社長って何だ! (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065173732

作品紹介・あらすじ

【あなたが変われば組織も変わる!】

【部・課長必読! これからのリーダーに必要な「資質と能力」とは?】

【一歩前に踏み出す勇気が湧くアドバイスが満載!】

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「決着をつける時の鉄則」
「お金は追いかけると逃げていく」
「二重人格者であれ」
「自分が未熟であることを知る」
「“グローバル・スタンダード”への違和感」
「社長と乞食は3日やったらやめられない」
「社長を辞めれば、ただのおじさん」
「世界の真のエリートは寸暇を惜しんで勉強している」
「利益至上主義と社内カンパニー制の落とし穴」
「過度な成果主義の弊害」
「女性の力をいかに引き出すか」
「後継は未熟者に任せよ」

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みなさんも疑問に思っているのではないでしょうか。

不正会計や検査データ改ざんなど、大手企業の不祥事が相次いでいます。

不正が発覚するたびに謝罪会見で深々と頭を下げているリーダーや社長とは
どういう存在なのか。

あるいは、そうした不祥事をきっかけに大企業経営者の役員報酬が注目されますが、
飛び交っているのは一般庶民には縁のないケタ外れの金額です。

これだけ巨額の報酬を手にする社党とはいったい何者なのか。

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本書では会社を率いるトップを「社長」あるいは「経営者」と表現しています。

しかし、これは時と場所によっては、部長や課長といった各部署のリーダーに
置き換えることも可能です。

会社組織に限りません。

いま、政治、経済、教育、スポーツ、世界中のあらゆる分野で、かつてのエリートや
知識層といわれるリーダーに対する不信感が渦巻いています。

日本人は本来、すぐれた資質を有しています。その能力をどう伸ばし、どう生かすかは
リーダーの双肩にかかっています。

本書は、日本の未来を拓くリーダーの意義と役割について、
あらためて考えるための本です。

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【本書のおもな内容】

はじめに――リーダー不振の時代に問う
第1章 孤独と覚悟
第2章 資質と能力
第3章 報酬と使命
第4章 自戒と犠牲
第5章 信頼と統治
第6章 後継と責任おわりに――社長の器以上に会社は大きくならない

感想・レビュー・書評

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  • 伊藤忠の元社長の本。タイトルがいい。

    直(じき)ゴマ、間(かん)ゴマ、という言葉を初めて聞いた。本人に直接ゴマをするのが直ゴマで、別の丹羽さん人経由で間接的に本人に伝わるのを待つのが間ゴマ。
    間ゴマの方が勿論高等技な訳だが、丹羽さんは、別に間ゴマを推奨しているわけではなく、社長になると、あの手この手でゴマすり攻めに会い、いつの間にか傲慢になっていくから気をつけるべし、という戒め。

    社長の苦労なんて、実際にやってみない限り、絶対に分からないだろう。経営者ってつくづく孤独な職業だと思う。

  • 元中国大使で伊藤忠会長でもあった丹羽氏による、社長としてやるべき忠告をまとめた本。丹羽氏の本は初めて読むが、言いたいことを簡潔に、わかりやすく述べている。参考となることが多く、勉強になった。

    「(20年前に述べたこと(今も思いは同じ))企業の経営者は大きな夢や目標に挑む意欲や気力を失って小さな安逸に埋没している。グローバリゼーションの荒波が押し寄せるなか、変わることを恐れて世界に取り残されつつある。社会のリーダー、わけても企業の社長は日本の未来を見据えて変わらなければいけない。それなのに社長の器は小さくなるばかり。そんな社長は早くやめなさい」p4
    「経済界における「攻め」とは、事業の拡大であり、買収であり、投資です。「守り」とは事業の縮小であり、子会社の売却であり、社員の整理です。苦しい経営環境の中では、トップは縮小・売却・整理で「守り」を固めようとしがちです。しかし、守るだけなら経営はさほど難しくありません。社長は利益の根源を作って雇用を守らなくてはならないのです」p23
    「いざというときには動いてはいけない。これはビジネスで決着をつけるときの鉄則です。弱い犬ほどよく吠えるとも言います。動かないのは、こちらの意思が固いことを相手に伝える一つの手段です。席を外したりして動けば、迷っていることを相手に悟られます。「ああ、気持ちが揺れているな」「誰かに相談に行ったな」という弱みを見せた瞬間に勝負がつくのです」p25
    「重要な決断を下す時、社長は狂うがごとき気迫と確信を持たなければならない」p28
    「社長が社員を信頼し、社員が社長を信頼する。「社長って何だ」という問いの核心には、「社員との信頼関係」があります」p44
    「(2・6・2の法則)組織にはさまざまな人間がいます。優等生もいれば劣等性もいます。だいたいは優等生が2割、普通の人が6割、劣等性が2割という割合で構成されているものです。2割の怠け者を排除すると、6割の普通の人から怠け者が生まれ、2割の働き者がいなくなれば、やはり普通の人から働き者が出てくる。最終的に2・6・2の割合は変わらないことになります」p47
    「エリートや有名人とも、人が嫌がるような人とも付き合うことができなければいけない。大げさに言えば、そういう二重人格射的でなければ組織を束ねていくことはできない」p48
    「大学に入ると、勉強よりも学生運動にのめり込みました。大学の自治会委員長として演説をし、反体制、反権力で駆け回りました」p50
    「(マキャベリ)君主は愛されるよりも恐れられるほうがはるかに安全である」p55
    「「人の行く裏に道あり」は、「みんなで渡れば怖くない」の真反対となる教えです。つまり「みんなと同じことをするな」と付和雷同を戒めた言葉です」p60
    「現場はすべてを語ってくれます。新聞でもインターネットでも、楽に得たデータや情報だけで判断すると、手痛いしっぺ返しに遭う危険性があります。あるいは専門家の言葉だからといって、そのまま鵜呑みにはできません。株や為替のストラテジストやアナリストの年初予想も、年末に読み返してみると、ほとんど外れていたりします」p66
    「日々最善の選択をしなければ「あの時にやっておけばよかった」という後悔が残ります。それは、できたのにやってないということです」p77
    「(会社経営で最も大切なこと)今までお世話になってきた会社に恩返しをする、あるいは企業活動を通じて社会に貢献する」p120
    「(アメリカ・ビジネス・ラウンドテーブル共同声明2019)声明は顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主(投機目的を除く)といった利害関係者の価値創造に貢献することが企業の目的だと述べ、具体的には従業員への公正な給与や手当て、地域社会の支援、環境の保護などを挙げています。「企業は株主のために存在する」としてきたアメリカ型資本主義の大転換とも言える言葉であり、自らの行動を改める言葉だけではなく、投資家への理解を求める言葉でもあるでしょう」p122
    「ひとたび生活水準を上げてぜいたくな生活に慣れてしまうと、今度は社長を辞めて生活水準を下げるときにみじめな気分を味わうことになります。だからワイフには「社長になって給料が増えても生活水準は上げるな」と伝えていました」p128
    「運転手付きで空調の効いた高級車で送り迎えをしてもらい、会社のお金で飲食するような生活をしていたら、世間の常識からどんどんずれてしまいます。そのほうがよっぽど危険です。私の電車通勤をマスメディアは盛んに取り上げましたが、こちらからしてみれば至極迷惑なことでした」p129
    「社長は寸暇を惜しんで勉強しなければなりません。私は読書をすすめます。私は毎日、就寝前の30分間は必ず読書に当ててきました。お酒を飲んで帰っても、出張から疲れて帰ってきても、その日課を欠かしたことはありません」p136
    「欧米人も中国人、ロシア人、韓国人も、やっぱり日ごろの付き合いがものを言うし、縁やよしみを大事にします。いや、誠心誠意付き合えば日本人以上に義理堅く、日本人以上に信頼できるとさえ感じます」p137
    「長く社長をやると、ゴマの匂いに慣れて、ゴマをすられていることがわからなくなります。すると、どんどん熱いゴマ、匂いの強いゴマを求めるようになります」p155
    「権力は年月とともに必ず腐敗します。トップは経営の道筋をできるだけ早くつけて次世代に渡すことです」p158
    「社長から社員に大事なことを伝えたいときは、文書や映像ではなく、実際に顔を見せて自分の言葉と肉声で伝えたほうが、はるかに心に響くということです。トップがみんなの前に顔を出すことは、思っている以上の効果があるのです」p180
    「(良い時は1/3。悪い時は3倍)成功して周りから声援と拍手を受けても調子に乗らず、「まあまあ勘弁してください」と喜ぶのは1/3程度にしておく。逆に間違いを犯して謝るときは、自分が十分と思う程度の3倍謝ったほうが賢明です。「ごめんなさい」では「誤って済むなら警察はいらない」と世間は許してくれません。「本当に申し訳ありません」と加えても「本当に反省しているのか」と疑われます。3倍ほど誤って初めて「そこまで反省しているのなら、もういいだろう」と許してくれるのです」p198
    「最近、多くの若者が「将来、幸せになるために今、何をすればいいかわからない」と言いますが、同じような考えを持った仲間と同じような生活をしている限り、状況は何も変わりません。今までとは違う何かに挑戦することです。そのためには海外に出て、自分が見る周りの景色を変えることをお勧めします」p208
    「権限を与えられると、人はそれだけ張り切って働きます。場合によっては、能力以上の力を発揮します。権限を与えられた人間が自ら考え、決断してゆくことで能力が磨かれるからです」p209
    「私が社長に就いたとき、女性役員を将来3割にするという目標を掲げました。その場合は必ず2人同時です。1人だと役員会などで発言できません。私は女性だけの会議に1人で出たことがありますが、やはりなかなか発言しづらいものです」p217
    「中小企業の経営者は、あえて言うならワンマンであるため、長く続くと後継者が育ちません。つまり社員はトップに尽くす一方で頼りきりとなり、自ら経営する意欲を失うなどして後継者が育たなくなるのが普通です」p223

  • 読む価値あります。って今までの丹羽さんの本と同じ。何故同じ内容で何回も出版されるのか。でも読む価値あります復習になる。

  • この人の本を読むと正義感を揺さぶられる。正しいと思ったのならなぜ言わないんだ? と。部下や同僚とのコミュニケーションの取り方や仕事に対する価値観なども殆ど全ての点で共感できる。それなら大人しくしていることはないだろう、と言われているような気がする。

  • 端的な考え方であるが考えさせられる。

  • 人としての心構えを教えられる。
    こう生きたい。

  • ななめ読み
    ・減損会計、一時的な特別損失と無配、その後利益
    ・ゴマスリばかり。謙虚でいよう


    家庭を顧みずに仕事に集中してきた人に共感し得ないところは多々あるものの、尊敬し学ぶべきところもあり。

  • 伊藤忠商事の社長・会長を歴任し、中国全権大使などの経験もある実業家、丹羽宇一郎による新書。バブル時代に膨らんだ不良債権を一括処理し大幅な赤字を出すも、膿を出し切ってその後最高益につなげるなどの手腕で知られる著者が、社長を目指す者や社長に向けて、社長とは何か、社長に必要な要素は何かを書いた本。

    各章にて、社長が気をつけるべき点やあるべき姿をが丹羽のエピソードと共に語られており面白い。例えば上述の不良債権一括処理のエピソードは、「社長は攻めと守りを同時に行うべき」との教訓とともに語られている。丹羽は、バブルで溜まった不良債権を整理するため、赤字状態の子会社を売却したり、リストラしたり、守りの活動をしていた。同時に収益構造を見直し収益源を掴むためファミリーマートを巨額で買収するなど攻めにも取り組んだ。「攻めと守り」を同時にしているのは、要は攻めるために守っているからである。丹羽はこれを「まず、どこを攻めるかを決めてから守ることです」とまとめている。

    このほかにもさまざまなエピソードや教訓が語られているが、社長とは、会社・事業の行く末を決める意思決定を一定期間任された者であり、だからこそ職務において謙虚に、勤勉に、人の信頼を大切に、後継や社員を大切に育て、現実的に、理想を追い、清く・正しく・美しくあるべきであり、人間としては他と同じ一人の人間として驕らず、健康に、過度な期待をせず・・・一言で言えば、会社の意思決定のために全力を尽くす人なのではないかと思った。

    社長は何を考えているのか、社長は一体何なのか、何をしているのか、これを読んで少し理解できたような気がする。

    なお、丹羽さんの若い頃(バブル時代など)は自由だなと思うが、そこまでできないにせよそれぐらい本来会社の中の行動は自由であっていいのかもしれない、やりたいことをやっていいのだな、と思った。

  • リーダーは常に弱い者の立場n立たなければいけません。
    読書は自分のs高能力を高め、論理的な思考や想像力を鍛えます。
    人間は自分では物事を理解しているつもりでも、実際には限られた知識や経験に基づく理解で判断していることの方が圧倒的に多い。

  • なんでこの本を読んだか
    ちょうど島耕作を読んでいたのだ!
    そして最近統括から佐橋所長の話を聞くことがあり、
    リーダーになるためには?
    リーダーに必要なものは?
    リーダーになった時にどうするか?

    そんなことが頭に浮かぶ
    その答えを探したくて、読んだのである。

    自分なりにも色々リーダーマインドを考えてみた
    その時の答えで思ったのが、

    弱いものイジメをしないこと
    部下の喜びが自分の喜び

    そして、他の方の意見や本からも何回も出てきた

    部下に方向を指し示す
    自分で決断すること

    最後の社長の醍醐味で

    真に強いものは自らの強さを自覚しているために他人に力を誇示する必要がない。だから強くなればなるほど人に優しくなれる

    この言葉胸に刻もう


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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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