絹の変容 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 326
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087480634

作品紹介・あらすじ

レーザーディスクのように輝く絹織物-。偶然、不思議な糸を吐く野蚕を発見した長谷康貴は、その魅力に憑かれ、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で、蚕を繁殖させようとする。事業は成功したように見えたが、意外なパニックがまき起こる…。ミステリータッチの本格SF。第3回小説すばる新人賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • そして誰もいなくなった。

    子どもの頃に聞いたお蚕さんの咀嚼音はたった一回だったのに忘れられない。ただ怖かった。
    そのお蚕さんが巨大なんて…
    過去に広がらなかった物はそれなりの理由がある。過去に謙虚であるべきなのかもしれない。

  • 虹色に光る絹織物を作るため、野蚕の改造・増産が行われた。しかし、その野蚕は死に至る強いアレルギーを引き起こした。さらに凶暴性を持ち、人間を攻撃する。凶暴化した芋虫によるパニックアクション。遺伝子操作とか、放射線被曝とか無しで、こんな凶暴化が起こりうるのか?と言う疑問あり。

  • 「アクアリウム」「夏の厄災」ほどの重厚感はなかったが篠田節子お得意の有り得る近未来のミステリー。デビュー作と考えると、話に引き込む筆力は流石だと感じた。

    • やまさん
      おはようございます
      やま
      おはようございます
      やま
      2019/11/10
    • kakaneさん
      コメントありがとうございます。
      コメントありがとうございます。
      2019/11/10
  • 蚕に遺伝子操作をし、幼虫が人を襲うようになると言うパニック小説。

    これは…気持ち悪かった。
    幼虫が大量に発生したところを想像しただけでゾワっとくる。
    襲われるだなんて…本当にパニックを起こしそう。
    おそろしや。

  • 日本人は絹アレルギーを発症する人は少ないが、欧米人には発症する率が日本人よりも多い。この事実がストーリーの核となるストーリー。

  • 現実にもこういったパニックホラー系の出来事が起こったらどうなるんだろうと思うほどリアルでした。
    特に身近な生物(虫)が突然変異により暴走しだし、被害を拡大していく様は身の毛もよだつ描写でした。
    今回のお話は無事収束?に終わりましたが、徐々に手を付けられなくなる様子は某ゾンビ映画を思い出しました。

  • 美しく妖しくエロチックな小説かと思えば完全にパニックホラーでしたわ。気持ち悪いのなんのって……読点の位置がどうしても好きになれず小説としては好みでない。だけれども一気に読めたので娯楽としてはそれなりに楽しませてくれたんだと思います。

  • 話はテンポの良いバイオホラーなんですが、グロテスクな芋虫が集団で登場、活字でも鳥肌が立ちそうです。映像化されたら失神ものですね。?

  • 亡き祖母の嫁入り道具のひとつであった絹織物―レーザーディスクのように輝くそれに魅せられた長谷康貴。
    彼はその元である不思議な糸を吐く野蚕を発見し、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で蚕を繁殖させようと試みる。
    数年ががりで事業は成功したかに見えたが、仕上がった絹は一部の人間にはアレルギーを引き起こし、温室から逃げ出した蚕たちもまた……ミステリータッチの本格SF。
    第3回小説すばる新人賞受賞作品。

    私は蛾が大の苦手なので、なんでこんなの読み始めちゃったんだろう…とかなり後悔しました−
    大行進して餌となる動物に向かって行く描写は気持ち悪すぎる−
    こなす撒き散らして舞ってるのなんて、字面だけで自身にふりかかったようで痒くなる−うう。

    終盤は淡々と、事を引き起こした主人公たちでさえ薄い膜越しに見ているような他人事みたいに進んで行って…なんだかすっきりしない感じ。

    これがデビュー作なんて!
    先に何作か読んでましたが、そちらの方が重厚で怖くて面白かったけど、その原点であり源流なんだな−と。

  • 再読。
    包帯工業の冴えない二代目が夢見た幻の絹織物の再現。やり手の若手経営者や変わり者の女性生物学者を巻き込んだその夢の先には、長さ15cmと巨大化し肉食になった蚕の大群がもたらす災厄が待っていた。
    大人が次々食い殺される派手なシーンはないが、養鶏や乳児の逃げ場のない弱者を確実に狙って猛進する襲撃は地味ながら虫唾が走る不気味さ十分。噛まれるとアレルギー体質の人の死亡率を上げるという側面もリアル。
    対抗する人間の火炎にも動きを止めず、仲間の屍を乗り越えて進行する肉食蚕たちはさながらナウシカの世界のようだった。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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