空をこえて七星のかなた

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717976

作品紹介・あらすじ

大丈夫。昼間だって、見えないけれど星はそこにちゃんとあるから。

南の島で、山奥のホテルで、田舎町の高校で。
星を愛し星に導かれた人々が紡ぐ七つのミステリー。

「南の島へ行くぞ」突然のパパの言葉で石垣島へ旅することに。正直言って、あんまり気は進まない。家族旅行といえばママも一緒だったのだ、去年までは――(「南の十字に会いに行く」)
小学四年生の九月のこと、同級生の過失で私の右目は取り返しのつかない怪我を負った。世界はぼやけて頼りない姿に変わり果ててしまった。星降る夜に大事な友達と交わした約束も――(「星は、すばる」)
廃部寸前のオカルト研究会、天文部、文芸部。生徒会に必死で部の存続を訴えると、「じゃあ、スぺミス部ってことで」と、とんでもない提案が――(「箱庭に降る星は」)

読み終えたら世界が変わる!
〈日常の謎〉の名手が贈る、驚きと爽快な余韻に満ちた全七話。


【著者プロフィール】
加納朋子(かのう・ともこ)
1966年福岡県生まれ。92年「ななつのこ」で第3回鮎川哲也賞を受賞し作家デビュー。95年「ガラスの麒麟」で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。温かくも鋭い洞察を備えた〈日常の謎〉の名手として、多くの読者の支持を集める。著書に『ささら さや』『七人の敵がいる』『我ら荒野の七重奏(セプテット)』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』などのほか、自らの闘病体験を綴った『無菌病棟より愛をこめて』がある。

感想・レビュー・書評

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  • 1990年12月2日、ソ連のソユーズで『宇宙』へと旅立った日本人。それはまさかのTBSの社員だった秋山豊寛さんでした。その後、1992年9月12日に米国のスペースシャトルで毛利衛さんも『宇宙』へと旅立っています。そして、1994年7月8日、外科医でもあった向井千秋さんが、日本人女性として初めて『宇宙』へと旅立ちました。

    1961年4月12日、世界で初めて『宇宙』へと旅立ったソ連のガガーリン少佐以来、多くの人間が赴くことになった『宇宙』。JAXAで13年ぶりに『宇宙飛行士』の募集が始まるなど『宇宙』へと旅立っていく人は今後も続いていくのだと思います。

    一方で、そんな『宇宙飛行士』も一人の人間です。そこには必ず家族の存在があります。さまざまな職業の中から『宇宙飛行士』という職業を選択した人を家族に持つ人たちの存在。華やかなスポットライトに照らされる『宇宙飛行士』たちの一方で、そんな彼らから遠く離れて、彼らの戻りを座して待つ他ない家族たち。そんな彼らは『普通の人』としてそれぞれの日常を送っているはずです。それは、あなたの家族と同じことでもあります。特別な職業と言っても、家族が特別であるわけではない日常、当たり前と言えば当たり前のことではあります。

    さて、ここに、『ママは今アメリカで、日本人女性何番目だかの宇宙飛行士を目指して、訓練の日々を送っている』と語る一人の女の子が主人公となる物語があります。そんな彼女の物語を含め七つの短編から構成されたこの作品。『星』に関する何かしらが描かれていくこの作品。そしてそれは、ざまざまに描かれていく物語のその先に、すべての登場人物が一つに結ばれていく驚きの結末を見るミステリーな物語です。

    『今朝いきなり、「七星、南の島へ行くぞ」と』パパに言われ、『パパはいつだって、唐突だ』、『それでよくママにも怒られていた』と思い、『いきなり、なに?』と返したのは主人公の七星(ななせ)。『何だよ、せっかく家族旅行に誘ってんのにさ…』とむっとするパパに、『わーい、パパだいすき!』と『棒読みで』七星が返すとパパはむくれてしまいます。『わたしはもうじき、中学生だ』という七星は、『仕方なく』『南の島って、ハワイとか?』と訊き返すと『石垣島だよ』と『自慢げ』に答えます。そして、『ハイ決定』と『カレンダーに書き込』むパパを見て、『正直言って、あんまり気は進まなかった』という七星。『去年まで』『ママも一緒』だった『家族旅行』。『今年はパパと二人きり…何を話したらいいのかわからない』と思う七星。場面は変わり、『やっぱりあったかいね』という『人生初の南の島』に来て『少し気分が上がってきた』という七星が『ベルトコンベア前で待っていると、後ろから来た人に話しかけられ』ます。『あら、また会ったわね』と言うのは『飛行機で隣の席だった』『白髪頭の優しそうなおばあちゃん』でした。『ベルトコンベアは、まだ動かない』という中に、『あなたが言ってた星空バスツアー、面白そうだからわたしも申し込んでみようと思うのよ』、『今日申し込めば大丈夫ですよ』と会話するおばあちゃんと七星。そんな中に『「ちょっとすみません」とかなんとか、つぶやくように言いながら』『男の人が』『自分の荷物を取り上げて』去っていきました。『黒服、黒いサングラスに、黒い帽子…おまけに真っ赤なネクタイ』という様相に『今の人、なんかマジで怪しくなかった?』とつぶやく七星に、『ほんと、なんかギャングみたいね』と『くすくす笑』うおばあちゃん。そして、発車したバスの車内で、パパの『やっぱ石垣島に来たら、石垣牛を食わんとな』という会話をきっかけにおばあちゃんと一緒に夕食を摂ることになります。小学生だった頃、ある盗難事件で犯人とされてしまったおばあちゃん。そんな事態の中で『真犯人を見つけてくれた』友だちが『石垣島にいるってわかった』と語るおばあちゃん。楽しく食事したあとにおばあちゃんと別れてパパとホテルに帰った七星。そんな七星に『気づいたか?…さっきの店に、あのサングラスの男がいたぞ』と話すパパは、『一人で焼き肉食ってた』と続けます。そして翌朝、『石垣島の観光バスツアーに参加』すべく『集合場所』へと向かう二人。『ガイドさんが現れて、点呼のためにぞろぞろ集まってきた人たちを見て』七星は、『あっと思』います。そこには、『またしても、あのサングラス男がぼうっと突っ立ってい』たのでした。『石垣島』の観光感満載な物語の中に、謎の『サングラスの男』は何者なのか?というミステリーな物語な展開する冒頭の短編〈南の十字に会いに行く〉。美しい星空の下でまさかの展開を見せる好編でした。

    “南の島で、山奥のホテルで、田舎町の高校で。 星を愛し星に導かれた人々が紡ぐ七つのミステリー”と内容紹介にうたわれるこの作品。「空をこえて七星のかなた」という書名からどことなく想像できる通り、『星』にこだわった物語が展開していきます。それは、上記した冒頭の短編もそうですが、他にも〈星は、すばる〉、〈星の子〉といったように短編タイトルも全て『星』を入れるこだわりよう。さらには、短編の数にも注目です。短編集に幾つの作品が収録されるのかは大人の事情があるのだと思いますが、この作品が七つの短編から構成されているのは、あの星々を自然と想起させます。そうです、知らぬ者いない『北斗七星』です。そして、何といってもこの作品は『北斗七星』が七つの星で構成されているそのまんまに、七つの短編が見事に連作短編を構成する加納朋子さんらしい驚きの構成を見せる物語が展開していきます。

    そんな作品の見所は多々ありますが、冒頭の短編で紹介されていく『南の島』の描写ははずせません。まるで読者も旅行に出かけた気分になれるかのように描かれていく表現からご紹介しましょう。

    ・『離島ターミナルに着いたらもう三時過ぎ』という中に『具志堅用高さんの銅像と一緒に写真を撮ったり』という後にホテルにチェックインした二人。
    → 翌日、『石垣島一日観光』へと出かけます。バスに乗ると、『窓から見える具志堅用高さんの実家を教えて』くれるガイドさんは、『八重山諸島では、八十八ある星座のうち、八十四も見ることができるし、全天で二十一ある一等星のすべてを見ることができる』と、この作品の肝でもある『星』の話をしてくれます。
    → 『最初の目的地、川平湾に着』いた二人。『雲が多くなってきたせいか、海はガイドブックに載っているような鮮やかなブルーではなかった』、『もっと暗めの、緑がかった青』とは行ったものでなければ書けないリアルな描写。
    → 『グラスボートの受付で、星砂のミニボトルをもら』った七星は、『星砂の浜に行くの、楽しみ』と明日の予定を思います。

    まるで実際に旅をしているような気分にさせてくれる細かい描写が続きます。上記で少し触れたとおり、そこには訪れた者でないと書けないリアルな描写も含まれ、余計に旅情を掻き立てます。そして、物語はいよいよ、そんな『星砂の浜』の描写へと続いていきます。

    ・『離島ターミナルから観光フェリーで十五分くらい』という『竹富島』へと着いた二人。『自転車なら三十分くらいで一周できてしまう』ということで『レンタサイクル屋さん』で自転車を選びます。『二人乗り』にこだわるパパを『振り切って、一人一台ずつ借りる』という微笑ましい展開。
    → 『目指すは星砂の浜、カイジ浜だ』と『駐輪するのももどかしく、砂浜に駆けていく』七星。『浜には先に来た人たちが、いっぱいしゃがみ込んでい』るのを見て、『星砂がなくなっちゃうと思い、慌ててわたしも適当なところでしゃがむ』七星。
    → 『思ったより、小石だの珊瑚のかけらだのがごろごろしている』、『波打ち際の濡れたとこらは探しにくかったので、じりじり移動して、ベストポジションを探っていく』も、『もう少し簡単に見つかると思っていた』と焦る七星。
    → 『パパ、それ、ぬいで』と、『黒いナイロンの上着』を脱いでもらって『砂の上に広げる』七星は、『掌ですくった砂をさらさら落として薄くのばし、目を凝らし』ます。『あったーっ』と『思わず大声』を出す七星は、『まるで天の川の中にある一等星みたいだ』と思います。

    『竹富島』と言えば有名なのが『星砂』です。そんな『星砂』を探す父と娘のなんとも微笑ましい情景を情感たっぷりに描いていくこの場面。心はすっかり『南の島』気分にさせてくれます。『星』というと夜空に煌めく星々を思い浮かべますが、まさかの浜辺に見る『星』を描く加納さん。舞台設定含め、『星』にこだわりにこだわった作品だと改めて思いました。

    そんな七つの短編がきら星の如く輝くこの作品は、それぞれの短編がさまざまな舞台に非常に個性ある物語を見せてくれるのも特徴です。私は短編を読む時はあとでレビューを書くために5段階評価をメモしているのですが、この作品では短編間に差がつきませんでした。いずれ劣らぬ出来の良さを誇る短編たち。その中から、特徴ある短編を三つご紹介しましょう。

    ・〈星は、すばる〉: 『掃除の時間、教室に持ち込んだ木の枝を剣に見立てて、戦いごっこを始めた男子たち』を見る主人公の美星。そんな美星に向かって『バランスを崩し』、一人の男子が倒れてきました。そして、『右目に突き刺さ』った『枝の先端』…という先に、美星は意識を失います。そして、『我に返った時、世界の様子は一変していた』という美星。『失明だけは、どうにか免れ』るも大きく視力を落とした美星。『この馬鹿息子に責任を取らせます』と言う父親の言葉に従って『加害者』であるコータが美星に『ぴったり張りつ』いて世話をする日々が始まりました。

    ・〈木星荘のヴィーナス〉: 『三つ上の従兄』であるお兄ちゃんが『大学生になって、上京して』きたというのは主人公の彗子。おばあちゃんが経営している『木星荘』の『一〇一号室』に入ることになったお兄ちゃんの部屋の整理に付き合う彗子は、お兄ちゃんが壁に『kanaeだよ』と言いながら『綺麗な女の人』のポスターを貼ったのを見て、『お兄ちゃんの前にこの部屋に住んでた』と語ります。『スタイル抜群』で、『本当に綺麗』な金江さんは質素な生活を送っていました。そんな中に『冷蔵庫』を買う費用捻出のために『勧められた『呉服屋』の『モデル』に応募します。

    ・〈孤船よ星の海を征け〉: 『ドアを開けると、宇宙があった』というのは主人公のカイト。『巨大宇宙船の中に』他の少年たちといるカイトは、『船外カメラから送られた映像』で『目の前にある宇宙』を見ています。そんなところに『見慣れない子供』が現れました。『ママ、おへやにいるの、あたまイタイイタイなの』と言う少女はルナと名乗ります。『ママが心配しているよ』と彼女の『手を軽く握り』部屋へと送ってあげるカイト。その時、『見上げた「天空」』に、『異常接近してくる小惑星の姿』を見るカイト。そして、『次の瞬間。船が、大きく揺れ』ます…。

    三つの短編をご紹介しましたが、学園ものかと思うと、アパートが舞台の物語、そしてさらには直球ど真ん中もいいところのSFの登場!と、この幅の振り方はもう半端ありません。それぞれの舞台の上にそれぞれに見事に起承転結していく物語だけでもなかなかに興味深い物語です。とくに、いきなりのSF世界に読者を一気に連れていく〈孤船よ星の海を征け〉のかっ飛びぶりは、それまでの短編の世界観からは全くイメージできていない読者としては度肝を抜かれるものがあります。この多彩な物語を順に味わっていくだけでもこの作品を読む意味があります。しかし、一見バラバラな短編は、上記でも少し触れた通り『星』で繋がりを持っています。それは、登場人物が『星』に関連する名前である場合、『星』を見るような場面が登場する場合、そして『宇宙』空間にいる!場合など、世界観が見事に繋がっているのが凄いです。

    そして、そして、読者を唖然とさせるのが、種明かし、”スーパー伏線回収”となる最終章〈リフトオフ〉です。ネタバレになるので詳細には触れませんが、そこには短編タイトルに表現される通り〈リフトオフ〉な場面を見る感動の物語が描かれます。また、それだけでなく、なんとそれまでの六つの短編を、これでもか!と見事に結びつけてしまう加納さんならではの構成の妙に驚愕する他ない物語が描かれているのです。えっ、これってあの短編の彼だよね、あれってあの短編の彼女だよね、そして、それってそういうことだったの!と唖然とする他ない、恐ろしいまでの伏線回収が描かれる物語。そんな物語の特筆すべき読後感の良さに、しみじみと読書って素晴らしいなと感じ入りました。加納さんと言うと、多くの作品でこのように結末に読者を唖然とさせる物語を展開するのを得意にされる方ですが、この作品のすざまじい結末には、改めて加納朋子さんという作家さんの凄さを認識させられました。

    『夢にここまでという行き止まりはない。夢が叶った、さらにその先があるって』。

    舞台を全く異にする七つの短編がそれぞれの読み味を楽しませてくれるこの作品。そこには、加納さんならではの構成の妙を見せつけられるような緻密な設計に基づく物語が描かれていました。すべての短編が『星』に結びついていくどこかロマン溢れるこの作品。人と人とのまさかの繋がり、まさかの縁に驚きもするこの作品。

    美しく紡がれていくミステリーな物語の中に、加納さんが書き下ろす小説世界の魅力を存分に感じさせてくれた素晴らしい作品でした。

  • 七つの星にまつわる短編が最後に繋がります。


    南の十字に会いに行く
    星はすばる
    箱庭に降る星々
    木星荘のヴィーナス
    孤舟は星の海を征け
    星の子
    リフトオフ


    主人公は、最初のお話に出てくる七星(ななせ)です。
    七星のママは宇宙飛行士になるためにアメリカに行っています。
    他のお話は星関連ではありますが、全く別のお話に感じられるものもあります。
    キーワードは名前かな。
    最後に全てが繋がったときは、ちょっと騙されたような気もしましたが、七星よかったね。と思いました。

    木星荘のヴィーナスと星はすばるが私は微笑ましくて、よかったです。
    七星のママはとってもかっこいいと思います。
    七星のパパもおばあちゃんも、みんな素敵です。

    寝苦しい夏の夜に読むのにぴったりな北斗七星(七星)の涼やかなお話です。

  • 星にまつわる7つの話。
    苦手な宇宙の話だったらどうしようと思ったが大丈夫。楽しめた。

    「宇宙飛行士になる」という子どもが抱く夢を軸として、スケールの大きな話へと展開していく。
    「諦めなくて大丈夫」という信念を抱えつつ。

    まず登場人物の名前がキラキラすぎる☆七星、北斗、美星、昴、彗子、星合、天野とか。
    また舞台は、南の島への旅行やアパート木星荘での日常から、はたまた宇宙船に乗って宇宙へと。

    人を「星」になぞらえるのも面白い。
    父娘が北斗七星で熊(星座)なら、ママはポラリス、北極星。
    それは極の星、絶対の導で、ぶれず、ゆるがず、常に中心にある。と。

    人には北極星のような光り輝くすごい存在の誰かがいるのだろうか。私たちはそれを取り囲んでいるのか取り囲まれているのか。
    そして誰かの北極星でもあるのだろうか、大げさだろうか。
    私ですか?
    私はオリオンを刺してしまったサソリ(さそり座)なので、無理でーす☆o( *゚ー゚)┘≡╋━☆

    ある人物の話が別人物の物語の中に。最終章は人々の繋がりの答え合わせに、驚きと感動。二度読みしたら、ちゃんと時系列になっていた。
    答え合わせ系が好きなので、この描き方はめっちゃ好みであった。

    • 土瓶さん
      そうは見えないけどミステリーに区分されてるんですね。
      最後に答え合わせみたいのがあるからなのかな。
      そうは見えないけどミステリーに区分されてるんですね。
      最後に答え合わせみたいのがあるからなのかな。
      2024/02/11
    • なおなおさん
      土瓶さん、本書は作品紹介にあるようにミステリーのようです。“答え合わせ”なんて書いちゃったのですが、要は伏線回収のことです^^;
      土瓶さん、本書は作品紹介にあるようにミステリーのようです。“答え合わせ”なんて書いちゃったのですが、要は伏線回収のことです^^;
      2024/02/11
  • 星にまつわる7つの短編集

    「南の十字に会いに行く」
    「星は、すばる」
    「箱庭に降る星は」
    「木星荘のヴィーナス」
    「孤舟よ星の海を征け」
    「星の子」
    「リフトオフ」

    どれも全部良かった。
    タイトルも素敵だし、物語の舞台も様々でバラエティ豊か。


    最初の話の冒頭
     “今朝いきなり、「七星、南の島へ行くぞ」とパパが言った。”

    この物語の舞台は石垣島。
    早速私の憧れの土地!
    沖縄に行ったことのない私は、夢ばっかり膨らんでいるのです。
    でもこの作品全体はもっとスケールが大きくて、沖縄どころか宇宙が舞台と言っても良い。


    全部良かったけど、中でも好きな話は……
    *「星は、すばる」
    結構ハードな内容だけど、繊細な心の動きが上手く描かれていて胸に刺さる
    *「木星荘のヴィーナス」
    大家のおじいちゃん、おばあちゃんのエピソードが温かくて好き
    全体的にほっこりした話
    *「孤舟よ星の海を征け」
    SFなの?と思わせるストーリー
    これもハードな内容だけど、優しいです


    そして何と言っても、ラスト「リフトオフ」での驚きでしょう。
    独立した7編でも充分面白いのに、なんてこった!

    あー、楽しかったぁ
    読み終えちゃったのが寂しい✫✫✫

    • aoi-soraさん
      ひろちゃん、おはよー♪
      みんなのレビューがすごく良かったから読みたくて予約してたの
      やっと順番回ってきた!
      ひろちゃんの感想にあったように、...
      ひろちゃん、おはよー♪
      みんなのレビューがすごく良かったから読みたくて予約してたの
      やっと順番回ってきた!
      ひろちゃんの感想にあったように、出来過ぎ感はある(笑)
      でも許されるよね、宇宙だもん(笑)
      加納さんの作品たくさん読んでると思うけど、中でもオススメってある?
      他のも読んでみたいな(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠
      2023/09/06
    • ひろさん
      あおちゃんっ♪
      オススメは「ななつのこ」か「ささらさや」かな♪
      どっちもシリーズ化してるんだけど、どっちも心温まるお話だよ~
      機会があったら...
      あおちゃんっ♪
      オススメは「ななつのこ」か「ささらさや」かな♪
      どっちもシリーズ化してるんだけど、どっちも心温まるお話だよ~
      機会があったらぜひぜひ( *ˊᵕˋ)ノ
      あおちゃんが読んだ「いつか岸辺に跳ねていく」ずっと気になってたんだ!
      読んでみるね~(*´ᗜ`*)b
      2023/09/06
    • aoi-soraさん
      「ななつのこ」はデビュー作なのかな?
      次はこれにしよっ。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
      ありがとう♪
      「いつかの岸辺に〜」は読み終えて、こんなすごい本を書...
      「ななつのこ」はデビュー作なのかな?
      次はこれにしよっ。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
      ありがとう♪
      「いつかの岸辺に〜」は読み終えて、こんなすごい本を書く加納さんの頭の中ってどうなってるんだろ?
      と思う程、衝撃だった気がする。
      是非読んでみてね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧
      2023/09/06
  • 本屋大賞1次投票で17位、と言うことで読んでみた。

    短編集(宇宙にまつわるものが多い)ではあるが、一つ一つのバラバラの物語が最後の一編でまるで星座のように一つの形になる。

    ああ、そうくるのね、
    と腹落ちはするが、その盛り上がりについていけないのが、おじさんのおじさんたる所以。

    それぞれの短編は、素材は面白いのに、早送りで映画を見ているような、ネタバレ見て納得するようなスピード感。もう少しゆっくり読みたいなと思ってしまった。

    若い人にはちょうど良いスピード感でしょ。
    若い人におすすめ。

    …と思っていたら「【GWは読書】50代60代におすすめ!読みたい本90冊を一気に紹介!」という記事で紹介されていました笑

    まっ、年代問わず、楽しめる作品です。

    ♪Fly Me to the Moon/フランク・シナトラ(1964)

  •  『いつかの岸辺に跳ねていく』が好きで、この作品もいつか読もうと思っていました。七星って名前、ステキですよね!!私は星空を見上げるのは好きだけれど、星の名前や星座はそんなに詳しくもなく、むしろ何も知らない(汗)。それでもって、宇宙飛行士なんて…まったく身近にはご縁がない感じなので、それでもちゃんと読めるのかなって思ったら、どんどん図書館から借りるのが先延ばしになってしまったんです。

     7編の短編集なんですが、独立した短編なのか…?それぞれのストーリーに登場する人物は年齢も性別も見事なまでにバラバラだったし…でも共通点といえばそれも星にまつわるストーリーだったなぁ…くらいだったんです。でも、最終編の「リフトオフ」でちゃんとつながっていたことがわかる…こういう感じ、結構好きです。

     南の十字に会いに行く:七星と父、北斗が、石垣島の祖母を訪ねるのだが…。
     星はすばる:小学生の美星の初恋の思い出…。
     箱庭に降る星々:オカルト研究会に所属する日野と生徒会との攻防…。
     木星荘のヴィーナス:木星荘を経営する祖母とその孫、入居者への対応…。
     孤舟は星の海を征け:難破した宇宙船から脱出した海斗のその後と真実…。
     星の子:中学入学後の七星とその友達水輝の悩みと友情のお話…。
     リフトオフ:全てがつながるんですよねぇ…。びっくり!!

     それぞれ、読み応えありましたし面白かったけど、私が好きなのは…あぁ、ほとんどすべてになっちゃうか(汗)。七星ちゃんが、お母さんのようにステキな女性になれるといいですね!

    • なおなおさん
      かなさん、オリオンは自分を刺したサソリを恐れているんですって。
      なので、さそり座が東の空に現れたらオリオンは西に沈んで行き、空で同時に見られ...
      かなさん、オリオンは自分を刺したサソリを恐れているんですって。
      なので、さそり座が東の空に現れたらオリオンは西に沈んで行き、空で同時に見られないんですって……/( -_-;)>あちぁ~
      私もさそり座がどこにあるのか分かりません^^;
      2024/02/22
    • かなさん
      1Q84O1さん、お返事が遅くなってしまいすみません!
      同じみずがめ座!
      でも実際にはどこにあるかわかってない!!
      もう、これは“仲間...
      1Q84O1さん、お返事が遅くなってしまいすみません!
      同じみずがめ座!
      でも実際にはどこにあるかわかってない!!
      もう、これは“仲間”ですねぇ(*^^)v
      2024/02/24
    • かなさん
      なおなおさん、お返事遅くなってしまいすみません。
      そうなんですね!
      そんな星にまつわるストーリーもあるんですね!!
      なんだか、悲しいお...
      なおなおさん、お返事遅くなってしまいすみません。
      そうなんですね!
      そんな星にまつわるストーリーもあるんですね!!
      なんだか、悲しいお話です(/_;)

      でも、なおなおさんも、さそり座がどこにあるかわからない…
      ということは、もう、“仲間”ってことで(^O^)/
      2024/02/24
  • はいこれもう大好きなやつ、大好きなやーつ

    星にまつわる短編集で、それぞれちょっとずつ趣が違っていてバラエティに富んでるのにみんな好みの雰囲気で、好きなタイプのお話ばっかりで良かったなぁ、なんて思いながら読んでたら、 ちょっとずつ繋がりが 見えてきて…

    最後の謎解きでバーン!ときてワー!となる感じ(擬音)
    もうむしろミステリーやな

    加納朋子さん、気になる作家さんがまた増えてしまったで

    • ひまわりめろんさん
      登録して加納朋子さん初読だったことに気付きました
      前に読んだことあったと思ったんだけどなぁ~って良く見たらみんみんの本棚だった(どんなタイプ...
      登録して加納朋子さん初読だったことに気付きました
      前に読んだことあったと思ったんだけどなぁ~って良く見たらみんみんの本棚だった(どんなタイプのアルツハイマーやねん!)
      2023/03/20
    • みんみんさん
      加納朋子さん大ブレイクしてないから図書館にない作品多いのよ( ̄▽ ̄)
      でもそんな地味なのも嫌いじゃない笑
      加納朋子さん大ブレイクしてないから図書館にない作品多いのよ( ̄▽ ̄)
      でもそんな地味なのも嫌いじゃない笑
      2023/03/20
    • ひまわりめろんさん
      次は『いつかの~』を読む予定!
      次は『いつかの~』を読む予定!
      2023/03/20
  • どんな環境でも他の人のヒーローになりながら自分は高みを目指して突き進める人、学生時代には周りにいたなぁ。
    タイプが違いすぎると感じて遠巻きに見ていたけど。
    そういう人も親が必ず良い影響を与えているとも限らないだろうし、逆に仲良くて干渉していたら子どもがそういった活躍もしなかったかもしれないし、、
    そう思ったらどう子供の個性を活かすか、難しいなとも感じる。

    七星や美星など、素敵な名前が數多く出てきた。
    星の物語モチーフのお名前、素敵だなあ…

  • 一見何の繋がりのない
    エピソードが、

    時空を超えてさいごに
    繋がります。

    キーマンなる主人公の
    母親。

    登場人物たちの視点を
    通して、彼女の半生が
    描かれます。

    ふと自分の母親を想い
    ました。

    決してドラマティック
    でないにせよ、

    私の母の人生にも数え
    きれない人と関わりが
    あり、

    その数えきれない視点
    を通して、彼女のこれ
    までの人生を描けば、

    きっと沢山のドラマが
    あり、

    そこには私が知らない
    母がいるんだろうなと。

    自分のことをあんまり
    語らない母ですが、

    いつのまにか年老いて
    この頃は淋しそうです。

    今度帰省したらじっと
    宙を見つめる母に、

    忘れられない思い出の
    数々をたずねてみよう
    と思います。

  • 加納朋子さんの作品は「いつかの岸辺に跳ねていく」が凄く心に染みて、他の作品も読んでみたいと思っていた。
    本作品は宇宙がテーマであり、読後感も爽やからしいので自分の好みに合いそうな気がした。

    7編の星にまつわる短編集。
    だから主人公の名前を "七星" にしたんだな、と読み始めた。
    なのに、七星が出てこない物語が続く。
    しかも、関連性が感じられない。
    6話目になって七星が再登場するが、ここで1話目と少し繋がる。

    そして、最終話のリフトオフでこの物語の種明かしがなされる。
    私にとっては登場人物が多すぎて、誰と誰がどんな関係だったか覚えきれていなかった。
    この人とこの人が同一人物だと分からないように描かれているし…

    読み終わったら、主人公は "七星" から "この人" に変わっていた。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加納朋子の作品

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