ばけもの好む中将 六 美しき獣たち (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455977

作品紹介・あらすじ

夫との不仲に悩む、宗孝の九の姉。帝の寵愛を受けて懐妊中の異母姉・梨壺の更衣を羨み、不満を抱える彼女の前に、「あなたは特別なお方」と言う老巫女が現れて……? 大人気シリーズ、波乱の第六巻!

感想・レビュー・書評

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  • 九の姉が中心で進む話。この人がまたまた癖のある人だねえ。いや、人間らしい屈折があっていいのかも。でも、きっとこれからもかき回していく役割をするんだろうな。トリックスター的?いやはや宗孝も大変だ。稲荷社の巫女さんたちが猥雑ですごい。親玉の空中3回転半も強烈。淫靡な踊りは本当にあったんだね。和泉式部が実際に目撃したみたいだし。

  • 怪異譚が大好きな近衛中将・宣能と彼に付き合わされ怪異の現場巡りのお供をさせられる右兵衛佐・宗孝コンビのシリーズ第六作。
    ついに人物紹介欄が出来た!十二人もいる宗孝の姉たちの整理も出来てありがたい。

    今回は九の姉君の話。
    七の姉君同様、夫は地方に赴任しているのだが、夫と同行した七の姉とは違って九の姉は一人都に残っている。
    夫からは最近文も贈り物も途絶え、地方に新しい妻が出来たのでは?と疑っている。
    そんな折りに宗孝に付き添ってもらって行った稲荷社で出会った老巫女集団に何故か付きまとわれて…。

    これまで登場してきた姉君たちの中では最も生々しいかも。自分で選んできた道なのに上手くいかなくなるとたちまち人と比べて劣等感に陥ったり逆に人が辛いときは優越感に浸ったり。
    結局自分に自信がなく確かな拠り所がないから不安定になるのだろうけれど、十一の姉のようにズバッと嫌うことが出来ないのは、どこか九の姉に似たような経験や心情があるからだろうか。だが逆に同族嫌悪というか、痛いところを突かれた感もある。ひとたび違えば九の姉のような危うさに陥るかも、と思ってしまうのだ。
    逆に梨壺の更衣のように主上の愛を全面的に信じられる人や、十一の姉始め自分の力で道を切り開ける人には彼女の思いは分からないのだろう。

    これほど生き方も価値観も違う姉たちそれぞれに寄り添える宗孝は、それだけで結構な才能だし素晴らしい人物だと思う。老巫女を夢中にさせてしまうだけのことはある。
    本人は気付いていないが、その気になれば雅平を凌ぐモテ男になるのでは?

    今回は怪異話というほどのことはなかったが、宣能と宗孝の良い関係が戻ってきたし、前作に出てきた民間陰陽師の歳明が怪異現場巡りのメンバーに加わりそうで楽しみ。
    さらに東宮の君と十二の姉との関係は変わらぬようでいて水面下では変化もある。楽しみなような不安なような。
    一方で宣能の妹・初草の君の体調不良が続くのが気がかり。

    そして何と言っても宣能・初草の君の父親である右大臣が何をしようとしているのかが気になる。
    『物の怪ばかりを追うのは、ひとが信じられないからであろうに』
    右大臣の宣能に対する指摘はそれこそ痛いところを突いているのかも知れない。宣能と右大臣は似たところがある。
    しかし宣能には初草の君以外に宗孝という、新たな信じられる人を得たのだが。

    九の姉の運命はどうなるのか。彼女の夫はどうなっているのか。
    次巻で決着となるのか、さて。

  • 宗孝ほんっといい子!
    私にもこんな弟がほしい。
    九の姉君にまつわる事件の話だけど、宗孝がいつも不憫でかわいい。
    やさしいのでお年寄りにもてるのもわかる。
    ますます人間関係が入り乱れ始めて、あっちをつつけばこっちももつれるみたいになってきてる。
    宗孝はこれからも苦労するんだろうな……

  • ついに九の姉が登場。
    今まで宗孝の姉上達がみなさん良い人達で。衝動性や嫉妬にかられる方がいなかったので、ある意味人間らしいかと。
    右大臣系以外にも注意すべき人がいるのは大変ですが、みんな幸せになって欲しいです。

  • なんでー右大臣何考えてるかがわかんない
    九の姉上は衝動的すぎるなあ
    巫女の方がかえって向いていたのではないかしら、、
    夫もどうしてるんだろ

  • やっと12人のお姉さんが全員登場しましたが、未だに半分以上はちゃんと把握できていません…
    今回は怪異は少なめで、9番目のお姉さんの不安な気持ちや、揺れてしまう心といった、複雑でモヤモヤする女心がメインのお話でした。なんだか人間らしい彼女の心情が、分かりやすい文章で書かれているので臨場感があって、覗いてはいけないものを見てしまった気持ちになって終始ドキドキしていました。
    真ん中あたりで真白の君と春若のお話が少しだけ出てきました。今のところ、この2人のこれからの展開を一番楽しみにしています。春若は健気で一生懸命頑張っているから応援したくなってしまうし、真白の君も好感の持てる強くて素敵な女性だから、春若が好きになってしまうのも分かるなぁ… 真白の君は、今まで子どもだからとあまり相手にしていなかったけれど、これからどうなっていくのでしょうか。

  • もしかして1回もばけもの遭遇しなかった?

  • 何故か5巻が無かったので6巻に進む。
    九の姉上登場。宗孝の舞踊のルーツはここだった!(笑)
    大概な老女集団に見込まれたり結構大変不憫な感じの九の姉上はそこへ行ってしまうか~という終わり方。

    何気に宗孝のピンチを中将が救うってのも良いバディだなって思ったり。

  • ここにきて、初登場の九の姉が登場! 小徽殿の女御、右大臣、初草をまきこんで何処に。。。 安倍晴明なら、と嘆く歳明が、良い味だしてる(笑) もののけ話からちょっと遠ざかった感の六でした。

  • 九の姉上が登場。

    危なげな感じが、一番リアルなかんじがするなー。

    十の姉上は、相変わらずカッコイイ!

    東宮は、相変わらず十二の君にゾッコン。

    どうなるのか、次の巻が楽しみ!

  • 六冊目。女性が怖い巻。
    2018/5/22

  • いよいよ本当の怪異か?と思わせる事件が起きる。あやかしでないにしても怪異には間違いない。

  • 面白かった!けど、初草は…どうなるのであろう…右大臣の意外な親心?でもまだちょっと信じきれない…

  • 元気を取り戻し中将がいつものように
    怪奇にワクワクしてて楽しそうで安心。
    しかし、九の姉上はトラブルメーカーで
    宗孝は大変そう。
    怪奇の謎解きが無くて残念。
    次巻に続くのかしら?
    タイトルの美しき獣たちとはいったい何のことだろう?

  • 帝の寵愛を一身に受けて懐妊した、宗孝の八番目の姉・梨壷の更衣。彼女に密かに対抗心を抱く異母妹の九の姉と宗孝は連れだって稲荷社へ更衣の安産祈願に訪れるが、そこで怪しげな老巫女に声をかけられる。遠く離れて暮らす夫への不信感や不満を言い当てられ、動揺する九の姉。その夜、再び姿を現した老巫女は、「あなたさまは特別なお方」と九の姉を連れ出し…。波乱の予感のシリーズ第6弾! 心躍る平安冒険譚!
    (2017年)
    — 目次 —
    美しき獣たち~市井編~
    早春編
    美しき獣たち~宮中編~

  • 【収録作品】美しき獣たち ~市井編~/早春賦/美しき獣たち ~宮中編~

  • シリーズ第六弾。

    今回は、九の姉君が中心。こうゆうアダルトチルドレン?的な人っていますよね・・・。宗孝が相変わらず、苦労人っぷりを発揮しています。
    右大臣家と、宗孝たち姉弟の関わりが、どんどん複雑になっていき、続きが気になるところです。
    中盤に挟まれた、春若君の話に癒されました。

  • 毎回毎回面白いけど、いよいよ物語も佳境だな、という感じ。帝や春宮、初草、右大臣、更衣。そこに九の君まで加わりますます大変なことに。いつも思うのはよく調べられてるなということ。それに加えてうまいこと伏線を張り巡らせてある。好きなシリーズですね。

  • シリーズ六冊目。
    12人の姉を持つ中流貴族の青年と、もののけに興味を持つ中将の話。
    12人の姉がそれぞれ登場し、事件に巻き込まれるのを、2人が助け、解決する話が主。
    それぞれの姉同士の関係や思惑、宮中での人間関係などを織り交ぜ、面白く読みやすく書かれている。
    中学生向けかな。
    これを読むと、平安時代の様子がわかり、古典の授業も楽しくなるかもしれない。

  • 今回は九の姉がメイン。
    なんというか、なかなかに困った姉君でいらっしゃる。
    現在の自分の不遇を嘆くとき、あの時ああしていたらとか思ってしまうのは分かりはするのだけど。。。
    中将殿は、怪異を探しにお出掛けはほとんどなく、妹初草を大事に思う気持ちが伝わってきた。
    で、右大臣殿、あの、その方の素性を分かった上での行いなの?!わかってる可能性の方が高い気がするだけに、思惑が不穏。初草を思いやって子守を連れてったってだけではないかも、ってのが先が気になってしょうがない。

  • 九の姉君初登場。そして引っ掻き回すだけ引っ掻き回して以下次巻って…。
    1年に1冊の発行じゃ待てません。早く次の巻が読みたいです。

  • 登場人物こそが、物語の要と、よく教えてくれる1冊。悪い意味で。

    今までは、春若や真白など、キョーレツなキャラが、横からぐいぐい物語を面白くしてくれてましたが、二人は今回、ほぼお休みです。
    今回のメインは、九の姉。見てると腹がたつほど、おバカさんです。

    自分のこと、不幸だ不幸だって言うけど、自分で運命を変えるための努力は何にもしません。周りに文句を言いまくり、行き当たりばったりで行動するだけ。
    毒親のせいだけど、もう結婚もした大人なんだから、自分の意思で生き方は変えていっていい時期でしょうに。

    見てるとイラつく、同調できないメインキャラで、最後まで押し通してしまったので、読後感が全然よくありませんでした。

    布石として、必要なキャラだったのでしょうが、今まで盛り上がってきた面白さが、ここでぶった切られてしまい、ちょっと残念です。

  • 九の姉が梨壺の更衣のもとにあがったらどんな事になるか、とか、春若の正体を知らせず十二の姉との成り行きを伺うとか、敢えて事を起こして眺めようって魂胆が透けて見える人の悪さよ。さすが右大臣と父子というのが本当の通ろなのかな。ちょっと宣能のことが怖くなってきた。そしてラスト、右大臣は一体何を企んでるの?おー、怖っ。春若と十二の姉上の恋物語で和みたい、笑いたい。(12人の姉上の人物紹介がやっと載って助かる~。)

  • このお話やっぱり読みやすい。あっという間に読み終わりました。この巻でようやく12人の姉の人物相関図が載っていて頭の中が整理出来て良かった。今まで出て来なかった九の姉中心のお話でさらに展開されるようです。九、十、十一の姉の3人が同い年ってとても複雑…

  • 九の姉上初登場。鬱屈している人ですね。そこへ出くわした稲荷社の専女衆の圧倒的なパワー、大専女の華麗な回転ジャンプは、フィギュアスケートの超絶技巧のよう! 九の姉上も舞を披露するし、この巻も「踊るナントカ」系のタイトルが似合いそうですね。

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著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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