オクシタニア 上 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460650

感想・レビュー・書評

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  • 著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)

  • 登場人物が皆深い悩みを抱えてる。信仰とは何か。読み進めるのがつらい

  • 十三世紀フランス南部、オクシタニアと呼ばれた豊穣の大地に栄えた異端カタリ派。ローマ教皇はその撲滅のために「アルビジョワ十字軍」を派遣する。戦乱が迫るオクシタニアの都トゥールーズの民兵隊長エドモンは最愛の妻ジラルダがカタリ派に入信したことを知り、不安にかられるのだが……。正統か異端か。神をめぐる壮大な戦いに巻き込まれていく男と女の運命を描く西洋歴史小説の傑作。

  • オクシタニア(アルビジョワ十字軍、カタリ派)もおすすめ。
    まあ例によってヒロインが男から見た女の可愛さ厄介さは完璧に描けてるけどリアルかというと疑問符がつきまくる感じだけどw
    それとオック語を関西弁で書いてる(ただしサトケン本人は山形出身)せいでこの手の「作者の出身地じゃない方言多用作品にありがちな、わかっちゃいるけどその地方出身者は猛烈な違和感に襲われる現象」とか、「特定の方言が苦手な人は神経逆撫でされる現象」があるけど、関西弁に正なり負なりの強い思い入れがなければ面白く読めると思う。

    この作者の得意分野のフランスを舞台に地味な事件をがっつり描いてるのはなかなか面白い。
    庶民が生き生き描かれてるのもいいと思う。

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    参考に読んでみたが酷いなww
    <南仏・トゥールーズ伯ラモンの大阪弁セリフ・・・>
    疲れとるどころか、これからすぐでも、おまえに三度は天国みしてやれるくらいや。
    おまえこそ疲れ果てて、まんこまで乾かしてへんやろうな。

    <ついでに、カタロニア傭兵ジョアンはなぜか広島弁・・・>
    濃い女は好色じゃあいわれとるが、なあ、ジラルダ姉さん、そいつは本当の話しかね。
    ということは、あれか。あんな痩せ男じゃあ、ジラルダ姉さんは満足できんかったいうことか。
    無理もない。あそこの毛が、あんなに濃いんじゃけね。

  • 男が目覚める瞬間ってかっこええ!

  • 佐藤さんの小説だから、きっと面白いお話だろうと読み始めたら、読み進めるのが辛くて辛くて…。上巻は、娯楽として読むには向かないと思います。ですが下巻(特に後半)、エドモンとジラルダが話の中心になると、途端に空気に金の粉が散ったようにきらきら輝き出して、妙に感動して面白いと思ってしまいました。投げ出さないでよかった。でも、正直バランスは悪いと思います。

  • 時は13世紀。現フランス南部「オクシタニア」と呼ばれた豊穣の地には、異端カタリ派の教えが広まっていた。同地の有力諸侯トゥールーズ伯ラモン6世によるローマ教皇使節殺害を契機として、北フランス諸侯による十字軍が組織される。破竹の勢いでオクシタニアを制圧するシモン・ドゥ・モンフォール。うだつのあがらない元田舎貴族を支えたのは神が自分に味方するという絶対の自信だった。
    一方、独立の気風で侵攻を阻もうとする都市トゥールーズ。カタリ派とローマ教会が混在するこの都市に、民兵隊長のエドモンと、カタリ派に傾倒していく妻ジラルダがいた。そして、盟主ラモン7世は、父が騎士シモンに奪われたオクシタニアの領土を回復していく。神は助けてはくれない、そんな思いを胸に。
    神とは、何か。聖と俗、生と死が絡み合う抗争の中で、彼らが縋る信仰とは何なのか。

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    久々の佐藤賢一さん♪いやぁ、長かった!いやいや、面白かった^^。
    当時の世相、聖と俗の利害や力関係などが盛り込まれたストーリー展開は本当に天晴れ。やはり、状況が複雑なだけに、少々説明が延々と続いてしまう部分はありましたが、それでも、脱帽。
    異端カタリ派と正統カトリックの論争が、夫と家を捨てて異端に走った女、妻のことを分かってやりたくて神との対話を選ぶ男、神を信じず自らの力だけを頼りに野望を抱く男、これら3人の個性あふれるキャラクターの対決に置き換えられているような感じですね。カタリ派の教えは、やはり正統カトリックが腐敗したからこそ出てきた教えで、確かに作中にあるような生そのものを否定する教えに未来はない、というのが正論かと。でも、冒頭、オクシタニアの戦いを回想する老僧が語るように、異端とただ退けられるべきものでもない、というのも、そうだよなぁ〜と。
    それぞれのキャラクターを通して語られる「神」の像は、どれも全部共感はできないけれど、それぞれにグッと惹き付けるものがあります。こういうのが宗教の魅力になっているのかなぁ、と。しかし、俗界との関係で言えば、宗教は大義となり、そして意地になっていく。ものすごい肩に力が入って読み進んでいた私でしたが、そうした人々の心理と聖と俗の現実を看破したエドモンの終盤の言葉で、私もなんかストンと拍子抜けしてしまったような感じでした。あの感覚、是非皆さんにも感じてみて欲しいです^^。
    ちなみに、私は母方がキリスト教で、その教えも本当に素晴らしいものだと思いますが、洗礼も受けていないしこの先も受けないでしょう。なぜならば、神の存在をまったく信じていないから^^;。そういう意味では、ラモンが一番共感できました。どうしてもけったいな(?)関西弁と相容れなくて、感情移入しきれなかったのが残念(笑)。
    ちなみに、女性が虐げられているシーン(性的にも思想的にも)も多く、中世はこういうのが普通な面もあったろうなぁ、とスルーできない方にはオススメできません。ま、これは著者の作品ではいつものことですが・・・。

    以下、ネタバレです。

    最後のジラルダの達する心の境地が、かなり不満。あれだけ蓮っ葉なことして、最後には「女は男に寄りかかるのが一番心地良い」みたいな結論。おーい・・・あんたの一生なんだったのさ・・・。この世の生とか、男女の睦み合いに価値を置かないカタリ派の教えとの対比であることは分かるが、あまりにもなぁ・・・。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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