- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065328460
作品紹介・あらすじ
江戸川乱歩賞受賞第一作2022年のミステリーランキングを席巻したZ世代のアガサ・クリスティーが描く哀しき連鎖殺人「私たちが絆をたった日、島は赤く染まった。」復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる――。2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(ルビあだしま)にある海上コテージに集まった7人の男女と1人の漁師。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在二日目の朝、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。
感想・レビュー・書評
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これがデビュー2作目とは思えない怒涛のミステリーでした。
1作目よりパワーアップしていると思います。
二部構成です。
第一部は2020年8月4日から熊本県の徒島という離島の無人島へ樋籐清嗣ら7人の仲良しグループが旅行に行きます。
管理人の九条健太郎が同行します。
そこで樋籐は仲間6人を自分の大切な先輩紀田陽平をLSD(幻覚剤)を用いて酷い目に遭わせ、紀田がJリーグへの道を閉ざされてしまったという恨みから殺してやろうと思い6人に近づき、毒入りのオレンジジュースと8月9日に発表される犯行声明文を残してきました。
しかし、樋籐がジュースを飲ませる前に、一人殺され、その殺人の第一発見者が殺されるという具合にして次々に第一発見者が殺されていく連続殺人が起こります。
誰かが樋籐の計画に気づいて利用されてしまったのです。
第二部は、その事件から三年後。徒島の事件は無人島七人殺しといわれています。
樋籐は七人を殺した後自殺を図り、海に入ったとされ植物状態です。
三年後の主人公は大阪市のクリーンセンター職員の横島真莉愛。
真莉愛は何と、紀田陽平を本当の兄ではありませんが兄と呼んで同居しています。
そこでまた、第一発見者が次々に殺されるという連続殺人事件が起こります。
そしてバラバラ殺人事件の遺体を発見してしまった真莉愛は次のターゲットとされ、警察に保護されます。
次のターゲットは本当に真莉愛なのか…。
そして犯人は一体誰なのか…。
途中で読んでいる人には犯人がわかるように書かかれた構成なので、ミステリーというよりサスペンスと言ってもいいのかもしれません。
これだけ残忍な連続殺人を二部構成で繰り返し、とても入り組んだ人間関係でぶっとんでいて面白く、最後にはわずかに爽快感さえ感じさせるという、凄い作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「分厚ッ」。。。第一印象です
しかしそう思っていたのも、途中まで!
楽しめて♪読後感の良い作品でした(๑・̑◡・̑๑)
二部構成となっています
一部
八人の男女が過ごすクローズドアイランドで連続殺人が続く
一人一人の動きから目が離せない緊張感の連続
しかし二部への序章に過ぎず、第一発見者が狙われる連続殺人が起きるのは共通項
二部
舞台も主役も変わる
主役が明るいキャラの女の子
軽快なテンポで読みやすい
一部と二部は何の繋がりがない様に思わせておいて、繋がる、繋がる。。。
繋がる事によって人間模様の深みが増大し、ミステリー色が濃くなりました
また怒涛の伏線回収で、最後まで興奮やまぬ展開になっていました
ラストも好みの終わり方です
こんな構成の仕方もあるんですね(^o^)
前作の『此の世の果ての殺人』で史上最年少で江戸川乱歩賞を受賞した、注目の若手ミステリー作家さん
次回作も楽しみにしています
おすすめされて、読んで良かったです♪-
2023/11/25
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★5 アイデアと構成が秀逸! 孤島ミステリと社会派ミステリが高品質リンク #ちぎれた鎖と光の切れ端
■きっと読みたくなるレビュー
チャレンジしましたね~、さすが若く有望な作家先生。Z世代のクリスティーとはよく言ったもので、アイデアとプロットがめっちゃ凝ってる力作です。
本作は大きく二部に分けてストーリーを紡ぐミステリー。第一部は孤島の本格もので、第二部は社会派の捜査冒険ミステリーといった内容で、ボリューム感がすげぇ。そして一見なんの関係もなさそうで、構造すらも違う二つの物語がどう絡まっていくの?!というところが読みどころですね。
本作、事件背景や人間関係もよく練られていてGOOD! さらに読み終わってから、もう一度第一部を読むと、伏線や気のきいたセリフが忍ばせてあるんですよね~ よくできています。これからが楽しみな若き作家先生、次回作も期待しちゃいます。
〇第一部
復讐を胸に秘めた青年が、友人たちと孤島に訪れる。友人たち全員を一気に毒殺しようと虎視眈々と狙っていた青年だったが、一晩明けてみると、友人の一人が密室で撲殺されているのを見つけるのだった…
しっかり捻りとエッジを効かせたクローズドサークルです。特に感情を描くのが上手で、不安と人間関係が少しずつ崩壊していく様子がよく伝わってきますね。推理パートも凝ってるし、真相も結末も衝撃的。第二部への期待感を高揚させてくれました。
〇第二部
クリーンセンターに勤める若き女性が、仕事中にゴミ捨て場でビニール袋に包まれた死体を発見する。偶然発見された死体のため、彼女とは何の関係もない人物であるはずが、詳しく事情を聴くために警察署に連行される。どうやら彼女に身の危険が迫ってるようで…
主人公の彼女がイイ!この子は魅力的で惹きつけられる。素直で前向きで一生懸命に生きている。特別な技能や能力はないけど、明るく生命力にあふれる女性。こういう人間に光を当てる作品は大好きです。
第二部はごみ捨てマナーや被害者加害者の問題など、社会的な課題を取り上げた作品。一億総ネット時代、良くも悪くも全世界に意見を発信できる世の中がなんとも息苦しいですね。
ストーリーも事件の真相を追っていく構成で、エンタメ性がぐぐっと上がってくる。特に中盤の彼女の一言があまりに衝撃的で、さらにぐぐぐぐっと物語が盛り上がってきます。
そして終盤…、彼女を中心とした人間たちの心の叫びがなんとも切ない。ただただ全員の幸せを願いたくなる、そんな結末でした。
■きっと共感できる書評
接客業のアルバイトをしていたころ、お客様にご迷惑をかけてしまったことがありました。すぐにお詫びをして、お客様も寛容に理解を示していただき、事態は収束しつつあったのですが…
その時、全く関係のない外野の男が、大声で叫んだのです。
「許せない!謝罪が足りない!責任を取れ!」
20年以上も前ですが、そいつの顔は一生忘れないし、今でも許していません。
作中にSNSハッシュタグに関するエピソードがあります。とてもとても重いキーワードです。誰でも人は間違いや過ちをおかすもので、それなくしては人は成長しないことを忘れてはいけないのです。 -
いやぁこれは…評価に迷うわ〜
解き放たれた感はあります
字数制限がなくなって(前作は江戸川乱歩賞で字数制限あり)自分のやりたいことをやりきってるなと思いました
で、もちろんこれは自分の勝手な考えなんだけど、荒木あかねさんがやりたいことって人を描くことなんじゃないかなぁと思うんですよね
そしてそれはある程度成功していて、なるほどなぁと思うところもあったり
被害者家族の心情であったり、辻褄が合わないようにも見える愛情であったりと考えさせられる部分もかなりあるんだけど
本格推理モノとして見たときに構成などに見るべきところもあるんだけど、微妙に破綻してるところもあって、完成度が低いと言わざる得ないというか
江戸川乱歩賞出身という枷を書く方も読む方も取っ払って先に行けたらすごい作家さんになるんでは?という期待感も含めて★4にしておこうかなぁって感じです-
2023/11/14
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ひまわりめろんさん、こんにちは。
2作目読まれたのですね!でも評価が難しかったとのことで。。。ゆっくり図書館の順番を待ちたいと思います!ひまわりめろんさん、こんにちは。
2作目読まれたのですね!でも評価が難しかったとのことで。。。ゆっくり図書館の順番を待ちたいと思います!2023/11/19 -
もしかしたらめちゃくちゃハードル上げちゃったのかもしれないって今さらながら思っております
家計法廷さんのレビュー楽しみにしておりますよ!
...もしかしたらめちゃくちゃハードル上げちゃったのかもしれないって今さらながら思っております
家計法廷さんのレビュー楽しみにしておりますよ!
早く順番来るといいですね!2023/11/19
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第一部は、孤島で次々と起こる謎で不可解な死。
密室で起こった死の真相がわからないまま、第二の殺人が起き、第三と…。
この時点で死体の「第一発見者」が決まって次の犠牲者になっていて、しかも舌が切り取られていた…。
管理人を含め8人のうち自分じゃないとわかっていて、次々と死体を目の前にすると平常心ではいられない。
最後にはなぜこいつがみんなを殺さなければならなかったのか、なに一つ疑問を解決しないまま最後の犠牲者が身を投げる。
謎を残したまま第二部へとなるわけだが、これが全く違う角度からの攻め方をしてくる。
だが接点がないとわかった3人目の被害者の死が明らかになった途端、これも「第一発見者」の括りに入ってくるのだと。
明らかになってくる第一部での謎の部分。
絡まっていた糸が丁寧に解かれていく気分だった。
こうなるとは思わなかった第二部の構成に読まされたという感じだ。
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前作が結構読み応えがあったので、この作品も読んでみました。私的には、前作以上に楽しめました。
二部構成で、第一部は熊本県の離島、徒島で繰り広げられた目を覆うような連続殺人事件について、第二部はその3年後の大阪で繰り広げられた連続殺人事件について描かれています。第一発見者が次の被害者となってしまうこと、被害者の舌が切り取られている…そんな不可解な共通点があるけれど、つながりはそれだけのように感じてしまうのですが…読み進めるにしたがって、捜査も進み様々なことがわかってきて、驚きの展開に…。
もう、そう来たか…!!って感じです。結構なボリュームなので、読了までに時間がかかりましたが、イヤミス的なエンディングではないのが、結構好きな展開でした。第二部は大阪クリーンセンターのゴミ収集員真莉愛の目線で描かれているんですど、この真莉愛ちゃんが私的には好きなキャラです。読めて満足です。 -
前作、「此の世の果ての殺人」がとても面白かったので、
今作も購入させていただきました。
ある事件をきっかけに復讐を誓う樋藤は友人ら(復讐相手)と共に徒島に訪れる。
そこで全員を毒殺するつもりだったのだが、翌朝一人の他殺体が発見される・・・
本当は自分が殺すはずだったのに、一体誰が・・・
二部構成となっており、ボリューム満載でしたがスラスラと読むことができました。
第一部では徒島で起こる事件をメインに話が進んでいきます。
後半のたたみかけるような解説や臨場感は読んでいてドキドキしました。
第二部は第一部から三年後の舞台で、ある連続事件が発生します。
どのように話が繋がっていくのかと思いながら読んでいましたが、
第一部で判明しなかった事実や、その背景が明らかになっていきます。
物語は繋がってはいるものの、一冊で二作品読んだような満足感に浸れました。
次回作も心待ちにしております!!! -
2部構成となっています。
1部では、仲の良い7人で熊本の天草にある無人島、徒島に旅行に行く所から物語は始まります。
一見仲の良いグループにみえますが、主人公である樋藤は、この旅行中に6人を殺害する計画を立てているのでした•••。
2部は、1部の3年後が舞台になっています。主人公も変わりますが、徐々に1部の物語と交わり始め、物語の真相に近づいていきます。
物語の根幹は「愛」かなと思いました。愛にも色々あります。しっかりと言葉にして表現できれば良いのでしょうが、照れ臭さもあり、難しい時があります。大切な人には、きちんと言葉にして、感謝等の気持ちを伝えていきたいです。
昨年旅行した天草が舞台になっていることもあり、頭の中でイメージがし易かったです。460ページありましたが、夜更かしして、一気に読んでしまいました。 -
「此の世の果ての殺人」の著者、荒木あかねさんの二作目ということで本著を購入しましたが、ストーリー展開がとても良く、チャレンジングな構成も素晴らしかったと思います。
本著は物語の序章となる第1部と、解決編となる第2部からなる物語ですが、第1部はクローズドサークル、第2部は「此の世の果ての殺人」のようなバディものと2種類のミステリーを楽しむことができ、ミステリー好きはきっとハマると思います!
それにしても荒木あかねさんには末恐ろしいミステリーの才能を感じますね…