- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065279502
作品紹介・あらすじ
「恋のライバルは、白鳥だった!?」ある夫婦とコハクチョウの三〇年以上にわたる不思議な生活を描く「ガリップ」、斜向かいに越してきた老人の壮絶な愛の遍歴を綴った「オリーブ」など、結婚をめぐる不思議でちょっぴり幻想的な六つの短編集。吉川英治文学賞 受賞後第一作。
感想・レビュー・書評
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夫婦、親子などの関係を描いた6編。
淡々としているのだが、ゾッとしたりドキッとしたりする話が多かったように思う。
「家猫」
元義母、元夫、元妻、現内縁妻それぞれの視点で語られる家族関係、夫婦関係。まるで『藪の中』のようで、本人が見たい風景が語られていく。義母や夫はともかく、元妻にしても彼女が一方的に被害者かどうかは分からない。
「ローゼンブルクで恋をして」
『全国の都道府県名をドイツ語にすると無駄にかっこいい』というブログ記事で変換したら『ローゼンブルク』とは?
父の『終活』をめぐる騒動なのだが、父と息子だから収まる話なのかなと思った。娘だったらまた違う感情になりそう。
「川端康成が死んだ日」
25Pほどの短い話だが、作中登場する川端康成が印象的。こんなことを言いそうだ。
ここに描かれる母親は子供たちからすれば身勝手極まりないのだろうが、それだけ追いつめられていたということだろう。そして川端康成がその母を救ったのかも知れない。
「ガリップ」
これは正直怖いだけだった。三者がそれぞれ肝心なところに踏み込まずにけん制し合っている。踏み込んでしまったらこの関係が崩れてしまうからなのだが、私なら耐えられない。この話を読んで表紙を見ると怖さ倍増。
「オリーブの実るころ」
唯一ホッとする話。ご近所に越してきた老人の過去。無茶をしてまで結ばれたかった女性とは結局結ばれず、だがずっと気にかけていた。
当事者の二人の潔さが素敵だった。そして老人の願いが通じて良かった。
「春成と冴子とファンさん」
結婚相手の、変わった父と母。本人が幸せならそれで良いし、父も母も息子のことを思っているし主人公との結婚を喜んでいるのでそこは安心できるのだが、今後の付き合いを考えると気遣いが大変そうだなと思ってしまった。
久しぶりに読んだ中島さん作品。中島さんらしいようでもあるし、もうすこしホッとする話が良かったようにも思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
親子や夫婦、家族の中にある心の闇の物語。家猫はうわーって、思ったけど読む手が止まらなかった、怖いもの見たさというか、最後のおちも、そう来ますかって。
みんな一生懸命、生きてる。
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表題を含む全6話。
結婚、家族に関する物語だが、どれも興味深く入り込んでしまったほど。
どの話も重苦しさや悲しさを感じさせない不思議な気持ちになるのはなぜなんだろう…と。
それは、どこにも憎しみや悲しみをぶつけることをしていないから。
穏やかにふんわりと纏めているのが良かった。
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短編集
読み終えた時は、面白かったと思ったんだけど
全部読み終えてからだと、印象に残るような話があまりなくて
白鳥と人間の三角関係の話は面白かったけど
ちょっと怖いし…
白鳥が人間(男)に恋して、男も白鳥を可愛がり親切にして一緒にご飯を食べたり
男が結婚して、奥さんが妊娠したけど白鳥の嫌がらせで階段の踊り場に突然現れ奥さんが驚いて階段から落ちて流産…
白鳥は偽妊娠してて、巣を作ったら奥さんに壊されたり玉子を隠されたりと
お互い、ライバル心が強く怖い -
中島京子さんの作品は読み出すと没入してしまい、他のことが手につかなくなる。
この作品は、ちょっと不思議なファンタジーのような結婚にまつわる物語が6遍収録されている。
その6作品が、どれも短編とは思えない濃密な物語で、今進行しているその物語の中に入り込み、傍にいて眺めているような気持ちにさせられる。
ちょっとあり得ないようなシチュエーションでも、登場人物一人一人が丁寧に描かれているので、その心情のリアルさが心に沁み入るのだ。
2022.7 -
★3.5
するりと読める、日常でいて非日常。いい意味でずれた感じの登場人物達が憎めずゆるくて良い。ローゼンベルクは好ましいが、妻のつもりの白鳥の話はややイライラ。 -
素敵な表紙に惹かれて。
初めましての作家さん。なんとも風変わりな短編集でした。
長編ものも読んでみたいかも。 -
6話の短編集
中島京子さんの本が読みたくなって、図書館で気まぐれに手に取った本だったけど当たりでした。
どのお話もちょっと不思議でちょっとほろっとして、ちょっと笑える。
お気に入りは、ガリップ。
白鳥との三角関係は面白いんだけど切ない。
愛がテーマだけど、重すぎず軽すぎず。
中島さん好きです❤️