- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065214459
作品紹介・あらすじ
この200年、世界は近代のもたらした解放をなくし、新たな身分制社会が到来した。現代世界の現実を多角的に俯瞰する近現代史!
感想・レビュー・書評
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非常に日本に、そして民主主義に厳しい本だった。
からなずしも全てに賛成ではないが、概ねその通りだと言える内容。日本はこのままアメリカに隷属して進むのか?それとも自立した骨太の国になれるのか?
これからの国のリーダーには重い命題が課される。でも日本のリーダーは、そんなことに悩まず今までどおりを貫くのだろうな……詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グローバル経済と新自由主義、IT技術やAI。現代世界がものすごい勢いで変化しているのは分かるのだが、それが世界各国で起きているポピュリズムや排外主義的動き、格差の拡大による社会の分断といった現象と、そもそも関連しているのかどうか、関係があるならば一体どう関連しているのかが良く分からなかった。
本書は、そうした問いに対して、見取図を与えてくれる。
〈なるほどと思った箇所〉
・現在、先進国で起きている問題の基軸は、20世紀半ばに世界戦争後に立てられた秩序原理を失効させようとする動きと見られる。
・グローバル市場の成立によって、国家の役割が経済システムの自動化に吸い取られていく、そして、「国民」は、国家の保護枠から放り出されて、グローバル経済に参画するグループや法人の、使い捨ての資材や売り物になっている。
・あらゆる人間がコンピュータを使わざるを得ない社会になり、社会生活のインフラになったものがアメリカの影響力で世界に押しつけられる一方で、私的所有権(知的所有権)の下に置かれ、そこから生まれる富が所有権の保持者に集中する。
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現在の社会状況がどのような流れや考えで形づくられているかを西洋近代、明治以降の日本の流れから述べている。著者の他の著作も読んでみたい。
「自由とは限界との関係だが、アメリカは他者を抹消することの「自由」の基盤としてきたので、自由の底が抜けている」
「二十世紀は十九世紀と二十一世紀の間の例外的な世紀・資本的に」
とのフレーズが印象に残った。 -
表題の通り、「私たちがどんな世界を生きているか」をフランス革命から200年、明治150年という2つの時間軸で考えていく。その際のキーワードとしては、「国、政治、経済」「民主、自由、平等」が挙げられる。
新自由主義とは、何でも経済(市場)に委ねてしまおうという政策だったのだということが分かる。そういった中で、「政治」から「経済」へと社会のメカニズムの中心が動いて行ったのである。
小泉政権や安倍政権の問題点、そして様々な社会問題や国際問題をその起源から理解させてくれる一冊である。
ただ、時に著者の用いる言葉には、理解しにくいものもあり、読みにくい箇所も散見されたので、★4つとする。
また、索引や参考文献表があれば、より良いものになっていただろう。 -
過去200年余りを概観し、現代のグローバル化とIT化が、近代に勝ち取った価値観である自由、平等、解放をいかに解体しているかを描いた本。過去を参照した上で現在を語る姿勢はとても重要な態度だろう。
本の内容は悲観的で、安倍政権に対する批判などもふんだんに盛り込まれているが、本書のテーマである近代的価値の喪失という部分にはかなりの説得力がある。既に人は自由や平等、そしてそれを政治に求めることに惓んでいるのではないか、という語りはハッとさせられるものであった。 -
普遍的人権があらゆる社会を通じて規範化されなければ、技術的に行動に発達し、統合され一体化した世界では最終戦争(人類が滅ぶ戦争)は不可避だというのが世界戦争の経験から生まれた共通の危惧だった。
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正しく、こんな世界である。という侘びしさ。
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歴史に疎いながら、現代を組成する歴史的背景を知り、うなずきながら読みました。