対岸の家事 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065237120

作品紹介・あらすじ

家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める――。
手を抜いたっていい。休んだっていい。でも、誰もが考えなければいけないこと。『わたし、定時で帰ります。』の著者が描く、もう一つの長時間労働。 終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編!

「あさイチ」(NHK)紹介で大反響!共感の嵐!

みんなそれぞれ違っていても大丈夫と思え、気持ちが楽になりました!(20代女性)
いいですね、結末が。主人公の日常を大切に歩む姿勢が好きです。(30代女性)
こんなに色々な立場から入れるにはなかなか出会えません。
読み終えて、なんだかすっきりしました。(40代女性)
世の中の男性がもっと読むべき本だと思う。私は読めてよかった!(50代男性)

巻末特別収録☆彡スピンオフショートストーリー 

感想・レビュー・書評

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  • 初読みの作家さん。

    最初は、あまりにも図々しいワーキングマザーの礼子と、あまりにも他人を見下す中谷の両人に腹が立ち、あまり物語に入り込めなかった。
    しかし中谷の意地悪できつい言い方にへこたれない主人公詩穂の強さに笑ってしまい、引き込まれた。

    2回ほど、(正確な表現は忘れたが)「主婦の仕事は会社の総務部のようなもの」という文言が出てきて、それに大いに共感した。
    私は以前読んだ『弊社は買収されました!』(額賀澪著)のレビューにも書いたのだが、あの小説には確か総務部を主婦になぞらえる表現は無かったのにもかかわらず、読んだ側の私が勝手に、著者から主婦の仕事と苦労を認めてもらえた気がしてとても嬉しかった。

    本書に出てくる大勢の人物達は、自分自身や家族や実家や今までに出会い関わった色んな人達に、言動や状況がちょっとずつ似た部分を感じられる。
    つまり、いるよねこういう人とか、こういう状況ってあるよねということが散りばめられている。
    でも残念ながら、私の周りには虎朗さんのような人だけは居なかった。
    私は虎朗さんが一番好きなのに。
    (小説上の人物なのに、虎朗さんの仕事のきつさが心配。過労死してしまわないか心配)

    この文庫版には、アナザーサイドストーリー虎朗篇が付いていることも良かったが、著者の「文庫版に寄せて」を読めたことがとても良かった。
    初読みの作家さんだったが、これを読んで一気に好感が持てた。
    他の作品も読んでみたい。

  • ◆あらすじ
    専業・兼業問わず、それぞれの家庭での家事・子育て・役割分担等の在り方が描かれる。

    ◆感想
    うちは両親共働きの家庭で育ち、現在は働きながら子育てをすることが当たり前の時代になったため、専業で子育てをすることの悩み(孤独感・虚しさ)は逆に新鮮だった。
    一方、仕事と子育ての両立については、子育て支援や会社の制度も充実してきているが、それでも両立していくには相当の精神力・体力が必要になる。
    夫婦共働き、かつ父は単身赴任でほぼ不在の環境の中、必死に育ててくれた母に改めて感謝の気持ちが沸き起こった。

  • 子供の頃、割と当たり前のように専業主婦が多くて、夫婦共働きはむしろ、マイノリティーでした。
    しかし今ではそれが逆転し、専業主婦は絶滅危惧種となっている…。

    そんな中、器用に生きることが自分には向いていないと感じて、専業主婦として生きることを決めた、主人公の詩穂。
    子育てだけでなく、人間関係にも悩みながら、日々を生きている。

    「ゆっくり、ゆっくり」。母に教えてもらった魔法の言葉で、焦ってしまいそうになる場面で、落ち着きを取り戻す。
    キャリアウーマンだとか、イクメンだとか、世の中の情勢に流されることなく、精一杯生きる姿は、やがて周りの人を変えていく。

    夫婦生活で1番大変なのは、やはり子育てなのだろうか。そして、子育てを取り巻く環境は、激変していることに、あまりにも無関心だった自分が恥ずかしく感じられました。

    主婦に限らず、さまざまな人が、思い抱いて過ごしている世界。一難去ってまた一難な毎日を、やりすごすように、消化するように。

    しかし、ため息をついて生きている、あなたの背中も、きっと誰かにとっては憧れなのかもしれません。

  • 専業主婦の詩穂を中心とした物語。詩穂の夫、ご近所のワーキングママ、公園で出会うパパ友、散歩コース内に住む子育てを終え悠々自適に過ごしていた女性など、生活圏で知り合う人たちが登場。どの人もどこか欠点があり、それが逆に人間らしかった。自分の置かれた環境と他人の良く見える部分を比較し、選ばなかった人生へ思いを馳せるということは誰しも調子のよくないときにはやりがちだと思う。本書の登場人物らも色々な葛藤や思いを抱え、ぶつかりながらも、他者への少しの思いやりを持つことで状況が好転したりしている様子が温かかった。複数の夫婦の模様をホームドラマで見ているような感じで、すらすらと読み進められた。

  • 女性は人生の選択によって大きく生活が変わる。
    そのせいなのか、あれだけ仲良くしていた友達が人生の異なるフェーズに立つと、焦ったり、話が合わないと感じたり、一人で勝手に色んな感情に振り回されることもある。

    でも、自分の選択が不安でいっぱいだったとしても、
    自分のペースでゆっくり進めれば、
    選択に不正解なんてないよ、と優しく諭してくれる小説でした。

    また人生の選択に迷った時に読みたいです。

  • 誰もが1番自分が大変で自分を守るために自分の考えを正しいと主張するのに何故か幸せではない。そして関係ない人を傷つける。主人公に皆が甘えて抱きしめてもらっている感じにちょっとなんだかなとは思ったけれども。
    主人公の相談相手?の、主婦は味方を作るのも家事の1つ。寂しかった日々が誰かの役に立つ日がくる。こんな風に言ってくれる人がいたらと思う。そして自分も誰かにそんな言葉をかけてあげられるようになれるのかな、、、。

  • 中高生に読んでほしい!もちろん男子も!
    随分斬り込んでいるのに、楽しく読めるので、是非!

    目下育児中で、家庭的とは正反対な自分なので、色々な登場人物に共感してしまい、辛いなと思うこと多々あり。(詩穂の父を除く!)


    読みながら感じたこと
    ①家事を軽んじていた。
     母がやるのが当たり前で、子供の頃から手伝わされるのが不満だったけど、もっと母を助ければ良かった。
     今なら、3人の子持ちで、育休も時短勤務もなくフルタイム、全く手伝わず読書や晩酌をする父、いわゆるイビリをする祖母という状況の酷さが分かるけど、昔はそんなこと思いもしなかった。
     母も、愚痴ったり助けを求めてくれたらよかったな。言ってくれないと想像できないこともある。

    ②育児のしんどさを話していいんだ!
     子供と2人きりで日中を過ごすことの辛さが書かれていて、やや驚き。
     そう言うことをふと漏らして「母親なんだから当たり前」「そんなの分かった上で産んだんでしょ」と追い込まれているのを見たので、愚痴ってはいけないと思っていた(思っている)。
     そうすると周りのママパパがキラキラして見えて、自分はなんて育児に向かないんだと暗い気持ちになる一方。
     みんなも自分と同じように辛いと思うなら、知りたい!私は聞きたい!
     私は育児家事より自分の仕事の方が好きだし、楽だと思うことがある!!!(注:仕事より子供が好きなのは大前提)

    今は過渡期と言われている。
    我が家の娘息子には、自分の身の回りのことは自分でできるようになってもらおうと思う。

    全国の育児家事に奮闘するパパママさん、適度に手を抜いて、愛情は抜かずに、楽しみつつ頑張りましょう!

  • 妻が購入した本。何となく置いてあった。
    読み終えて「対岸の家事」と言うタイトルに納得。子育てが落ち着いている今実際に当時、妻はどうだったのかと思った。この本の内容が誇張されているのか、的を得ているのか、後で妻に聞いてみようと思う。
    是非、新米パパに読んでもらいたい一冊。
    とても良い作品だと思う。

  • ある時まで専業主婦だったなあと、外に出る様になって子供達や家事は非協力的な旦那さんが居てワチャワチャな日を蘇らせてくれた本でした

  • 私も専業主婦。専業主婦っていけないことなのかな?私は時々専業主婦って何で無職になるんだろうって思ってしまう。外で働いてないだけのことであって家ではあくせく働いている。
    立派な職業じゃないかなって。
    登場人物の詩織さん、すごく立派だと思った。

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱野帰子の作品

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