三月の招待状

著者 :
  • 集英社
3.23
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本棚登録 : 810
感想 : 158
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712452

感想・レビュー・書評

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  • 「終わった!?」と声を出してしまいそうになったラスト。次のページを何度かめくり、続きがないことを知って考える。詩には何が込められているんだろう…

    276
    まだ何ものでもないというのに、すでに何ものかであるような傲慢な錯覚を抱き、今手にしているものは砂の一粒でも失うこともなく歩いて行けると信じている。自分が笑う時は、世界も一緒になって笑っていると疑わず、こっそり泣く時、世界が自分だけを苦しめていると思っている。なんと無知でなんと幸福な時間に、彼らは居るのだろう。

  • 34歳で読んだ、34歳の物語。
    ラストが良い!

    登場人物其々の物語がリアルで、個性的で、濃厚。
    どこか手が届くほど近くで起こってそうなそんな瑞々しさ。

  • 2021.12.21-474

  • これといった大きい事件が起こる訳ではないのに、何となく気になって読み進めてしまう。
    人物像の描写が上手で簡単に頭の中にそれぞれを思い浮かべてしまえる。
    こんなことで離婚?て思ったり、離婚してからしなかったら、、って思ってみたり、すごくリアル。

  • 大人になるというのはどういうことなのだろう。
    34歳。
    若い心算が年をとった男女が「大人になりたい」と「なりたくない」の波打ち際をいったりきたりする。

    <blockquote>つい最近、と多くから盆踊りを眺めているようだと感じたことを充留は思い出す、今この場でもおんなじようなことが感じられた。にぎやかさの中心はどこか遠くにあって、自分はベランダから遠い明かりを眺めているような。大人になるということは、ひょっとしたらこんなことなのかもしれない。</blockquote>

    大人になると言うのは、もう若くは無いんだと火がつかない萎びたマッチなんだと認めることなのかもしれない。

  • はしゃいでいた大学時代から、結婚そして離婚を経験した女性たちのなんと言ったらいいのかな「空っぽ感」のようなちょっと虚しい感じを描いています。ただ最終では、「振り切ってこれから頑張るぞー!」って様子があってホッとしました。なんか角田さんにしてはふつうの作品でした。

  • 大学時代のわちゃわちゃグループの少しずつ変質していく物語

  • かつての日々とともに生きてるひとのはなし。
    装丁ダサくない?

  • 29.4.4

  • 三月のある日、
    コラムニストとして活躍中の蒲生充留のもとへ
    大学時代の同級生夫婦の離婚パーティーの招待状が届く。
    離婚パーティー!
    いったい、どんなパーティーになって
    どんなメンバーがくるのだろう。

    離婚パーティーをしようなどと、悪趣味なイベントを計画したのは、
    澤ノ井正道と坂下由美子夫妻だった。
    大学時代を思い出していた充留のもとへ、
    同じく大学時代の友人の段田麻美が
    出席するのか、どうか、相談をしてきた。
    主婦となっているが、冷めた夫婦だった麻美は
    離婚パーティーで再開した大学時代の同級生、佐山宇田男と
    アバンチュールをしてしまう。

    若かったころの大学時代をおえ、
    34歳を迎えた今、離婚式などというセレモニーをして
    いったい何を訴えたかったのだろうか。
    私にはもうひとつ、よく理解できなかった。
    三月の離婚式のあと、男女5人の仲間との友情も
    不倫や遊び恋愛などが混ざり合い、
    それからの一年間を経て、複雑な様相をなすことに・・・。

    平凡な主婦がある日突然に
    現実の生活から逃避行したくなる気持ちはよくわかる。
    だがそれをしてしまってスッキリするものかどうか。
    周りの友人たちがどんな反応をしめすのか。
    冷静に書き綴った作品だったと思う。

    タイトルから、
    『不思議の国のアリス』の三月うさぎを思い出したが、
    内容的には、ファンタジックなものではなく、
    角田作品らしい仕上がりになっていたと思う。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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