雨色の仔羊 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065145944

作品紹介・あらすじ

事切れた被害者の最期のメッセージは、タオルに血液で書かれた「SOS」だった。捜査線上に浮かんだ、幼さの残る無口な少年とは。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に読んだけど、やっぱり面白い!!!
    本当に回を追うごとに、塔子さんの成長が著しくて。
    今回は相手が幼子という事もあって、ほかの皆がなかなか本音を引き出せない中、ちょっとした表情、仕草、目線から意図を読み取ったり、ラスト、幼子を必死で守り抜く姿に塔子さん!頑張れ!と応援せずにいられなかった。
    そして、上司の鷹野との関係もちょっと気になった(笑)

    著者の浅見さんが書く女性刑事は、どの作品もキャラクターが本当に魅力的。
    これからもずっと書き続けてほしい!

  • シリーズ8作目。
    何故か、この8作目だけが見つからず、前作から間が空いてしまった。

    交番近くで発見された血で書かれたSOSのタオルと時計。
    近くの建物で発見された被害者は拷問されていた。
    監視カメラの映像からタオルを置いた少年を探す塔子と鷹野。
    少年は見つかるが、一緒に潜伏していた犯人と思われる人物には逃げられてしまう。
    唯一の関係者と思える少年は小学校2年生。しかも、過去のトラウマから多くのことを語らない。
    彼が抱える悲しい過去と向き合いながら、捜査を進める塔子たち。
    そんな前に現れたのは、公安の上條。
    上條の言う通り、捜査をした塔子と鷹野は新たな遺体を発見してしまう。
    拷問と公安から、テロ組織が関わっている可能性が高くなるが、犯人の目的がなかなか分からない。
    今作は小学校2年生少年をメインに描かれており、少年に対する塔子に成長が見られる作品。
    「分析班」としてお馴染みの「捜査会議」の場面が少ないのが、唯一寂しいところ。
    鷹野と離れて、捜査に臨むことも増えて来て、そろそろシリーズの終わりも見えて来るところだが、今回のラストはちょっとこじつけが酷かったかも。
    派手な展開はなかったものの、後半までは少年の微妙な心の変化でリードする展開が面白かっただけに、ラストが残念。

  • シリーズ、第9弾。
    如月塔子の活躍する人気シリーズです。

    いつもは、狡猾で凶悪な犯罪者が相手ですが、今回は、なんと9才の少年が相手とは。

    凶悪犯に強い鷹野警部補も、いつもの調子が出ないですね。

    交番近くで発見された不審なタオルには、血染めのメッセージがあり、SOSの声が...
    そして、そのタオルを置いたのは、なんと9才の少年であった。

    早く、その人物を救い出さねば...
    しかし、程なく、謎の遺体が発見された。
    果たして、容疑者は誰なのか?

    秘密を知る唯一の鍵は、発見された9才の少年。
    なぜか、少年は黙秘を続けることに。

    さまざまな謎が明らかになった時に、少年の胸に去来する思いとは?

    公安の影もちらつき、事件は意外な展開を見せます。今回は、少年と心を通わせた塔子ゆえ、解決に進めたとも言えます。

  • 麻見和史『雨色の仔羊 警視庁殺人分析班』講談社文庫。

    シリーズ第8弾。このシリーズは陰惨な殺人事件の経緯・真相と共に主人公の如月塔子が捜査を通じて、刑事として成長していく過程を描く物語である。

    シリーズ第1弾はまあまあで、第2弾から第4弾までが面白く、第5、第6、第7弾と失速した感があったが、この第8弾で幾分持ち直した感がある。惜しいのは終盤に描かれる犯人の主張だ。余りにもぶっ飛んだ論理展開に少し白けた。でも、全体的には及第点レベルではないだろうか。

    シリーズはまだまだ続くようだ。

    今回は母親と共に束の間の休暇を楽しんでいた如月塔子が上司の命令で血でSOSの書かれたタオルを調査したところから殺人事件に行き当たるところから物語が始まる。タオルを置いた僅か9歳の少年は一体誰の指示でタオルを置いたのか、殺人事件の全容は……というのが読みどころの一つとなる。

  • シリーズ8作目。そろそろ鷹野の過去話に深く触れてほしいところですが、その願いはかなわず……

    今回は、あとがきでは少年の存在が新しい点と書かれていましたが、あとがきを読むまでその点にはまったく意識が向いていませんでした(涙)。

    個人的には、いつも冷静な鷹野が感情的になる場面が増えたところが一番意外に感じました。過去のトラウマが原因なのか、それとも塔子に対する想いに変化が生じたのか。まぁ、すでにどちらかなのか(あるいは両方なのか)は前作までで分かってるので(笑)、いい加減引っ張らずに進展させてほしいですね。

    あとは、どこか頼りなかった尾留川がしっかりしたキャラになってきて成長が伺えたところと、手代木がちょっといいヤツに見えた(ツンデレっぽくて、少し面白かった)あたりに新鮮味を感じました。

    事件に関しては……そういえばこのシリーズ、もともと奇怪な殺人現場が売りのひとつだったように思いますが、いまや(このシリーズに関しては)当たり前になってるような…… 本作、そこにさほど驚かなかった自分に気づいて、ふとそんなことを思ってしまいました。

    長く続いているシリーズですが、そろそろ大団円に向けて展開してほしい気がします。もしかして「無敗のイレブン」にかけて、全11巻の予定なんでしょうか? そうなると、ちょっと先が長く感じちゃいますねぇ……

  • 今回は被害者が見付かったところではなく、被害者と思われる人を探すところから開始。惹きつけられました。
    事件に関わっている9歳少年に心を開いてもらうために、鷹野主任も早瀬係長も、如月さんも苦戦している……少年からも「あんなに小さいのに…」って言われるのは相当だけれど、結末には(これが俗に言うおねショタ…)と思いました。優太くんには警察官なる素質があると思う。
    河上さんも上げてから落とされていて気の毒。上條さんは何考えてるんだかまだよくわからない。
    俺のそばには如月が!?鷹野さん??

    9歳少年が中心で、事件自体は逆恨みみたいなものでいつもより小規模でした。事件に重いも軽いも思ってはいけないと思いますが、創作だともっと重大な動機を求めてしまいます。

  • 警視庁殺人分析班(どうでもいいがなぜノベルスと文庫でシリーズ名を変えるんだ...)の8作目。
    このシリーズは(既にドラマ化されているが)明らかに映像化向きだよな、と思う。なんというか、展開が2時間ドラマ的なのだ。しかしシリーズものなので、人間関係や過去みたいなのが小出しに提示される。厄介なシリーズではある。
    今回は...これは...分からんわ...と思った。ものすごく緻密に筋立てをすればもしかしたら分かるのかもしれないが。でもこのシリーズそういう「え?!」みたいな唐突な展開結構あった気がする。よく覚えていないのは、刊行ペースに沿って読んでいない私の所為か...。
    というか、段々と殺人分析班的要素が薄れていないだろうか。「無敗のイレブン」と呼ばれるものの、どんどんピントが如月と鷹野に寄っていっている感じがする...。
    極めて読みやすいというのが本シリーズの長所ではあるが、どことなく、端端に「大雑把さ」が見える気がしてしまう。途中で多分ヒントや伏線を埋め込んでいるようでそれがちゃんと機能していないようなもどかしさを感じる。何小説として読めばいいのか、よく分からない。面白いとは思うが...。

  • 如月塔子の成長著しい
    事件への嗅覚は研ぎ澄まされ、着眼点も鋭いのに未熟者扱いされるが、めげず腐らず素直に努力する天才です
    根っこの謎はまだ明かされないが、検挙率100%チームとしての伝説も生まれているようで、読んでいて気持ちいいです

  • この1週間で買いだめしてた5冊一気読みするぐらいサクサク読んじゃう。
    いつも読み終わった後にだからこのタイトルなのかって納得する。
    この作者はやっぱこのシリーズが1番好きだなぁ~~
    天空の鏡まで買ってあるけどその後に鷹野シリーズがあったからどうなってるのか続きが気になる(´~`)
    如月シリーズは終わってしまうのかなぁ…

  • シリーズの中で一番面白かったかも。

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著者プロフィール

1965年千葉県生まれ。2006年『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。『石の繭』から始まる「警視庁殺人分析班」シリーズで人気を集める。その他著書に「警視庁文書捜査官」シリーズ、「特捜7」シリーズ、「重犯罪取材班・早乙女綾香」シリーズ、『深紅の断片 警防課救命チーム』『共犯レクイエム 公安外事五課』『骸の鍵』『擬態の殻 刑事・一條聡士』などがある。

「2023年 『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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