カラフル

著者 :
  • 集英社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087901528

感想・レビュー・書評

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  • 語彙力なくて情けないけど、一言で言えば、いい話だった。

    挫折した元短距離走選手の男子高校生と車いすユーザーの女子高校生。二人のboy meets girlな話だけでなく、時折散りばめられた言葉が胸の奥深くに響いた。

    世界はカラフルだ。気が遠くなるほど色んな人がいて、誰もがそれぞれの事情と思惑を抱えて生きているーって、わかっているけど、時として人を傷つけてしまうし、傷ついてしまう。

    車いすに利用者を誰々さんは車いすって言わずに、車いすユーザーと言わなきゃならない。当たり前のことも知らなかった。恥ずかしい。

    視力が低い人がメガネやコンタクトをするように、足が不自由だから車いすを利用する。もっと、車いすユーザーが生活しやすい世の中になるといいな。

    図書館で借りたけど、YA向けに位置付けられているのが勿体無いくらい。中高生だけでなく、大人にも読んでほしい一冊。

    • かなさん
      あさきょさん、おはようございます。
      私もこの作品読んでたタイミングで
      あさきょさんのレビューが読めて嬉しく思いました。

      この作品、...
      あさきょさん、おはようございます。
      私もこの作品読んでたタイミングで
      あさきょさんのレビューが読めて嬉しく思いました。

      この作品、本当によかったですよね(*^^)v
      若い世代だけでなく、たくさんの方に手にしてほしい作品
      大共感します(*^^*)
      2024/04/07
    • あさきょさん
      かなさん、おはようございます。

      YAものはよく読みますが、久しぶりに心に残る一冊を読めたなと感じました。

      かなさんの読む本非常に参考にな...
      かなさん、おはようございます。

      YAものはよく読みますが、久しぶりに心に残る一冊を読めたなと感じました。

      かなさんの読む本非常に参考になります!
      またまた素敵な感想を教えてくださいね。
      2024/04/07
  • 夢を追い続けられなくなった伊澄と車イスユーザー六花を中心とした青春ストーリー。
    高校生達の会話でこんなにも色々考えさせられると思っていなかった。また、読みやすくあっという間に読み終わっちゃいました。
    ストレートに交わされる会話が心に響いた。ユーモアたっぷりの会話も良かった。
    そして登場人物皆、魅力的でした。この人、微妙なのかな?と思ったら違う面では素敵だったり、成長していたり。
    目の前にいる人の気持ちを想像して、その誰かに自分の力を少しでも貸せるように成長していけたらなっと思えた1冊でした❗
    駅員の長谷川さんの言葉も素敵だった。

  • #読了 #カラフル #阿部暁子
    高校入学式の朝、駅のホームでひったくり犯を捕まえた伊澄は、犯人を足止めしようとした車いすユーザーの少女、六花と出会う…

    『神様は扉を閉める時、別のどこかで窓を開けてくださる』という言葉を心のお守りにする車いすユーザーの少女。彼女を見守る少年。青春だ。

  • Amazonの紹介より
    高校入学式の朝、荒谷伊澄は駅のホームでひったくり犯を捕まえた。その際に、犯人の前に出て足止めをしようとしたのが、車椅子に乗った少女だった。
    その後の事情聴取で判明したのだが、渡辺六花というその少女も、伊澄と同じ高校の新入生だった。
    弁が立ち気の強い六花に、伊澄はヤな女だな、と感じたのだが……?夢を追い続けられなくなった少年と少女の挫折と再生の恋物語!



    突然の出会いから始まり、何回も会うことで恋が芽生えるといった王道の展開を想像していたのですが、甘く見ていました。
    車椅子がゆえの疎外感やそれぞれの立場から思う「普通」、それによる苦悩など、考えさせられる事が多くありました。

    自分がその現場にいたとしたら?
    周囲はどうサポートすればいいのか?
    双方の正直な意見が飛び交うのですが、辛い気持ちになりました。頭ではわかっているけれども、いざ目の前で起きた時、自分だったらと思うと、戸惑ってしまいます。

    自分では良いことをしていると思っても、相手はもしかしたら不快な気持ちになるかもしれません。

    なあなあで終わらせず、真剣に高校生同士で車椅子について向き合っている描写が印象深く、ピリッとした空気感でしたが、とても読みごたえがありました。

    車椅子問題だけでなく、伊澄の苦悩も読みごたえがありました。
    ケガを機に打ち込んでいた陸上に魅力を失くし、六花と出会うことで、新たな活力を見つけます。

    伊澄のまっすぐさ、それに巻き込まれる六花のなんともいえない関係性が微笑ましかったです。
    周りの登場人物も魅力的で、六花との交流を見ていると、仲間って良いなと感じさせてくれます。

    六花は六花で、なるべく迷惑をかけないよう、一人で頑張ろうとするのですが、その頑張りようを見ていると、もう少し周りに迷惑をかけてもよいと思ってしまいます。

    ただ、同級生や学校など初めてづくしの事柄に戸惑う描写を読んでいると、なかなか上手くはいかないなと思ってしまいます。
    このケースだったらどうするのか?内内で考えるのではなく、同様のケースに遭遇したとき、他の地域ではどう対応したのか?色んなアンテナを張ることも大切だなと思いました。

    真剣な場面もありましたが、恋の発展⁉も注目な点であり、今後どんな展開になっていくのか楽しみです。
    「車椅子」について、知らなかったこともあって、勉強になりました。

  • クラスのみんなで差別について話し合うところは、すごく勉強になりました。
    『物事が問題なく進むために、誰かが犠牲になっていることを【仕方ない】で済ませようとするのが差別なんじゃないか』
    差別って何だろう?言語化するのは難しいなと思っていましたが、こういうことなんだなと。
    子どもにもこの本は勧めようと思います。大人が読んでも良い本ですが、青春要素も強いので、学生が読んでも楽しいと思うので…

  • 病気で車椅子生活になった六花と、あるケガが原因で陸上を諦めた伊澄。お互いの第一印象は最悪だったけれど、車椅子ユーザーの目線をちゃんと受け止めてくれる伊澄の真っ直ぐな心がとても格好良かったです。

    変に作り物めいた描写じゃなく、車椅子ユーザーへの戸惑いや、ちょっとした抵抗感なんかも等身大の高校生って感じでそれがリアルでした。

    視界がカラフルになる、キラキラした感じが爽快でした。

  • とても良かった!
    車椅子ユーザーの女子高生と、あることが原因で斜に構えるようになった高校生男子の恋。

    一つ一つの言葉が深く突いていて、あと差別とか考え方などにも色々と共感できる部分があった。これは学校図書とかで読んでほしいなぁ。

  • いやー!青春だ!
    これは良い本を読んだ!中高生の教材にしたらいいのでは?
    読んでいて、気づかせれることがとても多かった。
    強くみえていた六花にも当然、悩んで苦しんでどうにもならい時期があり、母親ともこじれてしまってそれでも自分を意見を意思を伝えようとする姿に泣けた。
    母親に思いを伝えたときは泣いてしまった。
    荒谷がまた良い。
    六花がどー考えてるのか、何をすべきか、クラスメイトに対してもきちんと向き合ってすごい。
    想いが通じて良かった!
    担任の矢地が最初どうかなと思ったけど、いい先生でよかった!
    おすすめ!!

  • 心の中を爽やかな風が吹き抜ける。

    前作の『金環日蝕』同様、本作もひったくりの場面から物語はスタートする。

    本作の軸となる人物は、車いすユーザーの少女・渡辺六花と怪我がきっかけで陸上を辞めた荒谷伊澄。

    同じ高校、同じクラスの新入生となった二人。
    気が強い六花と、そんな六花にたじろぐ伊澄の関係が変化していく様子から目が離せない。

    青春小説でありながら、人が社会で共生していく為に必要、かつ不可欠な事を伝えてくれる。
    自分を大切にしつつ他者の気持ちをわかろうと努力する事、想像する事。

    皆が心掛ける事で世界はカラフルに彩られる。

  • 『パラ・スター』で車いすスポーツのリアルを描いた阿部さんだからこその青春小説。
    車いすユーザーの六花と、入学式の日に駅でのひったくり事件を機に知り合った伊澄のふたりの成長小説ではあるのだけど、単なる青春小説で終わらないところが阿部小説の魅力。
    担任の態度やクラスメイトの態度や対応にイラっとしながら読んでいくのだけど、そのイラっとする気持ちがそのまま自分へと突き返されていることに気付いて深く内省。

    障がい者への対応や、無意識の差別、そこに悪意がないところに難しさがある。その辺りをとてもしっかりと描いていてこの世界に生きる老若男女すべての必読書ではないかと思う。
    将来の自分に夢見ていた少年少女が、その夢を失ったとき、その先の長い長い人生をどう生きていくか。
    なぜ生まれてきたのか、どうして生きているのか、なんのために生きていくのか。
    誰もが手探りで探しているその問いへの答えは多分ずっと見つからない。
    それでも今日を生きる。今を生きる。その一秒を紡ぎながら生きていく。
    知らないことが誰かを傷つける。良かれと思ってしたことが誰かの可能性を摘む。
    だから、知ろう。いろんな人がいる。自分とは違う誰かを知ろう。そう世界はとてもカラフルなのだから。
    全然関係ないけど、阿部さんはBUMP OF CHICKENのファンじゃないだろうか、とふと。

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著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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