- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065220009
作品紹介・あらすじ
2019年、9月。千葉県にある神宮総合病院では重症患者が次々と運び込まれた。共通するのは、脱水症状を伴う激しい腹痛。抗生物質を投与し、落ち着きを取り戻したかと思った後に突然高熱を発し、命を落とすという悲惨な結末もまた同じだった……。これは人為的な病気=バイオテロなのか。未知のウィルスに対し、援軍も知見もないまま孤立した病院内で医師達の決死の治療が始まる。
感想・レビュー・書評
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千葉の総合病院で、胃腸をやられ、脱水症状になった後、脳炎になるという患者の症状が次々と感染していく。これは、バイオテロなのか!?
由紀という大学院生がスーパーヒーロー的な活躍をする。人柄も常人を越えてる感じで、あんまり可愛くないねえ。なんかこの人だけ浮いてる感じもしなくはない。
ネタバレしてしまうが、コレラとベネズエラ馬脳炎を人工的に合わせた細菌兵器なのだ。コレラは水分をしっかり与え、適切な処置をすれば治るそうだが、うっかり抗生物質を投与するとベネズエラ馬脳炎を発症するという新細菌で、由紀はそれを見破った上に、脳炎をやっつける乳酸菌まで作っちゃうという超人ぶりなのだ。
物語自体は、結構緊迫感があり、犠牲者が何人も出てしまうのが悲しい。解決の方は、上手くいきすぎかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今読んで欲しい。
作者の経験や知識からかなり具体的に伝わってきた。
フィクションとはいえ、今、多くのひとに読んで考えて欲しいと思う。
外野はなんとでも言える。
中にいる人のことを考えて欲しい。
自分が良ければいいのでは、子供すぎないか? -
お初な作家さん、スピード感があり一気読み。
面白いが、設定に少し無理があるかな?
大学院生の由紀が凄すぎる。天才なのは分かるが、こんなに色々できてしまうものか?
この話は、過去の人為的なウイルス開発、バイオテロ用が発端なのだが、原因を突き止め、治療薬まで由紀が開発する。流石に1人では出来ない、と様々な人の助けを得ての事だが、と言いながらも全ての道筋を作り出す頭の回転… それを小気味よく感じるか、?と感じるか… いずれにせよ、勢いがあって今のコロナ禍では、通じるものもあり面白かった。
WHO押谷菜穂子の登場と、協力要請に対する日本政府の対応もリアル。結局はメンツ⁈笑
伏見直哉との恋愛要素は結局ゼロ
あくまでも純粋な科学に趣を置きたい感じ。
他の作品もいつか読んでみたい。
PCR = ポリメラーゼ チェーン リアクション
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勿論、生物学や細菌学の知見ゼロなので、科学的根拠がどこまで正しいとかはわかりません。コロナ禍でタイムリーな発刊で、生物兵器や感染の恐ろしさと科学者の良心を考えさせられる。といっても小説ならではの手法で謎解きミステリー的な要素と由紀のような特異キャラクタを配してエンタメ的な要素も混在させて、最後まで考えながらも楽しめる一冊になっている。このまま十分映画化できるなあと思うほど、映像が思い浮かぶ表現力も特筆ものです。
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2021年2月17日から日本でcovid-19のファイザー社製ワクチン投与が始まった段階で読んでいるわけですが、作者がこれを書き始めた時にはcovid-19の世界的連鎖感染なんて影も形もなかったわけですごくタイムリーな出版でした。
CDC,WHO、PCR等これまで触れることのほとんどなかった語が日常的に語られるようになりましたので小説の医師たちの心情や行動がより直截的に感じられます。
実際これまでも麻疹、ジカウイルス、ウエストナイルウイルスなどの感染症が騒がれ、日本の感染症対策の遅れを指摘されたことがありました。ごくありふれたコロナウイルスが変異して世界的に流行するようになるとは思いもかけないことでした。
後から、外から「あれはこうすればよかった、こうした方が良かった、失敗だった」というのは後出しじゃんけんで中の人はその時できることを精一杯やっているんですよね。
私が面白いと思ったのは知識や技術を持った人間が危機に対応する時、原理にしたがえばその場にあるものを使って何とかする対応力。(二升炊きの炊飯器を使うとか)。アナログの技術は物のない時に必要ですね。 -
恐るべき感染症の恐怖を描いた医療サスペンスミステリ。
突如として発症した謎の患者たち。前例のない症状で苦しみ命を落としてしまう彼らを蝕んだ病の正体は、普通ではありえない感染症によるもの。これはバイオテロなのか、そしていったい何が起こっているのか。何もわからないままひたすらに患者の治療に努めながら、しかし自らも感染し倒れていく医療従事者たち。なんだかもういろいろ現実にも重ね合わせてしまって恐ろしいです。
圧倒的に絶望しか感じられない中、それでもその正体を突き止め解決しようとする利根川由紀。彼女の豪放磊落なキャラにはほっとさせられました。とぼけたキャラの門倉も魅力的。もちろん真摯に頑張る人たちが素敵なのは当たり前なのだけれど、あまりに思い詰めて悲愴なので、そういう人ばかりだと読むのがつらいんですよね。ある意味能天気に思える人たちの明るさに救われる部分があります。
この感染症を生み出した「犯人」がいるわけですが。ぞっとさせられたのが、彼らが決して「悪魔」などではなく人間だったこと。良心も何もまるでないような人間ではないはずだったのに、それでもこんなことをしでかしてしまう。完全な悪意ばかりではないところが、何ともいえず恐ろしくも悲しくもありました。 -
1月27日新着図書:東邦大学卒業生の北里紗月氏が著した小説です。未知のウイルスに対する医師たちの死闘を描いた物語で、今のコロナウイルスに影響を受けた医療状況にも通ずるところがあるかもしれません。習志野メディアセンターでは北里氏の著作を他2冊もっています(「さようなら、お母さん」「清らかな、世界の果てで」)。皆さんの先輩の力作、是非ご覧ください。
タイトル:連鎖感染 chain infection
請求記号:910.26:Ki
URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28178324 -
コロナ禍の現在に読むと作り物としてとらえられなく、切実な身近な問題に思えて心が痛んだ。人為的に引き起こされたバイオテロは人の命をもてあそび許しがたい。後半は激しい怒りがずっと胸に渦巻いていた。由紀の研究者魂でどうにか解決となったが茶番劇でやっつけ感が否めなかった。
世の中そんなに甘くないって何度も思ってしまった。