失われた時を求めて 13 第七篇 見出された時 2 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ P 1-13)

  • 集英社
4.42
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610321

感想・レビュー・書評

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  • この小説が必ずしも第1巻の「スワン家の方へ」から順を追って書かれたとは限らないのだが、長大なこの作品の、しかも最終巻も終り近くになって、我々は作家が、まさに「今」書き始めようと決意する場にさしかかる。いずれにしても、この小説が書き始められたのは、多くの事柄が終って、「時」を経てからである。そうすれば、我々は、作家としての出発の「時」と、物語の終焉の「時」とにここで同時に立ち会うことになる。すなわち、この時初めて我々は、自分自身がこの小説の円環構造の渦のただ中にいたことをあらためて知ることになる。

  • 3.3

  •  ようやくこの世界で最も長い小説を読み終えた。こんなに長くなったのは、登場人物が時という偉大な次元によって外見的にも性格的にも変化させられる様を描くためだった。にも関わらずサニエットの描写が気に入らない。結局終始ダメな奴で終わってしまったような気がする。

     この物語を読むコツはズバリ置き換えである。プルーストも言っているように本を読むということは自分自身を読むことである。ラベルマはアイドル歌手、ベルゴットの小説は漫画など現代風に置き換えて読めば親近感増すこと請け合いである。難しく考えてはいけない。

     趣味の合う女は一夜限りで良くも悪くも影響はないが、趣味の合わない女は長く付き合うことになり、大きな影響を与える。このことは肝に銘じておこう。
     
     最後に人物索引がある。ここも読むことで各人物毎の物語として再度楽しむことができる。
     l

  • ああ、すごい、すごい!何ということだろう。

  • 重層な〈時〉を描写する為にこれだけ長く書かれた物語。すごいなあ。昔の印象からはまるで変わってしまった人々、名前を言われて漸く思い出したり、主人公も自分の年齢的な他者の捉われ方に驚く。全て、時がそれをしたのだ。50年100年で人は消えてしまう。けれども本にすれば、残り得るのだ。
    戦争中も反戦をシャルリュス氏の口から言わせた深い意図、これだけの物語を書いた透徹した視点を持つ作者ならではだろう。
    訳者の鈴木道彦さんが少しでも読みやすいようにと導いてくれて助かった。おかけで楽しく読み続けることができた。読めてよかった。

  • 失われた時を求めて13
    マドレーヌを紅茶に浸してから語り手の記憶から物語が始まり、最後に記憶の中の鈴の音で始まりと繋がった。ふたつの道は交わり溶け合い浮いて沈んでひとつになった。最後に見出した時。文学、絵画、音楽、恋愛、戦争、階級、人間心理などの考察は一度では汲み尽くせない。「神曲」がゴシックの大聖堂ならこの作品はバロックやロココ式の回廊で繋がった宮殿のようだ。この本こそ再読以降が本当に面白いのかもしれない。

    1巻を読み始めたのはいつだったか…1年か2年前…。
    センテンスが長く、余白も少ないのに500ページ近くあるので馴れるまで読みづらかった。逆にどこでやめてもまたすぐに読み始められることに気づいてからは通勤電車で読むのに最適だった。重さを除けば。ヴアントイユの七重奏曲は語り手に「赤い神秘的な呼びかけ」をしたが、そのあまりにも見事な描写のおかげで今まで避けてきたクラシックを聞いてみようという気になりクラシックの虜になってしまった。そういう意味でも特別な本。

  • 凡例
    はじめに
    見出された時(続)
    訳注
    主な情景の索引
    本巻の主な登場人物
    エッセイ 戦争とプルースト 加藤周一
    あとがき
    引用された文学・芸術主要作品索引 巻末
    登場人物作品 巻末
    (目次より)

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