大人は泣かないと思っていた (集英社文庫)

著者 : 寺地はるな

• 集英社 (2021年4月20日発売)

感想・レビュー・書評

[TOKOさんの感想 · 2021年12月1日]

主人公の男性が、今の自分の境遇から逃げ出すこともなく、深刻になりすぎることもなく、生まれ育った田舎町で、家族やご近所さん、友人、職場の同僚との毎日を卒無く消化している。新しい人との出会いもあるが、それでもなお現状維持で過ごすのか、一歩踏み込んだ人間関係を築いていくのか。短編それぞれにおいて、主人公の周囲の人々が結婚、離婚、再婚、それらを決意する時の心の揺れや不安、希望がよく描かれていた。

[Yoshikazu Hondaさんの感想 · 2021年10月23日]

遠くばかりを見ないように
遠くを見過ぎて目の前にあることをないがしろにしないように
全部ひとりでやらなくて良い
怒鳴りつけて自分の要求を通すというやり方は品がない

[りおさんの感想 · 2021年9月17日]

語り手が変化しながらも、全部が1つに繋がっている。心に染みる言葉がたくさん出てきた。

[amore mio さんの感想 · 2021年8月16日]

タイトルとはちょっと違った印象の内容でした。
田舎だからいろんな古い考えがあって、でもある程度変えていかないといけない価値観もあったり。
人それぞれ価値観は違うし、それを家族であっても人に押し付けるのはちょっと違う。
なんかこう上手く言葉で伝えられないんですけど、それぞれの価値観がうまく描かれていた作品でした。

[ふくろうさんの感想 · 2021年8月11日]

私の周りの人達の話かと思った。地域狭くて、人の目気になる感じ。　くーっと唸ったり、よしっ！と拳握ったり、疲れたー。

[まにーさんの感想 · 2021年8月8日]

田舎町で生きる、その狭いかもしれない世界でそれぞれが葛藤を抱きながら生きるその姿勢や生き方がすごく分かるものがあって、
そして素晴らしいかつた。

人からの視線やどう見られるかとか、またひとの噂を娯楽としている田舎で

男、おんな、わかさ、そういったものに囚われないように、
強く生きていけたら、またそういった障害を持ってもいいのではないかと思った。

[うっちゃんさんの感想 · 2024年3月19日]

いろんな考え方の人がいて　いろんな見方があって　正解とかじゃなくて　自分が考えて選んだ事を信じて進めばいいんだよって気持ちを前向きにさせてくれる話でした。良かった。
この言葉、いいなと思って付箋を貼った箇所が幾つも…
化粧は若づくりのためではない。異性に見せるためにするのでもない。自分の心を明るく保つためにある。
摘まれた花は摘まれない花よりはやく枯れる…わたしは花を摘む。摘まれた花だって咲いた場所とは違うところに行ける。違う景色を見ることができる。たとえ命が短くても。

[chisaさんの感想 · 2023年9月27日]

連作短篇集。
ついつい先を見て、行動できない時田翼が、周りとの関わりで、行動を起こそうとする、そんな様子が描かれている。
女性だから我慢しないといけないものではなく、自分を出していける存在であることなど、一つ一つのエピソード、そうそうと思えるところがたくさんあった。

[さとこさんの感想 · 2023年5月27日]

涙目で読んだ。

[だいさんの感想 · 2023年5月6日]

妥当じゃない　が良かった。

好きな人を妥当か妥当じゃないかで悩んでいたら、
ひたむきに、切実に、その人を求めてる人に取られてしまう。
そして、取られてから妥当とかじゃなく「好き」だったと気付かされる。
頭の中では理解できても、行動はすぐには変えられない。

数年後、本当に幸せな顔をして笑っている平野さんを見たいと思った。
その頃には、ひたむきになれてるのだろうか？

著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。