- Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065241882
感想・レビュー・書評
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芥川賞受賞作で「面白い」と思った本は無いのですが、
なんか「読んどかねば」と思ってしまって、
読み始めた瞬間に後悔しています。
読む人を選ぶのですかね。
いつものことですので、別にいいですけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ページ数が多い訳じゃないんだけど難しくて読み解いて進むのに時間がかかった。貝というよりは月とか星なのでは?って思ったけどラストは「あ~」ってなった。不思議なお話。
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震災から9年、私が住むドイツ、ゲッティンゲンに、津波で行方不明となっていた野宮の幽霊がやって来た。その幽霊を普通に迎える私は、コロナ禍で再び死が身近になった世界で、とうとう野宮の死を受容した、ということか。生と死の境、更に時間さえたゆたう世界。私が出会ったもう1人の日本人、寺田氏は、かつて「月沈原」にいた明治の物理学者、寺田寅彦。私の周りの女性たちは、キリスト教の聖女の名を持ち、トリュフ犬が掘り出すのは、トリュフではなく、聖女たちを表すアトリビュート。そんな私は、聖女アポロニア? ここは本当に現世なのか。
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9年前に宮城で東日本大震災を経験し、今はコロナ禍のドイツの大学街ゲッティンゲンで美術史の博士論文に取り組む日本人女性。その街に震災で海に呑まれたまま還ってこない同窓の男性の幽霊が訪れる。
東北で被災した苦しく大きな経験、津波で失われた人々と街への喪失感を誠実に描こうとしたことは伝わる。が、はっきり言って退屈で冗長。一見成熟しているように見えて生硬な文章も、すんなり入ってこなかった。
ゲッティンゲンの惑星の小径、トリュフ犬、すべてを見通しているような女性とその周りに集まる人々のエピソード、戦前・戦中のドイツの暗い幻影、貝、そして背中に生えた歯と、モチーフを詰め込み過ぎて、どうしてもせせこましい印象。すっきりとまとめる必要はない純文学にしても、もう少し絞り、一つ一つを掘り下げたり展開したりしたほうがよかった気がする。
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結構難解な作品だった。2011年3月の東日本大震災と2020年以降のコロナ禍のドイツ(ゲッティンゲン)が(おそらく)現在の時間軸で重なりながら進んでいく。東日本大震災で津波に浚われて行方不明になっている野宮が、ゲッティンゲンで語り手と話をするし、さらに明治から昭和初期の人物である寺田寅彦も登場する。
貝とは聖ヤコブの道の巡礼で使われたホタテ貝を示すのだろうが、巡礼からゲッティンゲンにある惑星の小径を想像し、小径を太陽から土星、さらに冥王星(なぜか現れたり消えたりする)を辿る宇宙でのつながりまで感じさせた。惑星の小径が地理的な流れであれば、寺田寅彦からコロナ禍までは時間軸の流れであり、そこは巻貝の螺旋を想像した。 -
3.11が主題に絡む作品を読むのは初めてで、いままで意図的に避けてきたわけではないけれど、ようやく読んでみたいと思えた頃にタイミングよく本作品に出会えてよかった。文章は複雑だけど詩的で、微睡みながら読むと現実と夢の境が曖昧に溶けていきそうだった。うまく感想が書けないけど、とてもよかったことはたしかです。
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芥川賞受賞したので読んでみましたが、私にはあいませんでした。
人間の会話形式であれば楽しく読めるのですが、文章がつらつら書いていると、少しイメージができにくい。
芥川賞受賞してるし、私の理解力の問題かもしれないですね。 -
難解で何度も投げ出したくなった。映像的な美しい流れるような描写と文章により、読み続けることができた。評価もこれで良いのか悩む。何回読めば理解することができるのだろうか。