- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087202403
感想・レビュー・書評
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表題での注目度は後から知った。
でも、この表題へとつながった「日本の伝統ー日本の中枢まで食い込む儒教という考え」には開眼させられる思いだった。
世界経済の基本単位は、「部下と上司の関係」であるから、それについて論じているのだが、作者本人が訴えたかったのは、もっと日本が日本古来の考えや思想を知ったうえで今後の方向性を見極める、そのことのような気がする。
バックに怖い人達をしたがえるやり方じゃなくて、日本てのは世界一現場を大事にした結果として世界一にまで上り詰めたんじゃないの?って、だから、今の現場を大事にしないやり方はまずいんでないの?と。
会社が大きくなることを前提にしているとしても、
大きくなることで、現場から距離を置くしかなくなった上司達は現場とは無関係な思いつきを口にできるようになっている、それが問題だよね?
”会社が大きくなる”という動機に歯止めをかけたほうが良いことがわかっているのに、それを無視するのは馬鹿だよね?と。
納得至極。
個人的に、儒教という考え方について知ってみようかな、と思えた。
これは、ビジネス書というよりは、日本、そして日本を構成している会社という単位のバックボーンを紐解いている書籍。
下記本文抜粋***
「政治の実権を握る者たちはその“徳”に自信がないから、”徳のエキスパート”である天子にいてもらいたがる」
「日本と儒教の本場中国とでは大きな違いがあります。それは、同じ儒教圏の朝鮮と日本の差でもありましょう。なにかというと、「日本には王朝の交代がない」ということです。・・・天皇に政治的実権がないのは、これを補佐する「特別の立場の臣下」がいるからです。・・・この特別な立場の重臣達が天子達に対して「ご学問をなさいませ」をもっぱらにしていた・・・事実、公家諸法度を出した江戸幕府は、天皇に「学問御専一の事」を押しつけました。・・・天皇から政治の実権を奪ってしまうー日本政治の実力者達は、みんなこれをします。しかし、中国の悪人はそんなことをしません。天子から政治の実権を奪いたがる彼の国の悪人は、天子に「酒色」を薦めるのです。そうやって天子を愚かにするのが、天下を簒奪するための悪人の手法です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009/12/05 文体に慣れるまで眠かった。話題作でノリは軽い割に読みにくい
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(2004.11.17読了)(2004.10.10購入)
橋本治さんの「枕草子」現代語訳は楽しく読ませてもらった。その橋本さんが、ビジネス書とは・・・?サラリーマン経験ゼロで一体どのようなことをお書きになっているのやら。面白そうな題名だし、よく売れていたし、会社の同僚も読んでいたので、ちょっと読んでみることにしました。
●サラリーマン経験ゼロ
「実は作家というものは、「出版社」という会社における「お出入り業者」なのです。作家には「担当編集者」というのがいます。お出入り業者の作家は、こういう方と「納品の打ち合わせ」をさせていただきます。そのような形で、「会社」というものを分かるのです。」(直接的な体験でないといけないという事はありませんけど、作家は直接体験したことでなくても、取材と、想像力で、体験者以上に上手に表現できる人のことな訳ですから。)
●「よく考える」と「ちょっと考える」
「私にとって「よく考えろ」は、「お前は馬鹿か?」の同義語です。簡単に分かることなのに、思考が散乱しているから、目の前にある分かりきった答えが見えない。だから、「よく考えてみな」と言う、言われる。」
「深刻とか重大とか、それこそよく考えなくちゃいけない問題にぶつかった時、私は、「ちょっと考えさせて」と言います。」
●上司は思いつきでものを言う
上司に「なんかアイデアを出せ」と言われて、「これはいい!」と思えるアイデアを企画書の形にすることに成功し、万全の態勢で説明したのに、企画がぽしゃる。
上司のクレームはとんでもない、想像を絶したところから出てくる。たとえば、「ああ、これはウチじゃ無理だな」とか。
「上司たちは、自分の無能とそれに由来する責任を認めたくありません。と同時に、あなたのような「下っ端の若造」にイニシアティヴを取られたくもありません。だから、あなたの言うことを否定しにかかるのです。」
●正しい上司と愚かな部下
「正しい上司と愚かな部下」という組み合わせはあるでしょうか?ありえません。
部下を愚かなままにしておく上司は、「いい上司」でも「正しい上司」でも「賢く正しい上司」でもないからです。部下の愚かを野放しにしておくのは、「愚かな上司」です。
●企画書の書き方
企画書というのは「ある程度なら知っていて分かるかもしれないけれど、実は何も知らない可能性さえある上司に、分からせるもの」なのです。だから、「上司の頭が悪い」とか「古い」というのは、言い訳になりません。あなたは、上司に分かるように書かなければならないのです。(担当編集者から仕入れたネタでしょうか?)
●国際ルール
「どうして日本人が国際競技で優勝すると、すぐに国際競技のルールは変えられてしまうんだろう?」
著者 橋本 治
1948年3月 東京生まれ
東京大学文学部国文科卒
1977年 「桃尻娘」で講談社小説現代新人賞佳作受賞
1996年 「宗教なんかこわくない!」で第九回新潮学芸賞
2002年 「「三島由紀夫」とはなにものだったのか」で第一回小林秀雄賞受賞
(「BOOK」データベースより)amazon
この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを、儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男たちが、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものが好きなのか。こんな「なぜ」も見えてきます。そして、では日本はどうするのか―「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司のみなさんにも、上司でないみなさんにも、懇切丁寧な今後の道中案内の書であります。 -
・上司も人間だということ
・声に出してあきれる
・現場の声に常に耳を傾けたから日本は世界一の経済大国になった -
その訳は、上司というものが現場を離れて、「部下の上司でありかつ上司の部下である」という上司のピラミッドの中にあるから。
それは現場というものを知らない官僚社会。現場とは違うルールで構成された社会である。
会社の中のルールを作るのが総務であり総務が強くなると現場は疲弊する。
官僚には官僚のルールがあって、それは現場とは乖離する。
現場の声を聴くというルートがないと、会社というものは平気で現場と乖離したまんまになる。 -
上司にいらっとしたら読む本。儒教まで発展するので、話の飛躍ぐあいにニヤニヤしてしまう。
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上司は故郷に帰れない。
故郷を現場に置き換える。
官僚問題などの具体例も多い。上司も会社という組織の中では小さな一人の人間だって思えばいい。 -
タイトルはセンセーショナル、でフランク。
が中身は軽いとは決して言えない。
面白かった。発見が多かった。けど、自分の中で、これって
こういう本だったってまとめることができないのは何故。
せめてあと10ページ増やしてまとめて欲しかった。
一般人の脳みそじゃ、あの話を立体的に組み立てることは
ちょい難しいぞ。と思うのだが。
特に儒教の話辺りからギブアップ気味でした。
新書でこれは珍しいかもしれないけど、この作家っぽい
自分の世界観築きすぎました的な感じが私は好きだけど。
悔しいのでもう一度読んでみようかしら。
橋本治の本も他にあれば読んでみよう。 -
橋本治さんに初めてであった一冊。
筆者のレトリックがすばらしい。
難しいことを読者にわかりやすいように書く。
橋本さんのようなもの書きは本当に感銘をうけますね。 -
原稿を書けと言われたので、資料として買ってみました。
センター長は思いつきでものを言うというタイトルで書いてみようと思ったから。
没にならないことを祈っててください。。。