水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
4.06
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本棚登録 : 1079
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065144510

作品紹介・あらすじ

「あの人、本当は怒りたいんじゃないの?」


高校への進学を機に、叔父の家に居候することになった直達。だが最寄りの駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性、榊さんだった。

案内された家の住人は、親に黙って脱サラしたマンガ家(叔父)、女装の占い師、ヒゲメガネの大学教授、どこか影のある25歳OLと、いずれも曲者揃い。そこに高校1年生の直達を加えて、男女5人での一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まった。

共同生活を送るうち、日々を淡々と過ごす25歳OLの榊さんに淡い思いを抱き始める直達だったが、彼女と自分との間には思いも寄らぬ因縁が……。

少年が家族の元を離れて初めて知る、家族の「罪」。自分もその被害者なのかもしれないが、加害者でもあるような気がする。割り切れないモヤモヤした思いを抱きながら、少年は少しずつ家族を知り、大人の階段を上っていく。

前作から4年の沈黙を破った田島列島が、
ユーモラスかつセンシティブな独特の筆致で描くのは、
家族の元を離れて始まる、家族の物語。

家族の元を離れて始まる、家族の物語。高1春、曲者揃いの住人たちと男女5人の共同生活を始めた直達。彼が淡い想いを寄せる25歳OLの榊さんとの間には、思いも寄らぬ因縁が……。「別冊マガジン」連載時より作家、著名人、漫画読みから絶賛の声が続々!宝島社「このマンガがすごい!2015」オトコ編第3位、マンガ大賞2015第2位など各漫画賞を総ナメにした名作『子供はわかってあげない』の田島列島、待望の最新作!

感想・レビュー・書評

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  • ギスギス・ナイト・フィーバー。確かに!
    各話サブタイトルがひねりがあって面白い。
    ピチピチチャプチャプノープランプラン、とか。

    • 土瓶さん
      田島列島さん!

      これも魅力的ですが、「子供はわかってあげない」がお気に入りです。

      突然のコメント失礼しました。
      田島列島さん!

      これも魅力的ですが、「子供はわかってあげない」がお気に入りです。

      突然のコメント失礼しました。
      2022/05/21
    • knkt09222さん
      土瓶さんへ
      コメントありがとうございます。
      「子供はわかってあげない」結構前に読んだので記憶が朧気ですが、絵柄だけでなく話もよかった覚え...
      土瓶さんへ
      コメントありがとうございます。
      「子供はわかってあげない」結構前に読んだので記憶が朧気ですが、絵柄だけでなく話もよかった覚えがあります。
      せっかくなのでこの機会に読み返してみたいです。
      2022/05/21
  • いやあ、今回の田島先生の作品は、グサッときますねぇ、心に。敢えて、踏み込まなくても、いいのではと思うところに、突っ込んでいらっしゃる。

    しかし、長い人生では、そういうことも必要になる。きっちり、向き合って、自分のやりたいように行動することの難しさったら、ない。榊さんも、直達くんも、生きてるよ。

    ストーリーの良さは、これまでの作品を知る方なら、言うまでもない、昔ながらの良質な連続ドラマを読んでいるようで、台詞や言葉遊びも素晴らしく、登場キャラクターは、ニゲミチ先生、泉谷兄妹、教授、ミスタームーンライト等々、皆さん、いいキャラしてます。
    読んでて、笑ったり、悲しかったり、緊張したり、怒ったりと、これだけ、いろんな感情が沸き上がる漫画も珍しいのではと思います。

    それから、なんといっても、榊さんの問題の行動ですよ。久々に、漫画読んで、ゾクゾクとしましたが、そりゃそうするわと。デリカシーがないこと。グッときましたね。

  • 主人公直達の父と引越し先の住人榊さんの母は昔駆け落ちしていた。
    結局直達の父は家族の元へ戻り、榊さんの母は帰ってこなかった…

    直達と榊さんの気持ち、超分かる。
    お盆のふちで済ませた榊さんマジ優しいと思っちまったもん。


    もうどうにもならないことを、進行形で見つめるのも、後になってから知るのもどっちもしんどい。

    作品全体をコントロールする安定した温度。凍りつきも、沸騰もしないような。とても酷いことなど起こりそうもないような。
    彼らの身に起こったことは、そんなのほほんとしたことじゃないのに。だからこそ、こんな安定した温度の場所でしか語れないことは、ある。これはそういう事柄。

    そんな中でのちょっとした台詞の端々に「ぬるくない」ものを感じてまた身悶えるわけです。

    「善良な市民面して…」 とか最後の引きの「捨てられる…」のとことか!
    わかるわ。超わかる。

    榊さんの「怒ってもどうしょもないことばっかりじゃないの」もよくわかる。
    そういう諦念にまで至るのにどれくらいかかったんだろう、母が自分の元から居なくなってからの長い年月をどうやって生きてきたんだろうって、思いを馳せたらしばらく先に進めなくてぐるぐる考え込んでしまった。

    解消されない「なんで?」をずっと抱えて生きていく。
    一番信頼を寄せたい人に裏切られる。
    自分のせいじゃないのに。

    現実には、多分親の不貞を知った子どもって気づかないふりして胸にしまって生きてく人がほとんどなんじゃないですかね。
    親は気づいてないと思ってて。
    気づかないわけないんだなぁ。
    榊さんの場合はもっと最悪ですけど。

    だからうっかり知ってしまったことは直達にとって不幸かもしれないけど、それを誰かと共有できるってことはすごく良いことなんだろうと思う。それについて、言葉に出来ること。思いを打ち明けられること。傷を明るみに出すこと。

    そしてその場にその件には全く関係ない人達がいるっていうのが、すごい重要で救いですよね。教授はやや性急に突っ込み過ぎな気がするけど、泉谷兄妹は距離感ばっちりだし、ニゲミチ先生はそこに居てくれるだけでいいし。猫もいるし。

    複雑な心境にならざるを得ないふたり。
    直達の真っ直ぐさが榊さんを雨の降ってない場所まで連れて行ってくれますように。
    そんな風に願っちゃう。

    私的なお気持ちが十二分に乗っかった感想でした。
    現実で救われなかった気持ちが、虚構で救われることってたくさんあるよねぇ。

  • 物語の始めが唐突で、何?ってなったけど、この、何か知ってそうに話しかけてくるのに、私何も知らないけど大丈夫?みたいな感じがクセになってしまう感じ。

    高校一年で家族の黒歴史を知ってしまった直達。
    全て抱え込んでまだ癒えない傷を抱いたままの榊さん。
    漫画家になったお母さんの弟。
    モテモテのクラスメイトのお兄さん。
    すぐ出張でどこかへ行っちゃう教授。

    なんか高校生活がドキドキワクワクっていうよりも、大人たちとの共同生活の方がめっちゃ人生経験積めるね。

    淡々とした絵と、淡々とした主人公と、なんかワーワー言ってる伯父さんと、本当これはクセになる。

    早く続きが読みたい。

  • 世の中には人間関係において、たくさんの知っていること、知らないことで溢れている。
    伝えるべきこと、伝えないでおくべきこと。相手を思いやる為、自分を守る為。
    人間関係を複雑にしているのは相手を慮る気持ちなのかもしれない。でも、その気持ちがなければ誰も救われない。
    クスッと笑って考えながら読めるので楽しい。

  • 高1の直達と26歳OLの榊さん。互いの両親の秘密を知ってしまった榊さんは、それでも直達に普通に接しようとする。それが大人の振舞いだから。だが、実は直達もこの秘密を既に知っていて、1巻のラストではある決意を榊さんに示す。そしてこのことが、物語の展開を方向付けていく。

    直達が決意に至ったのは、同居する教授の(かなり強引な)アシストが大きい。けれど、これを直達が受け止めきれたのは、大人として必死に振る舞う榊さんの痛みを彼が感じとれていたからだろう。「暴れたいのは榊さんの方だろうな……そんなことがあって それでも 俺に『お帰り』って言ってくれたんだな」と。

    それにしても、第1話冒頭の榊さんの無表情。結末を知ってから目にすると、色んな思いが去来して、こみ上げるものがあった。

  • 「ギャグセンがツボ」というのは一番に信用していいことだと思ってる、漫画も、小説も、人も。
    題材?としては明るくはないんだけど大体常に声上げて笑ってしまった。いちいち言葉の選び方と間が面白い。というかツボ。
    主人公が居候することになった叔父さんの住む家はいろんな変わり者が住んでて、その中の一人のお姉さんは主人公の父親の不倫相手の子どもでした、って話。
    いくらでも重くできるんだけど全然重くない。だけど温度が高いわけでもない。平熱。平熱でするするっとしてる。読みやすい。つまずくところがない。不快なところもない。

  • 会話劇が素敵。
    古畑任三郎を彷彿?

  • じわじわくる。

  • 新高校生になりおじさんの家でのシェアハウス生活、十年前父の不倫相手の娘さんも入居しており、波乱の関係がはじまる。

  • 会話やモノローグがすごい素敵で詩的で言葉にならない。

    俺がいなければこの人の肩が濡れるとこはなかったのに
    とかなんて繊細な作品なんだって思った

  • web試し読みでは「???」で続き期待してなかったのだけど、なにこの混乱!素晴らしいな!「子供はわかってあげない」を信じてよかった!(微妙に失礼発言)(試し読み、牛丼まであったっけ…あったろうな…)

  • 淡々とじわじわ面白い。話自体は決して明るくはないのにキャラクター達の言葉のセンスに何度もクスッと笑ってしまいました。とても独特の雰囲気があり読んでいて心地良かったです。主人公達の状況はなかなかヘビーな筈なのに、話全体の緩い雰囲気…不思議な漫画だな〜。

  • わたしはニゲミチ先生みたいな人と結婚したいだけなのに…
    榊さんが言った「職場でいちばん可愛くて性格悪い女と結婚する」がああ〜…って感じで声だして笑う
    漫画も小説も映像も、セリフを声に出して読みたくなるものは良い作品だと思ってる。これもそうです。

  • 「俺がいなければこの人の肩が濡れるとこはなかったのに」

    ルームメイトたちのキャラクターがどれも素敵。
    続きが気になる。

  • 才能が迸っている。

  • 田島列島を読んでいるあいだだけ信じられる優しさがある。

  • 読んで知る限り、夢は夜開く(藤圭子)、尾崎豊、想い出がいっぱい(H₂O)、メトロポリタンミュージアム、紅っと台詞に忍ばせた楽曲のラインナップ見る限り、作者の方を若い方と思っていたが想像していたよりは上の世代かも知れぬ。
    ギスギスしたテーマはドス黒く重々しくなりそうだそうだが、作者の作家性とも言えるが台詞回し、オノマトペ、間の取り方で軽妙に調理され、中和されていてストーリーに引き込まれていくのがわかる。転べば傷だらけになりそうなものをふわっと読ませるの流石ですね。田島節かな。

  • 読了。海街dairyのように感じた。

  • いやぁ、最高だね、今回も。モノローグと登場人物の心理との間の表現しない余白が、凄く読者の想像を掻き立てる。コレは前作「子供はわかってあげない」でもあったけど、より切れ味が上がって来てると思う。講談社はこの人を大事に育ててほしいわぁ。

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著者プロフィール

2008年に新人賞受賞作『ごあいさつ』でデビュー。2014年に開始した連載デビュー作『子供がわかってあげない』は実写映画化もされる人気作となる。2020年に『田島列島短編集ごあいさつ』『水は海に向かって流れる』が評価され第24回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『水は海に向かって流れる』は2023年6月に実写映画の公開も予定。現在「モーニング・ツー」にて『みちかとまり』を連載中。

「2023年 『みちかとまり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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