カケラ

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717167

感想・レビュー・書評

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  • 「大量のドーナツに囲まれて自殺した女の子」というパワーワード。
    何があったんだ。何をどうしたらドーナツに囲まれて命を絶とう、なんて考えるんだろう。

    動機は?目的は?方法は?いくつもの「?」が浮かぶ。
    だけど、そうそう簡単に答えのヒントはくれない。遠くからじわじわじわじわと近づいていく感じ。

    美貌の美容整形外科医久乃への、それぞれの語りだけで物語は進行していく。
    脂肪吸引を頼みに来た元同級生、地元の後輩にあたる格下アイドル、高校時代の元カレとその息子、元同級生の妹で自殺した女の子の中学時代の元担任、自殺した女の子の高校時代の元担任、元同級生で自殺した女の子の母親、そして本人。
    それぞれが語る、自分の話、そして自殺した女の子の話。
    少しずつ、少しずつ、見えてくる事実、あるいは女の子にとっての現実。
    美しいこと、あるいはい太っていること、痩せていること、その外見、つまり外にいる他人の認識と本人の意識。
    うーん、面白いなぁ。人の内側からにじみ出てくる狡さとか小ささとか怖さとか、そういうのをじくじくと見せつけてくるの、サイコー。やっぱり湊かなえはこうでなくっちゃ。
    ここしばらくいい人系の話に寄っていた湊小説。こういう湊小説が読みたいんです、私は。

  • ドーナッツがたくさんの中で自殺した女性。
    その女性は、同級生だった「ヨコヅナ」の娘だった。
    ぽっちゃりした体型だか運動神経抜群で明るかった彼女は
    なぜ自殺してしまったのか…。
    様々な人物からの聞き取りで、事件の真相が見えてくる。

    最後まで読んで、タイトルの「カケラ」の意味が分かった!!
    分かったときには、なんだかスッキリ!!
    湊かなえさんらしく、告白スタイルでの話で、
    どんどん気になって読み進めちゃった。

    そして、昔ながらのドーナッツが食べたくなったー!!
    カリッ、ジュワァー、フワァーなドーナッツが食べたい!!

  • 私に欠けているもの、全部ちょうだいよ。主人公?久乃、サノちゃんの周りの人たちが語る言葉で物語が進んでいく。主人公はプロローグとエピローグでしか語らないのだ。その進みかたがクセになった。ドーナツ、ドーナツ、ドーナツ、読み進める度に広がる甘味と深まる苦味。美しいとはなんだ?

  • 「価値観の押し付け」を美容整形を題材にして物語が語られています。

    素直な感想を言うと、自分が感じた事のない感情やコンプレックスを抱く登場人物が多くてあまり共感ができた作品ではなかったです。作品の展開や構成は面白くて一瞬で読んだのですが、容姿の評価に対して自分が鈍感なのか、こんな風に思うんだという点が多々。

    タイトルにもある「カケラ」は、物語の終わりの方で使われており、何かを埋める為であったり、欠けてしまったものを指していました。

    ですが、読み進める中で各人物は全体の「カケラ」しか知らないにも関わらず自分が全てを把握しているかのように思い込んでしまっている様子が印象的でした。そっちの「カケラ」も当てはまるなぁと。我々人間にありがちな思い込み、その差異を実際に埋める為にどれほどの人間が行動を起こせるのか。そういった意味でも教訓的な作品だなとも感じました。

    湊さんの作品に多い、複数の視点で物語が語られています。この形式は読み進めて行くと点が線になるようでとてもワクワクしました。

    個人的には久乃自身にも何かしらを語って欲しかった。物語の進行役でもある彼女と、読者の視点が重なるような書き方を心掛けたのだとは思いますが、それ以上に出来事の瞬間瞬間での彼女自身の心境も知りたかったです。そこでどんでん返しもあるのかなと期待もしてしまいました。

    余談ですが、取り扱われている内容的に百田さんの「モンスター」を思い出しました。個人的に美容整形に関しては男性より女性の方が身近なイメージがあります。それを踏まえた上であの作品を書き上げた百田さんってすげぇなと。

  • 色々な人の思いや、感じ方、物語、誇りが詰まっていて、リアリティがある物語でした。
    もう1回読み返したいです。

    あと、美味しそうにドーナツを食べるシーンがあって自分も食べたくなって作ってしまいました。

  • こういう複数の視点で書かれたスタイルは好きだけど、このお話自体はあまりピンと来なかった。
    主人公というか聞き手の整形外科医の本音が見えてこなかったから。そこは読者の想像に任せているのかな。
    あのドーナツは食べてみたい!と思った。

  • 湊さんらしい、一人語りの文体で綴られていくのはよかったのですが、今回は人物関係が少しわかりにくかった。うまく騙されてしまっただけなのだと思います。
    意図的にミスリードするように描かれている部分にまんまとはまった感じです。
    いつもながら人間の心理がうまく羽が枯れています。

    「カケラ」は最後の最後ではまった感じでよかったと思います。

  • 登場人物の語りが立場によって変わっていく、湊かなえさんおなじみの手法。大学で習った「語りの危うさ」を感じられる。死に関わる真実についてはガツンと殴られたような衝撃。

  • なかなか話にのめり込むことができず、読み終わるのに時間がかかってしまった。一対一での会話で話は進む。章ごとに違う人物との会話。はじめは何が言いたいのかわからなくて面白くなかった。途中から話がつながってきて面白くなってきたけど、やっぱり最後は?な話でした。わたし的にはあまり好きな話ではなかった。きっと同じ場面でも人によって思いが違うと言う事を言いたかったのかな?

  • いくらイアミスの女王だと言っても本作は酷過ぎるんじゃないかい。出始めから最後まで延々と続く嫌ごとばかり、痩せ過ぎや肥満の話から教師たちの嫌な経験と欺瞞的な教育、更に女癖の悪い男まで、もう読み進むのが嫌になること間違いなし、これから読もうとしている人はやめた方がいいと思う。そして取ってつけたような表題のカケラに無理やりたどり着く、この作家こんなに小説下手くそだったかと思うほどであった。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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