樹木医補の診療録 桜の下にきみを送る (集英社オレンジ文庫)

著者 : 夕映月子

• 集英社 (2016年3月18日発売)

作品紹介・あらすじ

花守として有名な祖父を持つ咲。しかし、祖父は咲が樹木医になるのを反対したまま亡くなる。その後、造園会社へ就職を決めた咲は、祖父が守ってきた大糸桜を見にいく。桜の様子に違和感を覚えた咲だが…?

感想・レビュー・書評

[hatuhiさんの感想 · 2016年8月26日]

買おうかどうしようか散々迷って一ヶ月遅れで買った挙げ句、届いて数ページ読んで、これは植物知識が要る、と積読状態でした。やっと読んだんですが。
これは、都会の人には分からないヤツかも。です。
観葉植物一鉢くらいじゃお話になりません。
しかも、植物をそれぞれ「この子」レベルで愛せる人でなければヒロインの咲さんは変な人です。オーナーの青さんは輪がかかってますが。この二人の会話、字面だけではなく植物レベルのエア会話まで読まないと意味が分からない。その点、咲の先輩の大地のほうがよっぽど分かりやすいです。
植物の手のかけ方、剪定や施肥、細かい世話を本当に心を砕いてできるヒロインは本当に草木に寄り添って生きていて、似たような青も共感できるのかなと思いました。
このお話、分かりにくいから売れ方地味だと思うけれど、是非続編が出て欲しいなと思います。やっと咲が心を開いてきたので、人間の関係は多分これからだと思うし、これで終わりはもったいない。


そして、もうちょっとうちのバラたちにも、もうちょっとでいいから手をかけてあげようと反省しました……。薬剤は使いたくないので仕方がないとして、肥料にもうちょっと気を遣うくらいはしないと可哀想だよねあの子たちも。。

[sato1971さんの感想 · 2020年10月25日]

読みやすく面白かった。お仕事小説は興味深くていい。

[minako2009さんの感想 · 2017年7月3日]

ご都合主義とか現実的じゃないとか考える人はいるかもしれませんが私は好きです。
人にも植物にもというか町全体に魔法がかかったみたいにゆったりしているから。

お仕事小説という側面もあるのかもしれませんがそれよりも「植物を介した人のやさしさ」を重要視した小説なのかもしれません。

私は植物を育てた経験というものが小学校時代のアサガオくらいしかありません。
それは宿題だからやれたけれどプライベートで根気よく育てられる自信がありません。
そういう家庭で育ってないし。

でも緑は嫌いじゃないしそういう生活は素敵だな、と思います。
簡単なものになるけれど育てたい気持ちになりました。

[海さんの感想 · 2017年4月4日]

植物が大好きな気持ちが物語全体に行きわたっていて、ほっこりする内容になってます。
樹木医を目指して造園会社に就職するというお仕事小説的部分もありますが、辛い描写がほとんど無いので、安定した優しい気持ちで一冊丸ごと読み終える事が出来ます。

[madmarbleさんの感想 · 2016年5月1日]

樹木医の実際の作業部分があまり出てこないので、ちょっとだけもの足りなかったが、それなりに面白かった。現実味が少し足りない気がした。

[mui-muiさんの感想 · 2016年3月27日]

テーマとしては面白い。ただ各話のオチがもう一つすっきりしなくてモヤモヤが残る感じはある。あと、登場人物の関係も含めて、持って行きたい方向がちょっと見えないかな。