蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

著者 :
  • 集英社
3.56
  • (195)
  • (309)
  • (622)
  • (36)
  • (6)
本棚登録 : 1865
レビュー : 311
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747706

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 恩田陸さんの本はほとんど読んでますが、かなり好きな一冊。恩田さんらしい世界観や言葉選び。

    オセロゲームの方はあまり好きになれませんでした。

  • こちらも数度目の再読。
    常野物語の一作目『光の帝国』に出てきた春田一家の祖先が出てきます。

    時は戦前。
    峰子という女性の目線で語られていく物語は穏やかでどこか懐かしく、美しく、残酷。
    春田家の者が持つ力、「しまう」「響く」。
    そして「遠目」がどんなものなのかが良く分かると思います。
    人の紡ぐ想い。
    最後の言葉が、現代を生きる私の胸に突き刺さります。

  • まだ戦争が始まる前の新しい世界に胸を踊らせていた時代。その中で少女時代を過ごした主人公峰子が見ていた日々。その土地に古くから続く名家槙村家に出入りする人々と過ごした幸せな時間とその終わりが描かれてる。
    出てくる人々をとても好きになった。重い病気だけど聡明で勇気のある聡子様、峰子を「ねこ」と呼んでいつも意地悪をしていた廣隆様、小さいながらに自分の運命を当たり前に受け止め「常野」として生きる光比古、ちょっとだらしないけど絵のことから時代のこと国のことまで考えている椎名様...
    この時代を生きてこの村の景色を見たような気持ちになった。「常野」は、この先のこの国に役立てるためにみんなの思いを自分の中に「しまう」。「本当はみんな持ってる力」と光比古が言うのは、槙村の人々がしてきたようにみんなの思いを語り合って後世に伝えることができるということなのかな。
    最後の峰子の問いかけは今の私たちへの問いかけに思える。私たちの国は輝かしい未来に向かって漕ぎ出したはずだった。けれど、日本は負けた。残っているのは飢えた女子どもばかり。これからもこの日本は続くのか、新しい国になるのか、私たちがこれからこの国を作っていくことができるのか、それだけの価値がある国なのか。

  • 恩田陸独特の世界感。

    不気味さや、はかなさ。
    時代背景とか、登場人物とか、全部好き。

  • やさしい文体で綴られる。
    タイトル通りのほんわりした雰囲気が全編をつつみ、それだけにラストは衝撃的。

  • 文章が美しくてもの悲しくて、
    読み終わりたくないような早く読み終わってしまいたいような、不思議な気持ちだった。
    10年以上前に書かれた本で、舞台も昔に設定されているけれど、「私たちがこれからの時代を作っていくことができるのか、それだけの価値がある国なのか」という最後に書かれていたことは今も色褪せることなくあるテーマで、私も考えたいなと思った。
    あと、その人の歴史を気持ちごと記録するという「しまう」という行為は、超能力だけど、私たちも本を書いたり読んだりすることでできることだと思った。
    図書館で借りて読んだけど、これは手元に置いておきたいなぁ。

  • ああこれは好きだなあ。絶賛するひとの多い“常野物語”シリーズ、小耳には挟んでいたものの、、3部作の2作目からいっちゃった。でも、時系列的には最初の話らしいし。残酷な一面もあることも含め、秀逸なおとぎ話であり、寓話であり。ファンタジーのなかに、胸を刺す棘がちゃんとある、というかんじ。
    絶賛する熱狂信者が多いわりになかなかハマりきれないのが恩田陸さんと宮部みゆきさんなんだけど、どちらもやっぱり食わず嫌いせず読むべきだな、、
    常野の民の物語を読まずにはいられないな、まだ余韻が抜けない。。光比古が“しまって”いた、聡子を“響かせる”あの場面、自分でもわからないくらい泣けてしまった。単純に聡子や家族のおもいに同調したわけじゃなく、物語とはべつの、懐かしくもう会えないいろんな過去の奥底にあるものがしゅっ、しゅっと胸の奥に蘇った。うまく言えないが。琴線に触れた、というやつなんだろう。ひとは過ちも禍いも繰り返しながら生きていて、幸せはてのひらに包んで持っていられるものじゃないんだけど、失ったり傷ついたりしながら先へ進む強さみたいなものを感じられる物語。まだ3部作のまんなかしか読んでないけど。恩田作品の針にかかったきがする、もっともっと読んでみたいな。続き物なんだろうけど、単体でもじゅうぶん読み応えのある1冊。満足。

  • 日露戦争直前の、誇り高き矜持を持っていた頃の日本の話。
    村を守ることを使命と感じるお屋敷の令嬢・聡子と、彼女の話し相手となる峰子。
    峰子の視点で話が進む。
    お屋敷に出入りする人々の貴族的な感じが、三島由紀夫の「春の雪」っぽい。
    その中でも一段と光を放つのが、病弱で長くは生きられないだろうとされる聡子様。
    彼女は遠い昔に村を救ったとされる「常世」の一族の血を引いてか、常を超えた能力を持っている。
    その力ゆえに自分の未来を見通してしまう聡子が哀しい。
    しかし聡子は自分の使命をまっとうする。小説的には、長くは生きられないほど体の弱い聡子にそんなことが可能なのか?というツッコミはあるものの、クライマックスはやはり泣かせる。
    ラストの、太平洋戦争終戦の日、峰子の問いかけが胸に痛い。

  • “私”こと峰子は、幼いころ蒲公英草紙という題を付けた日記をつけていた。そこには隣のお屋敷の病弱だけれど芯の通った美しい聡子さまや、その兄であり峰子を“ねこ”と呼んで悪戯を仕掛けてくる廣隆さま、屋敷にお世話になっている仏師の永慶さま、洋画家の椎名さま、発明家を自称している池端先生、そしてお屋敷に訪れた不思議な一家、春田家の人たちとの出会いと別れの日々が、ひとつひとつの思い出を磨いて並べるように幼いながらに選ばれた言葉たちで綴られていた。
    あたたかでいとおしい日々は、戦争の影がちらりちらりと目の端をかすめていっても一層やわらかでしなやかな光で満ちて過ぎていく。
    聡子さまの言葉にすることさえできないほどの淡い恋を見つめたり、不思議な春田一家との静かな関わりを重ねるさまをたどる。
    そしてその未来の先にある、たしかな現実への着地。
    視界があまりにがらりと変わってしまうことに、眩暈がした。
    峰子さんのあまりに切実な春田家への呼びかけは、どこかで届いていたらいいと願わずにはいられない。

  • 2017.4.24

全311件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)のその他の作品

恩田陸の作品

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)を本棚に登録しているひと

ツイートする