オーダーメイド殺人クラブ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 688
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714036

感想・レビュー・書評

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  • 辻村深月!という感じの内容でした。
    とにかく痛い、イタい。でもその痛さは自分にも覚えがあるから痛い訳で・・・。
    主人公のアンに中学生の自分を見た気がします。(アンみたいに賢くもリア充でもなかったけど;)なので男性よりも女性の方が納得しながら読めるんじゃないかなと思いました。
    辻村深月の中学生というのは初めてだと思うのですが、やっぱりこの作家さんはこれくらいの少年少女の心理を書くのがうまいな、と。自分が特別で、狭い世界の中で生きていた時代ってきっとだれでもあったはず。そんな頃を読みながら思い出しました。
    クラスで外されるのとか、かと思ったらターゲットが別に移動して自分は何事もなかったかのようにまた仲間になってるとか、部活中もあからさまにパス来ないとか(私もアンと同じバスケ部だったので)色々と覚えがありすぎて読んでる間中痛かったです。
    また、女子中学生に対しての男子中学生の対比もおもしろかったです。あー確かにこんなんだったなーと。
    終始徳川視点はなかったので実際彼がどう考えていたかはわからないですが、アンに片思いしていたのなら河瀬に対しての嫌悪や、事件を暗に止めさせようとしている言動は納得できますし、なんだか切なかったです。

    全体的に暗いトーンで物語は続きますが、最後はさすが辻村深月。
    たった数ページで救われました。こうやって少女たちは大人になっていくんだなぁ。話としては全然違うけれど、なんだかスロウハイツの最後でイッキに泣かされたときと似ている気持ちになりました。
    こういうトーン・内容の物語でこんなに爽やかな、でも胸にひりひりと痛さの残る読後感が得られるのはやっぱり辻村さんだーと思います。

    早く水底フェスタ読みたいなー。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「 辻村深月!という感じの内容でした」
      そうですか、早く文庫にならないかなぁ~
      「ツナグ」が文庫になったのですが、映画を観てから読む予定です...
      「 辻村深月!という感じの内容でした」
      そうですか、早く文庫にならないかなぁ~
      「ツナグ」が文庫になったのですが、映画を観てから読む予定です!
      2012/09/14
  • 読後に浮上するのに時間がかかる作品。中2病といえばそれまでだけど何ともいえない苦々しさと恥ずかしさとがまざりあう。10代の頃に読んでみたかったと初めは思ったけど、いい大人になってから読んでこその話かも。大人は少年A・少女Aにはなれないけど、取り巻く状況なんていくつになろうがかわらないし。この作品で直木賞でも本屋大賞でもとってほしかった。

  • 永遠に続くもの何てないんじゃ ないか。けど私たちは、ずっと や永遠に惑わされる。何事にも 終わりはくるのに。

    主人公が終 わり(死に方)を隣の席の男子に 頼んで事件を作り上げようとす るお話。
    人は終わりがわかると 頑張れる。

    ドロドロした話かと 思ったら、終わりは、爽やかに 終わった。終わり方好きです。 女子中学生の心情が深く描かれ ていて、共感する人多いんじゃ ないかな。辻村さんは、人の感 情や心情を描くのが上手い。欲 をいえば徳川の心情も描いて ホシカッタナ。
    徳川君なぞです。

  • 痛々しいくらいまっすぐの一冊。でも、けして読むのが辛いわけじゃない。辛いところもあるのに、読むのがやめられない。

  • 星五つのうち一つは作者のファンだから、と言われても仕方ないかな。

    年頃特有の、デカルトの考える葦の更に先、自分はおよそ取り巻く環境についてアイツやソイツよりも一早く理解しているんだ、といういわゆる中二マインドを作者の色が強く滲み出たアプローチで書き上げられていた、そんな作品だった。
    手にかける覚悟、手にかけられない躊躇、根底に見え隠れする優しさが程よいマーブル模様を描いたいい物語でした。

  • 中学二年、「リア充」の少女と、「昆虫系」の少年、おおよそ似つかわしくないふたりが共有していた秘密。それは、少女を殺す「事件」を起こそうとしていることだ。
    …このお話にどっぷりハマった、彼女彼等のイタいけれども真剣に世界を憎み恨む気持ちがキリキリするほどわかる、という感想を書いたら、それは本当に「中二病」っていわれるかもしれない。けれど、世界が学校や家庭の外にも広がっているなんてとても信じられないこの世代にとっては、それらの揺らぎは致命的であり、生死を危ぶませるものであるのは、確かなんだと思います。そう思えたから、わかったから、そして今でもその気持ちを(これこそ本当に痛いかもしれませんが)無くしてはいないと思えているから、このお話を真剣に面白く読めました。そして、くっと切ない、ラストのさわやかさに、ほっとさせられました。

  • 最後の一言がよかった。

    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      砂月さんも辻村深月さんがお好きなんですね。
      私も『名前探しの放課...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      砂月さんも辻村深月さんがお好きなんですね。
      私も『名前探しの放課後』や『スロウハイツの神様』が大好きで
      デビュー作からなるべく順を追って読み進めているところです。
      というわけで、この『オーダーメイド殺人クラブ』はまだ読めていないのですが
      砂月さんのレビューを読んで、最後のひと言がもう、気になってたまりません!

      砂月さんの本棚にこれから並んでいく本も
      そして簡潔で背筋の伸びたレビューも、楽しみにしていますので
      どうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2012/11/18
  • 具体的な未来が見えない中学二年生。場所的にも時間的にもとても狭い世界で生きている。自分は他とは違う特別な存在であるということを、周りに認めて貰いたくて仕方ないんだろうな。登場する中学生たちの気持ちが理解できるような気がするのは、これを書いたのが"大人"だからなのかもしれない。

    http://mylovelybooks.jugem.jp/?eid=413

  • 図書館にて約80人待ちだった時に予約し、やっとまわってきた。読み始めは「ああ、これが筆者の作風なのね」という感じに、ある程度距離をもって読めた。母親を嫌がるアンに、変なところで口達者な徳川。思春期を迎えた中学生らしい態度だなと思っていたが、途中から目が離せなくなった。些細なことから無視しあう友達とか、スクールカーストとか、二十歳を過ぎた今ならなんだそりゃと思うけど、まっすぐな中学二年生だから避けられない事態にあう。中学生だなぁとアンを見ていたはずなのに、いつの間にか彼女に同化していた。最後まで読み終え、身震いした。素敵だとはとても言えないけれど、忘れがたい青春小説だった。

  • タイトル通りの本。女の子の黒さみたいなものが感じられる。青春というほど爽やかなものではないし、むしろ的を射た心理描写に同族嫌悪のようなものを感じる。けれど、読み終えた後はなんだかすっきりもする。
    2012/7/6

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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