新訳決定版 ファウスト 文庫版 全2巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (856ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087529203

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  • 「3000行もの韻律に秘められた愛」

    「新訳聖書」は20000行はあるという、そこまではいかないが、ゲーテは1人で3000行の文で50年以上の歳月をかけてこの作品を仕上げた、「色彩論」で「聖書」について特別な思いを書いていたゲーテにとって「愛」や「光」や「神」は人生のテーマであり、詩を書いて、それを集め、整理し構成し、3000行なる詩にまとめ上げた、ゲーテの韻律の特徴は詩の1行目と最後の行に「愛」や「光」や「神」の存在を綴ることだった。

    「ファウスト」において「合唱」という歌によってゲーテは「愛」や「光」や「神」などの知の存在とそれらを知らない無知の存在である人との対比を描き人が知の存在へと導かれることを描いた。

    ゲーテの音楽論は未完成のままに終わったが「ファウスト」による戯曲を描いたことでゲーテの死後、グフタス・マーラーによる交響曲第8番によって完成された、この交響曲第8番はグフタス・マーラーの妻アルマ・マーラーに捧げられている。

    「ファウスト」はモーツァルトが音楽を作るはずであったが叶わなかった、また、ベートーヴェンも第10番を完成することが出来なかった、ただ、彼らが芸術を追求したことでグフタス・マーラーが交響曲の9番のジンクスを避けて番号を組み替えることで交響曲第10番まで完成することが出来た、当時の観衆にとっては期待した第9番が実は第8番だということになるので混乱するが完成はした、グフタス・マーラーの最期の言葉は「モーツァルト」であった、彼らは皆、芸術をとことん追求した、彼らにとって音楽は宇宙のハルモニアと考えられていて音楽を追求することは知の存在を明らかにすることでもあった。

    「ファウスト」は悲劇であろうけれども、合唱劇でもある、劇の終盤になるにつれてゲーテの詩も洗練された愛の詩となってくる、愛という光またたく薔薇がファウストに添えられて彼は天国へと旅立つことができたのである。

    ルター、バッハ、ダンテ、ゲーテ、モーツァルト、ベートーヴェン、シラー、マーラーなどを知っている人は彼らに1本の薔薇を添えるだろう。

    悪魔の大敵であり、不浄なものを焼く炎ともなる
    愛のシンボルである薔薇の花はゲーテにとっても愛のシンボルであったのだろう。

    モーツァルトがレクイエムでラテン語でイエス・キリストの名を書いたようにグフタス・マーラーの交響曲第8番に引用された「ファウスト」の韻文にもイエス・キリストの名が歌われている。

    「ファウスト」はゲーテの讃美歌の最高傑作であろう。

  • 茂木健一郎さんが「人間の複雑さをのぞく一冊」と評していたので。
    これはおもしろいとかつまらないとかじゃないね。
    全然わかんなかったけど、本の裏書きと解説で話の筋を理解。笑
    美しい文章。たぶん人生経験を経て晩年期くらいになったら共感や理解ができるのでは。。。と思いました。笑

  • 訳が読みやすく、戯曲の世界に入りやすい。入門書として最適。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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