- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093792172
感想・レビュー・書評
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何気なしに手にとった本です。音楽やら美術やら芸術的な才能に憧れがちなので、なかなか面白い題材でした。好奇心をそそります。
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・調査を元に論理的に話が展開されるので頭に入りやすい
・ただ、途中からこれ以上の展開はあまりないな、
と思ってしまい、
そこからは検証作業がずっと続くように感じられたのも確か。
・突飛なことは何もない。
きっちり積み重ねてこう言えます、ということを言っている
・そういえばそんな作家はそう見当たらないかもしれない -
絶対音感てのは例の、音名から音をイメージできたり音から音名がいえたりするやつ。この本は絶対音感と呼ばれるものの正体を、歴史的概観や多くのサンプルによって解き明かそうと試みている。
もちろん、音の高さに何らかのラベルをつけ、ラベルから音の高さを、音の高さからラベルを想起できる能力なわけだから、センサーとしての耳の良さと記憶力の良さは資質として必要だし、ラベル自体は西洋音楽の体系にのっとったラベルなのだから、後天的な、訓練やら何やらで実用化されるのだ、というのも当然のことだ。世界には1オクターブを12にわける音楽体系ばかりではない。いわゆる絶対音感教育は、音のセンサーとしての人間の耳に西洋音楽体系のタガをはめることなわけである。
何人かあたしの周囲にもいた。便利だとか、どうやら記憶力と相関があるようだ、とか、不便なときもあるらしい、とかも知っていたが、こちらにはない能力に、とりたててコンプレックスは持たなかった。音楽のプロとなるとそうもいかないらしい。どうやら『お受験』による弊害(といってもいいのかな)は音楽の分野にも及んでいるようなのだ。西洋音楽の緻密で複雑な体系を学ぶのに、あまりに便利なツールなのだな、この絶対音感というやつ。
あたしも、Aの音一個だけは記憶している。アマチュア・オーケストラなんぞ何年かやっていれば、このくらいは大抵の人が持つだろう。但し、あたしの場合は、日本のオーケストラで広く音合わせに用いられている442ヘルツのAである。なので、NHKの時報に用いられる440ヘルツのAだと微妙に低くて気持ち悪い、という(苦笑)、小さい頃から440ヘルツを基準に絶対音感教育された人とは逆の現象が起きるんである。まあ、ヨーロッパのオーケストラなんかでは445ヘルツが普通らしい。Aも時代につれどんどん高くなっているようだし。
後半はあの五嶋みどりの母がどのように娘や息子を音楽家として教育しているか、という話になっている。全体を通じ、絶対音感の正体そのものがテーマというより、絶対音感を解き明かすことを縦糸に、音楽家と音楽と音楽教育との関係が描き出されていく、という趣向のようだ。 -
本として面白いか?と聞かれると面白くないと思う。
絶対音感について著名な音楽家さんたちのエピソードをもとに解説されている。それは、著者の好奇心のなせる業。 -
絶対音感とは?と云う疑問の答えは分かりましたが、読み終えてもスッキリしませんでした…; 全体がまとまっていないように感じ、ちょっと読みにくい文章でした。
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世間で言われている 絶対音感神話 は本当なのか?
絶対音感とは そもそも何なのか?
様々な角度から 何人もの音楽家の実体験から 検証し 見直している。
絶対音感は音楽家にとって必要不可欠なものなのだろうか?
そもそも絶対とは何に対する絶対なのか?
今まで深く考えもせずに曖昧な概念を持っていた【絶対音感】というものを
再認識させてくれる一冊である。
自分なりの結論としては
限られた絶対音感――表現としては矛盾しているが 読むと理解できる――を持つならば 幅のある【ダイタイ音感】を持ちたい、ということである。
他の数多の物事とたがわず 音楽に於いても 中心にあるのは 生身の【人間】なのである。