- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065238158
感想・レビュー・書評
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オーディブル
言葉の概念、国の概念が変わる物語。
「境界を越えて、自由に行き来する」
それは、国境であったり、言葉であったり、ジェンダーであったり。
それぞれがみんな生きづらさを抱えているけど、共通のことばを探そうとしている。もはや、ナショナリティは、関係なくなる。
「パンスカ語」をあやつるヒルコが、一番自由で魅力的。
池澤さんの解説がすごくわかりやすくてよかった。
朗読も、全く違和感なく、最後まで楽しめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多和田葉子さんのエッセイを読んだあとにこちらを読んだので、書いてある内容が入ってきやすかった気がする。
前半はゆったりと言葉の面白さに身を任せられたのだけど、最後が怒涛の展開であまりついていけなかった。 -
復言語の世界はこんな感じになるのかなと思いながら読んだ。変化し続けるパンスカ語に惹かれたけれど、自分たちのことばも実はいる場所合う人とともに変化するものだと気づいた。
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言葉さがしにかこつけた放浪の旅。
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失われた母国の、同じ言語を話す人を探す旅。
「パンスカ」という独自の言語を作ったHirukoという人物から話が始まる。…独自の言語を作った、という内容に関心を持ち、本書を手に取った。
Hirukoが話すパンスカを、どういう言葉で表すのかな?と思ったら、なるほど、ほぼほぼ体言止めかー、と感心。日本に来たての海外の方がそんなふうな喋り方をするのと似ている。
正直、やや読みにくかったけど、旅の終わりがどうなるのか気にはなるので、続編はいつか読もうと思う。 -
不思議な物語。言葉が、文字が、美しく詩的で、それを味わいながら読み進めるといつの間にか時間が経ってしまっている。この時間に揺蕩っていたいと思った。
ストーリーを追うことよりも、言葉や比喩を楽しむ著作。
4.5があればそうしたい。 -
文化と言語のつながりが面白い。
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言語がテーマということもあってか、巧みに直喩と隠喩が織り交ぜられた文章表現、読んでて唸らされる。
あまりオムニバスという感じでもないが、複数の視点からストーリーを追いかけることで徐々に謎が解き明かさていく感じが面白い。惹き込まれる。
日本を見る視点が独特で、日本と日本語、文化のことを改めて学び直したい気持ちになった。 -
勢いでガーッと読むよりは、じっくりと読みたい本
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未来の、日本列島がもはやなくなってしまい、そして国境が今よりも曖昧になった世界を舞台に、言語が持つ意味を問う作品。
北欧を舞台に、日本語を母語とする主人公Hirukoが移民にとって大変に便利な独自言語「パンスカ」を発明しそれを操りながら生きる。
その周りにドイツ語、スウェーデン語、英語を話す様々な国籍、さまざまなジェンダー、様々な人生を背景にした人たちがあつまり繰り広げられる群像劇。
母語がアイデンティティを形成するための唯一の言語なのかということや、言語と文化は切り離せないのだということなど、「言葉」にひたすらフォーカスが当てられていく。この手の考察が好きな人(私もそう)にはとても楽しめる作品。
残念なのは、人間関係の記述が若干とっちらかっているというか。こういう余計な恋心みたいなのはおじさん別にいらないなあとか、そういう部分はあったけど、それはもう好みかと。
主題はとても面白いです。