日本の西洋史学 先駆者たちの肖像 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065312636

作品紹介・あらすじ

明治維新以来、「西洋化」は日本の国策であり、西洋は日本人のモデルであり続けた。では、西洋人が自らの政治・経済・文化・社会の来歴を探求した歴史学を、日本人が学ぶことにはどんな意味があったのだろうか。明治から昭和まで、先駆者たちの生き方と著作から、「西洋史家の誕生と苦悩」のドラマを描く。
明治20年、帝国大学に着任したお雇い外国人教師、ルートヴィヒ・リースが、ドイツでランケが確立した近代歴史学を講義したのが、日本の歴史学の始まりだった。リースの弟子で日欧交通史を開拓した村上直次郎、慶應義塾に学び経済史学の草分けとなった野村兼太郎、ルネサンス論の大類伸、イタリア史の羽仁五郎。マルクスとウェーバーへの深い理解から大きな業績を残した大塚久雄。そして、戦時下の西洋史家たちは「大東亜戦争の世界史的意義」をどのように論じたのか。
また、1920年代にウィーンに留学し、西洋の「受け売り」でも「追随」でもなく、みずから「原史料を直接考究する」主体的学問を確立した上原専禄は、戦後、13世紀のモンゴルの世界征服の時代を「世界史の起点」とする新たな世界史の構想を得るに至る。
[原本:『西洋史学の先駆者たち』中央公論新社2012年刊を増補]

目次

序に代えて
第一章 ドイツ史学の移植――ルートヴィヒ・リースとその弟子たち
第二章 歴史の経済的説明――欧州経済史学の先駆者たち
第三章 文化史的観照を超えて――大類伸のルネサンス論とその周辺
第四章 「原史料の直接考究を第一義とすること」――上原専禄とドイツ中世史研究
第五章 近代資本主義の担い手を求めて――大塚久雄の近代欧州経済史研究
第六章 「大東亜戦争の世界史的意義」――戦時下の西洋史家たち
補章 世界史とは何か――上原専禄の世界史像と地域概念

学術文庫版あとがき
参考文献
人名索引 

感想・レビュー・書評

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  •  日本における西洋史学の受容からその後の進展を、主要な学者の業績等を通してたどろうとするもの。

     大塚久雄、上原専禄のビッグネームを除いてはほとんど知らない人だったので、全体を興味深く読んだ。

     通読して思ったことは、西洋学説の受け売りではなく、日本で西洋史を研究することの難しさ、どこにその意義を見出すのかが重要であるということ。
     もちろんそのテーマを選ぶ問題意識も大事であるが、特に、歴史学は何といっても史料をいかに読み解くかが基本中の基本であるから、史料へのアクセスに物理的にも言語的にも制約がある日本人が取り組むことは極めて難しいと思う。その点、上原専禄が「原史料への沈潜」という姿勢で、その論文が高く評価されたことなども本書で知ることができた。

  • 日本の西洋史学がどのような歴史的背景で学ばれるようになったのか、学ばれてきたのかの文脈がわかる。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/563217

  • B1/1/2761/K:東2法経図・6F開架

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著者プロフィール

1947年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。現在、一橋大学名誉教授。訳書、クリュチェフスキー 『ロシア農民と農奴制の起源』 未来社、1982年。著書、『岐路に立つ歴史家たち―二十世紀ロシアの歴史学とその周辺』 山川出版社、2000年。

「2010年 『V・O・クリュチェフスキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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