平安あや解き草紙 ~その女人、匂やかなること白梅の如し~ (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804271

作品紹介・あらすじ

恋に仕事に謎解きに。
働く姫君の平安事件簿、歓喜の大団円!

帝に忠誠を誓う伊子を見限った入道の女宮は、伊子の恋人である嵩那と大納言の娘・玖珠子の婚姻を画策する。
しかし玖珠子は姉の麗景殿女御の看病を名目に、婚約の話を中断。
そんな中、洛外では疫病流行の兆しの報せが届く。立坊式の準備もいよいよ大詰めで、後宮を管理する伊子は気の休まらない日々。
そんな中、帝が病に倒れた。
それが入道の女宮の呪詛ではないかと囁かれ……。
帝を守るため、嵩那を巻き込まないため、伊子は入道の女宮と最後の対決を決意する!

恋も仕事も諦めない!いつの時代も、働く女性は忙しく、そして幸せ――。

【目次】
第一話 私の存在に覚悟するがいい
第二話 生涯、お傍においてくださいませ
第三話 こんな日々も悪くない

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。読了感すっきりさわやか大団円。今上の帝と東宮の愛をあつめ、ときめく尚侍伊子、、、ときめいてるといえばときめいているし、いないといえばいないが。ともかく、現代の仕事できる女性的で刺さるシーンやセリフも多く、胸がすく。入道の女宮との決戦も良いし、嵩那も帝もとても素晴らしい。なんとなく、伊子に夕顔の娘の玉鬘の君のイメージがかぶる(主観)。

    「余計なお世話や。去ね、このくそ爺が」

    うおおおおおぉぉぉ!!!!

    30代(現在に換算すると40代ぐらいかも)のヒーロー伊子の、痛快アクションなし舌劇。


    >己以外の女はすべて思考など持たないと無意識のうちに思ってしまっていたのだ。彼女たちが父親や夫から課された過酷な責務を、安堵どころか幸福なこととして受け入れていると考えていたのだろう。
    男の理に抗う、聡明な女性によくいる。
    女は憐れでで不幸で、だがそのこと自体に気づかないほど愚かな生き物。安穏な場所を与えてやれば、猫のように綱でつながれても不満は持たない。その中で自分だけが違う孤独な女だと、そんな歪んだ選民意識を持った結果がこの失態なのだ。

    >弾正宮にかぎらず一般的に年配者は、自分とちがう価値観を受け入れることが苦手だ。

    >仙人のような外見と悪意がなさそうな喋り方でごまかされているが、実はけっこう無礼な発言が多い人物なのである。

    >そのそも人の気持ちを動かそうとする努力より、自分の気持ちを整える努力のほうが現実的だ。

  • 見事な完結でした。

    何時の時代も女性は選ばなくてはいけない。

    仕事か、結婚か、子供を持つのか、持たないのか。

    どうして女性だけがそうなるんだろうと歴史関係の本を読むといつも感じることです。

    そんな中でこの答えを出したことが凄いなぁと(*^^*)

    楽しませていただきました♪

  • 時代背景を考えれば確かに突飛な人なのだろう。
    現代だとそこまで珍しいことでもなく、その感覚のギャップが、逆に物語の良さを捉えられずにいる気はしている。要は、ゆうても普通じゃない、と感じてしまう、わたしの感性の弱さ故、よかったぁ!!!となりきれない。
    でも好ましい着地であったことは確かです。

    2023.8.11
    126

  • 最終巻まで一気読み。恋と仕事の狭間でずっと揺れていた伊子ですが、自分の意思を貫き通したラストで力強さを感じました。
    宮廷行事など細部まで細かい描写で書かれたシリーズで、読み応えもあり楽しめました。

  • 背ラベル:913.6-オ-8

  • 平安時代の御所を舞台にした恋物語かと思って読みはじめましたが、現代のジェンダー問題に通じる女性の生き方、男性から見た女性の幸せに囚われ、もがきながら道を開いていく伊子に痛快さを感じて一気に読了。入道の女宮が囚われている価値観にも、最後は別の見方を提示できてホッとしました。価値観は様々ですが、それぞれが幸せと感じる生き方ができるような世の中であってほしい。またそれを貫くには障害は少なくないとは思うけど、そうするための力をもらえる作品でした!大河ドラマになって欲しいくらいです。

  • 最終巻でした。実は最初は単純に楽しめていたのだけど、女宮と伊子そして崇那の立ち位置が面倒臭い方向になってて読んでて気持ちがわからない所もあったりして、巻を重ねる事にこれどう着地するのだろうかと思っていました。恋も仕事も諦めないとなるとこうなるよね、な終わり方でした。色々ぼかしてあるけど…後はご想像におまかせかな。それとも番外編があるのか?

  • 平安宮中お仕事物語の最終巻。
    今回はミステリー要素はほとんどなく、恋も仕事も諦めない人生を選んだ伊子の大活躍で大団円だった。

    個人的ハイライトは二つ。
    伊子が赤痘瘡に罹った主上を看病する際、自分が主上を守ってみせると言い放つ姿。
    そして天敵、女宮を策略を持って追い詰める所。
    どちらも非常に男前でカッコいい。
    大切な人を守る為には鬼神も畏れず、必要なら悪にも手を染める。
    その覚悟の強さがやっぱり彼女の強さだなあ。

    途中まで主上の恋を応援していた身としては、でもこの結末も主上的には幸せなのではないかと思う。
    若干、伊子さんが母親的になってるような気もするけど笑。

    主上と東宮の両方から望まれる幸せなラストがこのお話に相応しい。
    最後までおつかれさまでした。

  • 最終巻。前の巻でそれぞれの覚悟を決めた伊子と嵩那の行く末、女宮の思惑の行く末、帝の思い、それぞれが向かう所が無事決着を迎えた。結婚という形に決着しない2人の在り方はすごく「今」だと思うし、伊子と嵩那と帝の、それぞれの立場での責任を果たすという覚悟は凄く共感が持てる。恋愛に終始しない結末は非常によかった。

  • 平安時代の30代なんて、お婆さん扱いなんでしょうね…。
    そういう意味では東宮も帝も変わり者。

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著者プロフィール

埼玉県出身、佐賀県在住。「平安あや解き草紙」「なりゆき斎王の入内」シリーズをはじめ、数々の人気シリーズを執筆。その他の作品に『西陣あんてぃく着物取引帖』『お師匠さまは、天神様』『後宮の薬師』『掌侍・大江コウ子の宮中事件簿』などがある。

「2023年 『華は天命を診る 莉国後宮女医伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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