きのうのオレンジ

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717280

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに本を読んで泣きました。
    悲しくて暖かい、いい本でした。

  • アラフォーなのに夜更かしして一気読みしてしまいました。明日の仕事が恐ろしい…
    優しい人たちに包まれた物語はとても心に沁みて涙が止まりません。

  • 恭平の手紙から、ラストまで号泣。

    作者の藤岡陽子さんは1971年生まれ。
    同志社大文学部卒→新聞社→タンザニア留学→看護学校→作家であり現役看護師という、経歴の持ち主。

    33歳の若さで癌に侵された遼賀。
    平凡な独身男性だ。
    特に目立つ訳ではないけれど、
    人目のつかないところで
    優しさのある行動ができる人。

    対照的な双子の恭平。
    実は双子ではなく
    従兄弟だ。

    遼賀が若くして癌になり、
    病と闘いながら、
    周りの人たちの
    あたたかさに
    包まれ、
    過去の記憶の整理も
    死に至る心構えも
    自分らしく
    精一杯
    受け入れていくストーリー。

    話の中心は
    実は双子ではなかった、という
    表面的な設定ではなく、
    もっともっと
    深い心の繋がりにある。

    家族小説だから、
    家族が中心なんだけど、
    根幹には
    ひとりひとりの
    思いやりがあって、
    その繋がりが家族なんだ、と
    思い知らされた。

    私自身も
    両親が癌で亡くなり、
    双子の子育てをし、
    仕事もして、
    趣味で山登りをし、
    50年以上生きてきているからこそ
    理解できる状況や
    感情があった。

    だから、もう号泣になってしまった訳で。

    藤岡さんが医療従事者であることで、
    誇張や想像ではない、現実としての
    病状が描かれており、
    文章や台詞に無駄がなく、
    ひとりよがりで感情に流されるような
    部分が全くなかった。

    無駄のない文章で、それぞれの
    登場人物像がくっきりと浮かびあがってくるのは、作家の力量以外の何者でもない。

    自分が
    癌だとわかった時
    電話したい人がいるか?
    自問して
    浮かぶ家族がいることの
    有り難さ。

    今までもこれからも
    死ぬまで
    感謝しかないな、
    家族にも、まわりの人にも。
    そんな優しい気持ちになれる最高の小説でした。

  • じんわりと沁み渡る読了後の充実感。主人公(凌賀)の人隣がとても好きだ。矢田の気持ちがよくわかる。
    生きたいが、そう長くはないかもしれない。死と直面する恐怖、絶望の日々。
    家族との関係や、支えてくれる人の温かさが、この物語の展開をとても豊かにしている。素晴らしい著書だった。

  • あったかいきもちにさせてくれる本
    自分の生い立ちとか、そんなんどうでもいい
    羨望すらわかない
    読み終わったらもう、じんわりあったかいきもち

  • 一章では期待を感じさせながらまたそんなにうまくはいかないという、現実味があっていいと思った。
    各章ごとに主人公が違っていて、多角的な視点である人の病気について考えることができた。

  • 兄、遼賀の優しさが切なさを増幅させる。
    優しすぎるよと何だか泣けてしまった。
    癌がじりじりと迫る恐ろしさ。
    新薬に挑戦しようとするも直前で引き返す辺り、勢いに流されずにちゃんと立ち止まれるあの場面に強く家族愛を感じた。大事な人なんだという想いに溢れていて好きな場面の一つだった。

    弟恭平も真っ当な教師でとても魅力的だった。こんな教師が世に溢れてくれたらとつい願ってしまう。いじめの首謀者だった生徒に真っ直ぐ届いていて欲しい。

    冬山の恐ろしさは私も雪国育ちなのでとても分かる。その楽しさも。
    山にはその人の本性を剥き出しにしてしまう恐ろしさもあるが、山に登った全員が気持ちの良い人達で読後感が非常に良い。
    いい小説を読めました。

  • いつも自分よりも周りを優先する遼賀の優しさ。そして家族みんなで家族になろうと願い続けて成立してる家族。
    そんな悲しい優しさをもった遼賀が秘密を話せて、重くて暗くてやり場のない感情を見せられる矢田と出会えたことに救いを感じる。
    秘密を1人で抱え続けるのは押し潰されるようなものがあって、遼賀はそれを背負い続けていた。だからこそ矢田に話せたことを知った恭平と同じようにホッとしたと思う。

  • 泣きます。ティッシュ必須。可哀想とかじゃなくて、涙が出てきます。この作者さんの本は基本的に看護師さんがストーリーテラーになることが多いですが、それぞれの作品で全然違ってどれも心に残ります。そしてさりげなく、会話のなかに臨床をやっていなければ書けない人間の機微が差し込まれている。素敵な一冊です。

  • まじ泣ける。
    死ぬまでにしたいことはなんなのか。
    自分は今死んだらどう思うのか。
    今のままじゃ後悔しか残らないけど、いつか本当に死ぬ時は後悔なく、精一杯生きたって思えるといいな。
    主人公みたいに。
    強く生きたいって思う。
    誰かを支えて、誰かに支えられて、誰かの目印になる人に。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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