ちょっとキツいなと思いながら読み進めた。そして真面目な子が報われるのかと思いきや、最後の展開が現実的で生々しい。リア充への黒い思いがとても生々しい。コミュ障の私としては最後の1ページが突き刺さった。

    それまでの4話を綺麗に回収して終わるのが、「脇役バトルロワイヤル」。主役と脇役の違いはあれど、私は脇役が好きです。でもやっぱり最後に出てくる超主役級は格が違う。。。

  • 「世にも奇妙な物語」の世界観そのままだった。すごいありそうな設定。
    「シェアハウさない」
    なるほど全員性癖がかなり強めなんだと、確かにそれは自分でなりたくてなった訳ではないと。つい最近読んだ、窪美澄さんの話が少しかぶった。
    「リア充裁判」
    風刺が効いてます。
    リア充を非難する話かと思えば、リア充にも言い分があって両者とも「確かに」と思わされる。自分の中にはどっちもあるな。
    「立て、金次郎」
    終盤までなんとなく、主人公よりに話が上手く行きすぎてなるほどねー。って感じで、道徳的な話だと思っていたら、そこはやはり奇妙な物語。そんなはずはなかった。モンペもここまで計算してできてたらすごい。先生に対する思いは分からなくもない。先生はある意味めっちゃ成長出来ると思う。
    「13.5文字しか~~」
    子ども怖い。頭良すぎ。幼い子がカワイイフリして笑顔でママを公開処刑っていうことだと思うけど、3年生で「強奪」「不貞」は知らないと思う。
    「脇役バトルロワイヤル」
    みんながここに繋がってたことに、なんとなくんって思うことはあったけど、全員出演してたことには後書き見るまで気付かんかった。
    読み返して全部確認してしまった。
    なるほど脇役ってそんな役回りだと、すごく理解を深めることができた。そしてそんな脇役の大切さがよく分かったお話でした。

  • 著者が
    「世にも奇妙な物語」を
    イメージした作品。

    また、1人で5編書くことでしか
    出来ないことがあると
    著者が言っていた通りに、
    尻上がりに楽しめました。

    短編で読みやすいので、
    あまり小説読まない人でも
    おススメです!

  • 本家にも勝るとも劣らない「世にも奇妙な」物語5つだった。短編なので読みやすく、あっという間に読み終えてしまった。実際に採用されてもおかしくない出来栄えと構成力、そして本で構成することの意味。面白い世界観だった。引っかかる程度の後味の悪さもたまらない。
    朝井リョウさんの作品は初めてだったので、もう少し色々見てみたいと思えた。

  • 全5話、ダークな感じがあって皮肉があってユーモアがあって、どの作品も違う面白みがありました。
    短編集は内容が浅くなりがちで苦手と思っていたけど、この本はどれもちょうどいい長さでテンポがよく読みやすかった。

    リア充裁判は非現実的なんだけど想像できちゃって、面白かったです。
    ラストのバトルロワイヤルは、集大成って感じで後味もよかった。

  • 朝井リョウワールドは皮肉で楽しい
    「世にも奇妙な世界」には前置きがいらない
    ドラマへのオマージュから構成されているので
    映像が見えてくる感じがまた面白い

著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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