貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087454895

作品紹介・あらすじ

コネと召使いを駆使して事件を解決していく、全てにおいて型破りな「貴族探偵」に、新米女探偵高徳愛香が果敢に挑む! 期待を裏切らない傑作トリック5編を収録したシリーズ第2弾。(解説/大矢博子)

感想・レビュー・書評

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  • 最後の「なほあまりある」で見事に騙された。
    人生で初めて「1本取られた…!」という感情になり、あとから思い出せば思い返すほどそういうことだったのかと納得せざるを得ず、読了はとてもスッキリした。

    ただ、その他の4篇では、「貴族探偵対女探偵」と言ってもいいのかというほど推理力に差があり、最終章の布石とはいえ、すぐに貴族探偵を犯人だとする女探偵の推理に飽き飽きした。
    特に「幣もとりあへず」が意味がわからずイライラした。最初は校正ミスかと思いネットで調べてみたが正しいらしく、理解出来た人は構成を褒め称えていた。
    ちゃんと考えれば理解できそうだったが、その前にイライラしてしまったので考えるをやめた。解説も読んだがよく分からなかった。

  • 前作からオールドスタイルな女探偵、高徳愛香が加わり、貴族探偵に対するツッコミ役を担っている為、前作よりコメディ色が強めな印象でした。

    前半3遍は可もなく不可も無くな感じ。愛香の推理が貴族探偵を犯人とするという縛りを設けていたとしても、ツッコミ所満載のガバガバ推理なことを除けば。

    4編目の「弊もとりあへず」は前作の「こうもり」を彷彿とさせる作品。 叙述トリックと逆叙述トリックが合わさり、読者、登場人物、実際に発生した事件、3つの認識すべてにズレが生じて物凄くややこしくなっていて、面白かった。ただ、初めて逆叙述トリックというものを味わった「こうもり」のインパクトを超えられなかったのも事実。

    最後の「なほあまりある」は今までの短編に起きた出来事が、手がかりとなっているのが、まさに連作短編集の最後の話として相応しいなと思った。
    使用人がいない貴族探偵がどうするのかと思っていたけど、実は愛香が知らず知らずのうちにその役割を担っていたというオチはニヤリとさせられた...w

  • 愛香が、"貴族探偵が犯人だ"と指名し、"やれやれ、真犯人を教えてやってくれ"、と執事やメイドの推理で真相がわかるという流れが3回くらい続き、1回目は面白かったが3回は、さすがにくどいなと思った。
    最後の最後に、"今回、愛香に探偵依頼したのは自分であり、この島に着いた段階で君は私の所有物だった訳だ。毎回、私の所有物が推理を果たしている。私は根っからの貴族探偵だろう?"という感じで、してやったり、な良い終わり方だった。
    結局、貴族探偵の本名も素性も謎のまま2作目が終わったが、もう少しバラして欲しかったな〜

  • 貴族探偵の2作目。
    高徳愛香という女探偵がレギュラーメンバー入りしたことで「謎解きはディナーのあとで」のような、シチュエーションコメディ要素の強いミステリー小説となっています。

  • 前作のとおり、推理しない貴族探偵に、果敢にツッコむ、けどハズす女探偵愛香、推理するのはやっぱり使用人。すべてをこの枠にピタッと嵌めてくるのか、と思いきや、ラストでまさかの変化技、でもやっぱり貴族探偵は推理しない。前作より私は好きです。続編待ってます!

  • 貴族探偵という自分で推理しない新しいタイプの探偵に女探偵という要素が加わりパワーアップした印象。毎回同じパターンかとおもわれたが、ラストで「やられた」。この作者の別の作品も読んでみたくなった。

  • エンタメ小説である。
    著者の作品で比べると、他の作品の方が好きだったかなぁという気持ち。

  • 貴族探偵の続編と知り、購入。

    うーん…
    これなら前作の貴族探偵の方が面白かったかなぁ。
    女探偵が貴族探偵を犯人と決めつける同じ展開が続きすぎて、途中から「はやくこの本終わりたい」って思っちゃいました。
    だけど読みかけの本を途中で放棄するのは嫌だから最後まで読みましたが…
    そんな感じであまり集中出来ずに読んでいたせいか。4話目は途中から訳が分からなくなっちゃいました(^_^;)

  • 最後に収録されている作品が、一番面白いかも。“貴族探偵”とは、安楽椅子探偵とは違って、まさに“貴族の”??探偵なんですが、本書収録の差後の作品は、まさかそういうオチになるとはねぇ。まぁ、作中伏線は張ってあって、初出の時は「?」と思ったんですが、最後に「あぁ、そういう意味だったのね?」と氷解。

  • 「貴族探偵」という強烈なキャラクターと、駆け出しの女探偵。
    対照的な探偵を登場させることで、前作よりも貴族探偵のキャラクターが際立っているように感じる。

    1作目〜3作目は、派手さはないがロジックがしっかりしている。ただ、読んでいてあまり新しさがないのは難点。

    4作目『弊もとりあへず』は前作の『こうもり』でも用いられていたトリックが使われている。
    もちろん驚いたし面白いが、一度味わっちゃってるからな...

    と、ここまでは出来としては及第点といった感じだが、5作目でなんと連作短編集のような作りになっていたことがわかる。
    1作目〜4作目に散りばめられた伏線を回収し、愛香が学んだ"貴族探偵の習性"を用いて事件を解決。

    全体としては、派手さはないもののしっかりしているミステリーといった感じ。第3作、シリーズ初の長編を現在連載中とのことでそちらも楽しみ。


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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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