恋愛太平記 2 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471281

感想・レビュー・書評

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  • 読んでも何にもならないけど好き。
    姉妹間の距離の取り方が面白いなあと。
    まぎれもなく金井美恵子なんだけど、読み終わると金井美恵子らしさが曖昧になる。
    不思議、だけど好き。

  • いつまでも蜿々と読んでいたい部類の小説。続編がないのが心から残念。四人姉妹はまだ生きていて、ふとランダムにページを開いて彼女たちのその後をときどき覗き見ることのできる生きた小説というものを妄想してしまった。たとえは悪いかもしれないが、ものすごく細部に凝った「サザエさん」みたいな小説。

  • 『恋愛太平記』の第2巻。
    ある姉妹とその家族の10年間の生活を描いた作品。
    息の長い文章で、ある種、執拗に描写される衣類や食べ物、そして登場人物の心理……そういったものに圧倒された。

  • 2巻で一応完結なのですが、読み終えるとこれが「上・下」巻ではなく「1・2」巻なことに納得。完結したからといって、とくにラストに大団円があるわけでもないし、細かい問題は未解決のまま、これまでと同じ調子ずっと四姉妹のすったもんだは続いていくんだろうなあという。人生がそうであるように「きりのよいところ」というのはなく、きっと書こうと思ったらこれ永遠に書き続けられそうな(笑)。四姉妹が亡くなったとしても、その娘たちの代まで想像できちゃう。

    著者のあとがきに「細部に淫することで生じてしまう小説の物語的機能の失調状態の楽しさ」とありましたが、まさにその通りだったと思います。男性からしたら、とるにたらない女性同士のおしゃべりが延々と続いているだけだとしても、そのとりとめのない会話だけで女性は楽しい。くどくどと母親から聞かされる親戚の愚痴やら娘(私)の将来の心配ごとやら、友達から聞かされる旦那とのいさかいやら姑の悪口やら、女性なら誰しも実感をもって共感できるんじゃないかなあ。なんだか他人の気がしませんでした(笑)。

  • 感想は1に。

  • 母親と4人の娘。彼女たちが織りなす10年間の生活の諸相を描く。あれを食べただのこんな服だっただの細部へと注がれた言葉は溢れ「話」はいつしか別の「話」へと流れだしていく(そういえばあの時も・・・)。こうした「細部に淫することで生じてしまう小説の物語的機能の失調状態の楽しさ」(作者あとがき)を堪能し、その失調状態をふわりと受け止め、ゆるりと歩を進める「肉球的エクリチュール」(堀江敏幸)の愉悦に浸ることもできれば、「バカ」でも読めるか、と自問させる(高橋源一郎)パンチの効いた批評的言辞も時折差し込んでくる。枯れ行く一方の生活のなかで、今後折にふれページを繰るよう誘発してくる気がする。

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著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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