- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065234754
作品紹介・あらすじ
ブラック校則、いじめ、教員のストレス。問題の根本にあるのは、自律をさせない日本型システムだった! 常識を覆す刮目の教育論!
感想・レビュー・書評
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当たり前をやめた、で有名な工藤先生と、鴻上さんの対談。
子どもたちが自分自身で考え、決めていくようにするための、ものすごく大切なマインド?が書かれている。
だから、この本を読むと、こういう教育って面白い!やってみたい!こうあるべき!という意見がどんどん出てくると思うし、実際ワクワクする。
でも、このマインドを丁寧に理解せずして、ある部分だけを真似しても、多分上手くいかない。
それどころか、より先生や子どもたちを締めつける枷にもなりかねないと思う。
多様性を認めることは、本当にしんどい。
そして、学校という世界は、それをスローガンに掲げる割には、真反対の在り方をも、美徳に含んでいるのではないか。
だって、安心安全を手軽に実現するためには、画一的、マニュアル的であった方が楽だもの。
そして、自由に対する責任の部分を、どう考えさせるか?失敗に対して、一緒にどう向き合っていくのか?の部分に、お互いがビジョンを持っておかなければ、結局なんでもありに流れてしまうのではないかとも思う。
多様であるというより、その一歩先に認める、がつくことの意味を今一度考えたい。
多分、何度も読み返す本になると思う。
しんどいけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いゃあ 面白かった
それでも… と思ってしまう部分と
だから… と強く思ってしまう部分と
「学校」というところは
ある意味で 日本の社会の縮図のように
感じるところが多い
今の日本の社会を眺めて
いまや 制度疲労化している部分が
とくに「学校」には顕著に現れている
ような気がする
そんな もやもやを 丁々発止の対談で
言語化し可視化してくれた一冊 -
校則問題を闘うことは些末なこと、と語る工藤さんのお話にぐいぐい惹き込まれていく。子どもの自律のために何ができるか、何をすべきかと考え、現場で奮闘されている。この考えが日本中の教育現場に浸透していってほしい。保護者目線で読んでもハッとさせられる文言ばかり。自律してほしいはずなのに、自立を阻害してしまっている矛盾。許可を取ったり顔色を伺ったりしている息子に、ダメダメ言い過ぎたなーと反省しきり。カーリングママなんかになりたくないのに、気づけばその方向に行ってしまっている自分が恐ろしい。子育て難しい。
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新しい気づきがある本だった!
自律・対話・創造
本当に守らないといけないことを考えると校則のバカバカしいところが見えてきたりとか、宿題はいらないとか(できる人にはムダ、できない人にはただの壁。机に向かわせるのが美徳という観念だけであり、時間マネジメントの概念も大切)、定期テストは一夜漬けを産む悪しき慣習で、単元テストで履修確認すれば良い(テスト失敗したらやり直しあり)とか、物の見方を覆されるような討論がされていて、面白く読んだ。
横浜創英、3年前に見学会行ったときは本当に普通のややかっちりした高校だと思ったけど、工藤校長になって変わったのかなぁ。秋に学校説明会行く予定なので、変化と校長の話がかなり楽しみになった。
鴻上さんは光村国語6年に掲載あり。 -
2021年最後に読んだ本、おもしろかった。ちょっと理想すぎなのかもしれないけど、すてきでした。
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工藤勇一先生の本は何冊か読んでいるが,今回は特に今の日本の教育の課題に正対している1冊だと思います。
以下備忘録
・今の子供達にはタイムマネジメントの力が必要
→1日24時間しかない,その中にどれだけ自由時間を作れるか
・私にとってのパソコンはあなたの眼鏡と同じもの
→ノートはパソコンだって構わない
・多様性ってしんどい
→みんな違ってみんないいは苦しい,あっちこっちで対立が起きているからそこ全員が当事者にならないと
・対立軸を作ってはいけない
→結果的に自分も信頼されず,子供達のためにならない
・タトリング(告げ口)とテリング(情報提供)の違いを学ばせる必要性
→ノートに落書きはタトリング,カバンにナイフはテリング -
身を置いてきた学校というシステム、それにあまり疑問も持たずにきた自分に辟易すると同時に、今この本を読めて良かったなと思う。
対立軸ってキーワードが1番印象に残った。学校や職場じゃなくてもっと身近な家庭でも、安易に対立軸を持ち込んで(家族の非を感情的に責め立てたり)、それで結局何もならない、分かり合えなくてってことは多い。相手を思い通りにはできないってそもそもそういう前提であること、そして妥協点を探していけるってことはどんな人間関係でも大事なのかなと思う。
自分の感情を押し通す、相手を思い通りに動かす、そんなことじゃなくて、もっと本質的なことは何かにいつも焦点を置いていたいと思う。
加えて無意味なスローガンの話で、みんな本気で思ってないよねっていう同調圧力というか、そんな姿勢が内面化されてるっていうのはハッとしたというか、結構やばいなと思う。長年感じてた理不尽さ、意味のわからなさとつながった気がする。 -
学校関係で働き初めて2年目。
少し現場がわかってきたタイミングで読めてよかった。
学校の範囲に収まらず、これからの社会のこと、自分のこれまでとこれからの生き方について刺さる内容だった。 -
本書は、工藤先生と演出家の鴻上さんの対談本です。
学校を「変えた」人として注目される工藤先生ですが、全編を通じて、工藤先生も鴻上さんも、何も難しいことはおっしゃっていません。
大事なのは自分で考えること。大事なものとどうでもいいものを間違えないこと。
それに、命より大事なものなんてないじゃないか。分かり合えなければ、分かり合えるまで対話したらいいじゃないか、と。
決して精神論や根性論ではない具体的な思考プロセスが示され、非常に納得感のある内容でした。誰かに責任を負わせるのではなく、何はなくとも現場でこれだけのことができるんだよ、と道筋を示しているところが良いです。
繰り返し読み、自分なりに理解することで、十分家庭にも応用できる内容です。