生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 728
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462258

感想・レビュー・書評

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  • 最後の最後に、あまりに耐え難い「おわり」があります。
    隠れたどんでん返し名作小説。

    …の帯に惹かれて購入した1冊。
    基本、それなりに厚くて、読み応えのありそうな本を買いたい派なんですけど(笑)。
    通勤の電車内(わりと短時間)でしか読まなくても、2~3日位でさらっと読めてしまう本。

    題名からして、生前葬に関するお話かと思われそうですが。
    まぁ、古い友人の死を経験し、人生をリセットする意味での生前葬を考えた主人公の話ではありますね。

    <以下、ネタバレです。>

    傾きかけた親の会社を建て直す為、家庭を顧みずに仕事に没頭してきたワンマン社長の本宮。
    親の勧めるままに結婚した妻との仲は冷え切っており、愛人をとっかえひっかえしてきたが、現在の愛人だけは、長く続いていて、結婚という形に拘らずとも、この先ずっと一緒にいたいと思っている所に、妻の病気を知り、動揺する本宮。
    妻を理解する為に、今まで気にもとめなかった妻の生い立ちを知ろうと、妻の生まれ故郷に足を運ぶ事になり…。

    そこで知ったのが衝撃の事実。
    本宮の妻である涼子は過去に、妻子ある男性と不倫関係にあり、そのせいで男性の妻は幼い娘を残して自殺。
    その後、涼子と男性は無理心中を計るが、亡くなったのは男性のみ。
    という事実が分かった辺りで、ぴーんときますよね。
    案の定、本宮の愛人の正体は、両親を亡くした幼い娘で、涼子に復讐する為に、本宮に近づいた訳ですよ。
    ここまではありがちな展開ですけど、最後の最後はちょっとびっくり。
    この話、みーんな不幸ですね。
    本宮息子の言い分も分かるけど、そもそも、そういう事になった原因は涼子だろう! という気がしないでもない。
    話としては面白かったけど、スッキリするようなしないような。

  • 人に勧められて、一気に読みました。
    最初は「綺麗な表紙だな〜」と読み始めましたが、
    読み終えた今では、表紙に様々な思いを馳せてしまいます。
    最後は鳥肌がぶわ〜っと。
    もう一度読み返したら、また違った見方になりそう。
    帯にあった通り、どんでん返しの隠れた名作ですね。

  • 2015*10*24
    隠れたどんでん返しの名作ってのと、表紙に惹かれて読んだ本。

  • モノローグで語られた創業者の主人公の人生の締め括りについての話。

    終盤に一気に展開して、続きが気になったところでストンと終わった。
    途中まであまり楽しめなかっただけに、途中まで丁寧に書かれていただけにもう少し読みたかった。
    でもこの体裁ならこれで終わるのは自然なのかも知れない。

  • どんでん返しで有名なものということで読んでみたが、確かに面白かった。ただドンデン返しが大抵より悲しい結末になる気がする。実在する村や実際に伝承されている話をもとにしているのでそれなりにリアリティがありそうで怖い。
    地理&歴史が趣味の新井はキンシオに通じるものがあるなとふと思った。意外とそういう趣味の人っているよね。

  • 隠れたどんでん返し名作小説、と言われる一冊。先輩から借りて。どんでん返しは私の大好物である。
    上場企業の社長・本宮が主人公。彼が語り手となり、物語は進んで行くのだが、1章ごとに語る相手を変えている。そこがまた緊張感を煽るのに良い効果を生んでいる。
    知人でありベテランの人生相談回答者でもある元大塚綾子先生と、本宮の友人の死がきっかけとなり、彼は生前葬を企画しようと動き出す。そこから物語は、目をみはるほどのスピードで急展開していく。
    妻の涼子、2人の子供たち。そして愛人のさゆり。涼子に突然、不治の病に侵され、余命が幾ばくかしかないことを告げられてから、さゆりとの関係や、そして涼子の過去。様々な事実が明らかになっていく。富と名声を手に入れ、スピーチも饒舌、揺るぎない自信の持ち主であった本宮が、次々と明るみになる事実に動揺して、狼狽し、精神が少しずつ崩壊していく姿の描写がとても巧く、著者の力量を感じた。
    登場人物一人一人の存在が、後半の伏線を読み解く重要なキーパーソンになってるし。キャラクターの魅力は大きい。
    しかし、ラストの数ページが残念…。事実が明らかになった後の、本宮のラストシーンまでの展開が異常なほどの速さ。もう少し丁寧に描いても良いのでは??
    それと、さゆりの復讐への執念がそもそも尋常では無い気がする。両親を失ったのは、5、6歳のころ。そんな子供の頃から、大人になるまで恨みを持ち続けるって、少し現実的じゃ無い気がした。
    でもやはり全体を通しての物語の運び方が天晴れである。夢中になって読んでしまった。東北への旅の良いお供となった。

  • 本屋で立ち読みして読み終わった本。
    内容はライトで、その分いろいろ想像を掻き立てられた。もう少し読み込めば違った読み方ができるかもしれない。

  • 「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを……。

  • なんというか、最終的にすごいどんでん返しをくらう。
    うっそー!?
    ってかんじ。

    そんでもって後味が悪い!
    あー…
    なんかね、どんでん返しぶりは素晴らしいですが、好きじゃない…

    というのが結論。


    正妻、愛人、そして主人公。
    愛人、怖い…

  • 主人公の社長が語る形で進んでいく物語。自分の生前葬を開こうと思い、愛人のさゆりに告げるのだが、そのあとに自分の妻・涼子の寿命が短いということを知る。涼子のその姿によって、主人公は妻の過去を知る旅に出るのだが…(鬼無里村)
    「しがらみ」から抜け出したかったという涼子。その涼子と、愛人のさゆりとの関係とは?最後の悲しくも切ないラストに少し涙が出そうになった。

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著者プロフィール

東京生まれ。一橋大学卒業後、ニッポン放送ディレクター、編成プロデューサー、 扶桑社書籍編集長を経て1990年より専業作家。
1986年扶桑社在籍中に執筆した『Kの悲劇』でデビュー。2009年10月発売の『蛍坂』が200冊目の著作。
2011年9月ライフワークの『魔界百物語』がスタート。100本の書き下ろしミステリーに挑む。

「2012年 『幻影城の奇術師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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