楽園のアダム

著者 :
  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065249611

作品紹介・あらすじ

大厄災により人類は1%未満まで減少、地球上のほとんどが不浄の土地となってしまった。生き残った人々は、わずかに残った土地で人工知能カーネにより生活を制御され、平和に暮らしていた。”殺人”などとは無縁の世界、のはずだったーー。

感想・レビュー・書評

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  • ディストピア好きで、わくわくして読み始めた。
    推理しながら読む。
    2パターン予想。
    1.はじめの生物講義のシーンより、女社会
    2.分業化されてるシーンより、アリやハダカデバネズミなど違う生物が進化した社会

    途中で1やな、と思い、結構序盤からその目で読む。
    最後どうなるかなと思ったが、完全に予想通り!珍しい!
    3時間ほどで読み切った。

  • 読み終わったあとすぐの感想としては「タイトルって話のまんまじゃん!!」だった。

    真相の部分はなんとか受け入れることができたが、終わり方はほんとにそれでいいの?とは感じた。

    ただ話の進み方や独特な世界観に引き込まれて一気読みしてしまうくらいはハマっていたので星3で

  • “奥歯を噛み締め、闇の中の瞳を睨みつける。
    瞳孔が、甲虫の甲殻のようにころころと色を変え、煌めいていた。不吉な気配とは対照的な、不謹慎なほどの美しさだ。
    (p.105)”
    “こいつは殺人鬼だ。僕の愛する人と世界を山ほど奪った仇だ。憎くて憎くてたまらない敵だ。なのに、なぜ——。
    この美しい禍々しい瞳こそが、自分の求めるものだと思ってしまった?
    (p.297)”

     珍しい謎をテーマにしたミステリーだった。つまり、殺人者は「何」で、世界の歪みは何処にあるのか…

     疫病の流行により1%にまで減少してしまった人類。生き残った人々は、それぞれが生まれた時から与えられた役目を果たし、人工知能の統括下で穏やかな日々を享受していた。しかし、平和な“珊瑚礁の島”を襲う、起こるはずのない連続殺人事件。島の外から持ち込まれた残虐な怪物とはいったい何者なのか?


    ※ネタバレしてます!







     差異は、確かに争いの源であるが、同時に活力を生み出すというのは真実だろう。在るはずの差異がなくなって、仕方なく導入された偽りの差異。それは一つの知恵ではあったが、熱帯の「楽園」は、人々が必死に隠し、忘れようとした、世界の歪みから手痛いしっぺ返しを喰らったのだった。
     …とまとめればとても綺麗な話なのだけど、ところどころ腑に落ちない。このユートピア(あるいはディストピア)のリアリティについて。「男女」の性差は社会的なものであるからそれはいいとして、筆者は、女性同士の争いは全て男性の存在が原因であり、従って男性がいなくなればみな理性的でいられる、と言うのだろうか。
     そして、男としてこれはどうしても言わせてもらいたいが、世の中の男は、決して、女を見ると見境なく襲いまくる野獣ばっかりじゃありません!笑

  • 最後まで展開が分からない周木さんの構成は、面白い。

  • 争いの果てに人口が大きく減少したディストピア世界で、どうして人類は平和を取り戻せたのか。
    大胆なクライマックス。読者へのトリックのアイデアは悪くないけど、話そのものは胸糞で、気分悪く終わった。

  • 大厄災により人類は1%未満まで減少、生き残った人々は”殺人”などとは無縁の世界で平和に暮らしていた。

    帯の文章に惹かれて読み始めた。
    期待外れだったがラストは意外だった。

  • 大災厄によって1%未満に減少した人類。珊瑚礁の島に住むアスムは愛するセーファと幸せに暮らしていたが、その島に突如として起こる凄惨な殺人事件。南極からヤブサト助教授が連れて帰って来た『禁忌』とは…

    そう来ましたかー!という感じ。最初からなんとなくな違和感は感じていたのだけど、最後まで読んで納得。
    まあ残った「人類」が必ずしも暴力的要素を擁してないわけではないと思うんだけどねー。そういう未来もあったりするんだろうか。

  • 『禁断の小説』という帯に惹かれて読んでみました。人類が衰退した未来のディストピア小説、点在する島々にそれぞれの生業をもって暮らす人々とそれを”統治”する人工知能カーネ、なかなか面白そうな設定です…と読み始めたものの、どうも文章がなぁ…。そして、そこはかとなく違和感を感じながら読み進めた後、世界の”真実”を知るわけですが…あ~そう来ましたか…って感じですね。実際、Y染色体がどんどん短くなってるとか男性不妊が増えてるとか、将来的に女性だけで子どもが産めてしまうかもしれなくなるとかいう話を見たことがあるので、リアリティはあるのかも。

  • 傍点あり過ぎ。
    こういうアニメ、ありそうだ。

  • かつての地球とは異なり、人々は島ごとにコミュニティを作り平和な時代がやってきた。
    そのなかの珊瑚礁の島と呼ばれる、知の研究を行う場所に生まれ育ったのは、アスム。
    アスムは幼なじみのセーファと共に同じ研究室に所属している。
    彼らは、亡くなった助教授が連れてきた「何か」に殺された。
    その秘密を探すと共に、彼らの世界の秘密にも触れてしまう。

    さて、本書の結末には私はあまり納得もできず、何かが叫ぶ言葉の意味もわからぬままで疑問が残った。
    この世界の秘密についてはそうきたか、と思ったのだが。
    「何か」がなぜ人々を襲うかという理由は、恐怖に震えるものと、そうでないものをはっきり分けるだろう。
    私は前者である。
    だから、なぜアスムがそれを納得できるのかはわからないが、研究者としての興味が恐怖に打ち勝ったのだ、と言われれば納得はできるかもしれない。
    しかし一歩読み誤ると、少し違ったメッセージにとらえかねない。

    楽園はこれからもつづくのだろうか。
    世界の真実が明らかになってたとしても、この造られた楽園の常識は、何も珍しいことではない。
    哺乳類の研究では珍しいかもしれないが、生物の中にはそれでもうまくやっているものもある。
    男女を区分することは、楽園を継続させるのか、それとも……。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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