燕は戻ってこない

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717617

感想・レビュー・書評

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  • SL 2022.7.18-2022.7.20
    貧困故に代理母になるリキ。
    登場人物全てが自分勝手で好きになれないのに、先が気になって読む手が止まらない。

    リキやテルたち若者のどうにもできない貧しさや、妊娠、出産のツールとしてだけの女性性に関して考えさせられる。

    子供は誰のもの
    子供のことを第一に考えて行動している人が一人もいないので、読後感がよくないのかな。

  • 貧困から代理母になることを決意した主人公。

    頼む方も引き受ける方も、登場人物全員コロコロ意見変えたり自分勝手で読んでて何なんだこの人たち。って思ったけどそれがリアルな心情なのかもしれない。

    最後のオチも気になった。
    みんなそれで幸せに過ごせるのかな、、(子ども含めて)きっとどれも正解でどれも間違い。

  • 代理母出産がテーマだが、閉塞感のある若者の貧困がそれ以上に重く心に響いてきた。
    また子供を産む性としての女性の立ち位置を見つめ直す、問題提起をするという点でも面白かった。
    揺れ動くリキの心情に振り回されながらたどり着いた結末に、それもあり?と思いつつ釈然としなかった。

  • 感想が難しい。妊娠・出産・子を持つことに関しての考え方は千差万別で、かつ非常にデリケートな問題だ。私自身もマイノリティ寄りなので本作に関して率直に思ったことを書くのは気が引ける。とりあえず桐野作品だけあってオチが想像の斜め上。良いも悪いもなくただ絶句。お金はたっぷりあるが子供を授かれない夫婦。若く健康な体を持つが貧困に喘ぐ独身女性。女性は貧困から脱出するため、代理母になることを決意する。しかし当然ながらビジネスだけでは割り切れない数々に直面する。エゴとエゴでエゴまみれの世界。早く作中から抜け出したかった。

  • 面白かったけど最後がちょっと。

  • 燕は戻ってこない。
    桐野夏生さん。

    いったい、子供って誰のものなのか?

    代理母。
    依頼する側。依頼される側。

    産まれるまで。
    産まれてから。
    それぞれの、
    気持ちの揺れ。

    貧困。
    男尊女卑。
    命。
    いろいろな要素が盛りだくさん。

    怖い話。
    だけど、引き込まれた。
    面白かった。



  • セレブ夫婦の基と悠子。代理母になる生活困窮者のリキ。3人が主体の代理出産するお話。話の展開がどうなるのかわからず最後が気になって一気読みしました。
    リキは生活が行き詰っていてお金のために代理出産に応じますが結局、この選択が正しいのかどうか自問自答しながら出産を迎えます。依頼した基と悠子もそれぞれの葛藤を抱えながら出産を迎える。そして双子が生まれたことで一気に事態が急変してしまう。子供可愛さに双子のうちの1人を奪って行方をくらますリキは無責任極まりないと思う。最後の最後でどんでん返しをくらった感じでリキに対して同情していたけどイメージが悪くなりました。リキが逃げる準備をする時点で小説は終わったけど、わけのわからん男の元に転がり込もうとする時点で話の顛末はわかるような気がします。子供が一番の被害者。

  • 貧困加減がとてもリアル。介護士に病院の事務。介護はまだ夜勤とかあるから給与は少しはましだけど、それほどでもない。病院などの事務などはきっと最低賃金。だから手取りが15万切ってるというのもリアル。なので代理母に応募してしまうところの心の揺れもよく響く。代理母も一種の貧困ビジネスかもしれない。それからLGBTQの次のアセクシャルの人なんかも登場する。なんか変な緊張感があって最後まで一気に読んでしまった。なんか辛いよね。こんな今の時代。それがよく描かれている。

  • 生殖医療に関係して読みました。苦しい小説です。次は、子供の視点の小説が出るでしょう!

  • 桐野夏生の燕は戻ってこないを読みました。
    主人公のリキは北海道から出て来て、生活をしていますが一杯一杯です。
    切り詰めて、セブンイレブンの珈琲を買うのもやっとの状態です。
    確かに安い給料で家賃や光熱費を払ったら残らないかもしれません。
    そんなとき職場の友達にエッグドナーのバイトをしないかと誘われます。
    そして不妊夫婦の代理母の仕事を受けることになりました。
    その不安定な心の揺れ方も上手く描かれており面白かったです。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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