小説フランス革命 6 シスマの危機 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467925

感想・レビュー・書評

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  • しししす(獅子死す)のお話し

  • ここまで読んできた感想をメモ程度に記しておく。1789年7月14日。バスティーユ牢獄が陥落する。その日を境に人民は革命の熱を上げ、10月5.6日にはヴェルサイユ宮殿へとその足が運ばれる。なんとなれば、市民の熱情は留まることを知らず、かつて抑圧を強いてきた貴族や王族へ沈殿していた怒りをぶちまけた。その功績は憲法制定国民議会の権勢を強めるに至り、教会財産の国有化や宣戦講和の権限の分有する議決がなされる運びとなった。だが革命の行く末はガニカニスムを悪と捉え、打ち倒すだけで解決するような単純なものではなくなってくる。アンシャンレジームはとうに脱却する向きであり、問題はむしろ革命を推し進める者が責任を持って正義を見通す眼差しを得るところであった。ここに着眼できていたのが革命のライオンと謳われたミラボーである。彼は第三身分の議員として革命を推進する活動を行いつつ、王族にも人権があるとして両方を擁護する姿勢をとった。革命を進めれば市民が喜び、議員たちの人気は保証される。だが、それに甘んじれば革命の精神からして本末転倒なのであり、足元をすくわれかねない。貴族よろしく権力を恣にするラファイエットなり、左派を極め反対派を叩き潰すロベスピエールなり、彼らの最後は暗かったことを我々は知っている。そして、ミラボーはその景色を見ていなかったにもかかわらず、そのことを知っていた。革命中の心理を我々は知らないので達観した目でものの良し悪しを見定めることができるわけだが、ミラボーは進行の只中で物事を見極めることができたことは驚嘆に値する。革命とは何か、ミラボーとしての革命とどのくらい差分があるのか。これから登場人物たちと見届けていくのが楽しみになった。

  • 第68回毎日出版文化賞特別賞
    著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)
    解説:吉野仁(書評家)

  • 東にロベスピエールが理想論をぶっていれば、行って現実に戻してやり、西にタレイランが己のプライドで話を台無しにすれば、行って後始末をしてやる。大臣も国王も議会も頼ってきたそんなミラボーが死んだ。そして革命はどこへ向かうのか。

  • ミラボーが死んだ。
    潔癖な独裁を恐れ、革命のためであっても王の人権を否定してはならないと訴えるミラボーのことばを、北朝鮮の脅威を盾に、有事だからと人権を脅かしかねない法案を成立させていく政権にも聞かせたいと思いながら読んだ。

  • ミラボー死す。享年42歳。
    欲得に忠実なミラボーと、理想を追い求めるロベスピエール。革命の物語はこれまで、この対照的な二人を中心に進んできたが、世間を知るミラボーの方が二歩も三歩も先んじていただけに、彼の死は喪失感が大きい。
    この喪失感はルイ16世も感じただろうし、ラ・ファイエットごときでは埋まらないだろう、というのが佐藤氏の見方。

  • 教会は分裂、ミラボーは死んでしまった。

  • 2014/05/25完讀

    聖職者民事基本法好不容易讓路易十六通過,但因為塔列蘭失策洩漏不成立宗教會議,又引起好不容易拉攏的神職人員的反抗,1791年初,部分神職人員拒絕向憲法宣示,引起シスマ(教會分裂)的危機。二月份,因為國王的姑姑內親王意圖逃向羅馬,引起議會亡命禁止法的議論,米拉波獨排眾議,反對這個禁止人權的法案(雖然也有將來讓國王逃到諾慢第成立新革命之打算)。但米拉波的身體狀況更加惡化,他在臨死之前勸告羅伯斯比爾(極度潔癖的理想主義者),「もう少し自分のことを考えたまえ。もっと自分の欲を持ちたまえ。己の欲をもち、持つことを自覚して愧じるからこそ、他人に寛容にかれるのだ、独裁というような冷酷な真似ができるのは、反対に自分に欲がないからだ。世のため、人のためだからこそ、躊躇なく人を殺せる。ひたすら正しくいるぶんには、なんら気も咎めないわけだからね。。。。人間は君が思うより、ずっと弱くて醜い生き物だからだよ。君が思うほど、美しい生き物ではない、とことん純粋な民主主義をやれるほど、強い生き物ではない。。。。醜い怪物だからこそ、よくわかるのだ、そのあたりの機微は。」 米拉波過世之後,馬上成為萬神殿第一號入殿者。

    最後羅伯斯比爾和米拉波的對話,讀起來相當令我感動。米拉波言之諄諄,但羅伯斯比爾卻沒有聽懂(這也是他之所以為他的原因),但是可以感受到他對羅伯斯比爾的惋惜與寄望之深!放蕩貴族米拉波的「ほどよい」政治信條,「つまるところ、あの男は人間が好きだったのだ。痛みを理解するあまり、弱いものをほっておけなかったのだ」,他的政治手腕,政治選擇,多角度,還有他這個人本身,非常「人間くさい」的面向,以及他和大時代編織的這些故事,令人獲益良多。而他這個角色寫得太有魅力,力道太強,讀完這一卷,以後他就不會登場了,我頓時也像當時的巴黎市民和議會一樣,有些茫然自失。

  • ミラボー……(涙)

  • シスマ=教会分裂。議会がますます混乱する中、ミラボーの死が迫る。
    死の床でロベスピエールに「もっと自分の欲を持てさもないと独裁者になるぞ」と忠告するシーンに、歴史を知ってる身として唸らされる。自分に厳しい人は他人の弱さをわからない。納得。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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