- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093798747
作品紹介・あらすじ
前代未聞の潜入労働ルポ!
いまや日本最大の成長産業とも言われる宅配ビジネス。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手三社は日々、どこよりも「速く安く多く」運ぶための苛烈なシェア争いを行っている。だがその一方で、アマゾンをはじめとするネット通販の「即日宅配」まで可能にする宅配業界の現場は、いままでベールに包まれたままだった。そこで著者は、宅配ドライバーの助手に扮し、あるいは物流センターのバイトとして働くという、「潜入労働ルポ」を敢行する。そこで見えてきた、宅配戦争の「光と影」とはーー。アマゾン、ユニクロの内幕を暴き「企業に最も嫌われるジャーナリスト」の異名を持つ著者が放つ、衝撃のビジネス・ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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宅配業界の立場が弱い、ある種建設業界のような下請け構造になっているメカニズムがよく分かりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宅配は生活の一部になっている。
ネット通販したり、身内に荷物を送ったり。
宅配業者さんには感謝です。
だけど、宅配の仕事をしろと言われたら厳しいですね。
クロノゲートでの話は、衝撃。
慣れというのはいつでもどうしても出るよね。
なんか考えさせられるな~ -
インターネットの発達とともに、ネット通販で購入する人も増えていますが、消費者は便利を享受しても、その裏で働いている人たちがどれ程大変か?その一つに、配送という物がありますが、この当たり前に届くシステムの現場の現場をルポした一冊です。
作者自らが、その現場で実際に働いて分かったこと、それは消費者が思う事と離れている現実が。表に見えにくい部分だけに、それがどのようにして成り立っているのか。
確かに、送料無料も当たり前と感じてくる昨今のネット通販も、著書を読むたびに考えさせられます。 -
横田増生の著書は、丹念な取材や現場潜入という徹底した情報収集とともに、取材対象とは距離を置いた俯瞰的で冷静な分析がバランスしていて、読み応えがある。かつてのアマゾン潜入記、訴訟沙汰になったユニクロ本、そして少々意外なテーマの中学受験に関する本は、どれも面白かった。
今回、著者の得意分野である物流で、消費者にも身近な宅配便を扱うということで、これは読まずにはいられなかった。しかも、ヤマト運輸の羽田クロノゲートへの潜入記も含まれている。
本書で、ヤマト、佐川、日本郵便という宅配ビッグ3の歴史、ポリシー、得意分野などがよく分かった。また、セールスドライバーへの取材や潜入記によって、宅配便の抱える問題点も明らかになった。しかし、何か物足りないのも事実。自分でもよく分からないが、読み終わったときの納得感が少ないのだ。本書への期待が高すぎたのだろうか。 -
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3大宅配業者の仁義なき戦いを取材したルポ。宅配業者の実態を探るため、取材だけでなく、短期アルバイトとして仕分センターへ極秘潜入する著者にジャーナリスト根性を見た。
ネット販売により、企業発個人向け荷物が急増した時代にあって、その荷物を届ける宅配業は成長分野だ。しかし、アマゾンをはじめとする大手ネット販売業者がウリにするサービスは「送料無料」。顧客にすれば、宅配業者とは料金を払うことのない、目に見えない存在だ。それに加えて、業者間の熾烈な競争。営業努力に見合う料金を徴収することができない。
それでも荷物を時間通り日本全国へ届けなければいけないし、その設備投資も必要だ。その結果、宅配業者は従業員へ無償で壮絶な努力を強いている。
客がお金を払いたくないサービス業になってしまい、従業員へ適正な賃金を払うことができない。そんなドツボにはまっている3大宅配業者に将来の光明はあるのか。 -
過酷な勤務体系の中、低賃金で多くのサービス残業を強いられている宅配業。深夜の倉庫作業の多くが外国人によってまかなわれて居ると言うのも納得。実質コンビニのバイトよりも安いとは、ちょっと信じがたい現実。1利用者としての利便性に感謝しつつ、考えさせることが多くありました。配達員による再配達の手間を減らすためにも、今後コンビニでの受け取りなどを考慮に入れようと思います。
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宅配便に関して著者と同じような着眼点(疑問点)を持っていたので興味を持って読み進めた。帯にもある、「潜入労働ルポ」的な部分は、最終章のあたりだけだったので、少し期待外れで物足りなさを感じたが、その他の部分も知識としては勉強になった。
最近は書籍購入やCDレンタルでも宅配便を頻繁に利用するようになった。宅配業界が健全に存続するためにも、本文中で著者が述べているように、消費者側も利便性に応じた一定程度の負担をしていく必要があると感じた。 -
新聞の広告欄に記載があり興味を惹かれた1冊。これを読むと時間指定や再配達がどれだけ非効率で、また送料無料を可能にすることがかなりの負担を強いていることが痛感させられる。今後の宅配サービスを継続させるためにも業界全体で見直しの必要性を感じた1冊。
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元物流専門紙の編集長だった横田増生氏が、宅配業界の裏側について語る作品。
聞き取りの取材だけではなく、実際に運送会社のトラックに同乗したり、配送センターで仕分け作業まで勤めるという潜入取材を行っている。
本作では主にヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社に焦点を当てているが、3社の歴史や特色はまさに三者三様である。民意をバックに規制緩和を求め拡大したヤマト運輸、政治家との結びつきや社内闘争を経て成長した佐川急便、巨大資本を有するがサービスでやや遅れをとった日本郵便、といった具合。
大手3社の共通の問題点として、シェアの拡大と運賃の適正化が挙げられている。シェアを拡大するとなると、他社より運賃を安く設定するのが手っ取り早いのだが、収益が悪化し人材の確保が難しくなってしまうという、よくある二律背反である。
先般ヤマトがクール便の荷物を常温で扱うという事件が明るみになったが、シェア拡大を急ぐ経営陣と、不十分な環境で重労働を強いられる現場とのアンバランスが原因なのだと思う。この構造は牛丼店や居酒屋など、外食チェーンとも共通した問題なのではないだろうか。
増田氏が取材したドライバーの中にも、うつ病やクモ膜下出血など、明らかに過労が原因と思われる症状が現れている。Amazonで注文した商品が指定した時間に届く便利なサービスが、このような犠牲のおかげで享受できる事を忘れてはいけないし、宅配業界の経営者にも読んでいただきたい。 -
元国営と一般企業とでは全然違う
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昔、宅配便のドライバーは過酷だけど、給料はいいと聞いたことがあった。でも、ネット通販での宅配便が進化し、「送料無料」が当たり前で、採算がとれなくなり、そのシワ寄せはセールスドライバーに。また以前クール便の温度管理ができていなかったという問題があったけど、著者の潜入取材の様子だと改善されていないんだなぁ驚かされた。ネット通販をする者としては、有難い送料無料だけど、安心安全に届けてもらったり、現場で働く方の事を考えると、送料実費もやむを得ないかなぁと思います。後は、通販業者などと宅配業者の折り合いでしょうね。
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2022年40冊目。316ページ、累計11,406ページ。満足度★★★★☆
力作である。普段、日常的に利用しているヤマトなど運送会社の「実態」を著者自ら、現場で働く体験もして書き上げたもの。現在ではSGホールディングス傘下となった佐川急便の過去の黒い歴史など、これらの業界に就職・投資することを検討しているなら、必ず知っておきたい内容
想像はしていたが、業務は過酷。綱渡りの業務運営で消費者の利便性が確保されていることに感謝したい。 -
ヤマト、佐川、郵政各社の成り立ちが興味深い。佐川の営業所が少ないのは元々企業間の荷物を扱っていたからで、個人間荷物が主の宅急便なヤマトに比べるとそれは少ないはずだ。
本書では、佐川(正しくは佐川の幹線輸送)の横乗りと、ヤマトのベースでの仕分けでの潜入ルポをされている。フリーター時代にヤマトの早朝仕分けのアルバイトをした経験があり、午後指定の荷物は積んではいけない、配達日が翌日以降なら別のカゴへなど。クールのボックスも確かに電源に繋いだりしたな、と思いだされた。
物流業界の方々の苦労は計り知れない。多謝。 -
物流業界での取材経験も豊富にある著者が物流拠点への潜入レポや関係者への取材を通して物流業界の現状や問題点を書いた一冊。
佐川急便らヤマト運輸、日本郵便とここ10年で存在感が確固たるものとなったAmazonとの関係など物流業界の現状を知ることができ非常に勉強になりました。
自身の取材経験はもちろんのこと潜入や関係者の取材から現場の過酷さや生の声を本書で知ることができました。
東京佐川急便事件をはじめとする佐川の政治との癒着の真実やヤマト運輸の宅急便導入までの裏側、日本郵便のペリカン便に懸ける想いなど各社各様の深層を著者の取材や知見から知ることもできました。
また、送料無料が問題となった背景をより深く知ることができ非常に衝撃を受けました。
そんななかでも本書ではヤマトの小倉昌男氏の宅急便の構想を進めるべく組合を巻き込んだ話は本書で初めて知りました。
あと、羽田クロノゲートに潜入して体験したクール便の問題や荷物の取り扱いなどは考えさせられるものがあり、印象に残りました。
私たちが何気なく使っている通販やネットストアなどから送料無料という言葉の裏側にある現場の実態をドライバーや配送拠点から知ることができただけでなく、物流業界の送料や過労問題や貨物の問題など佐川、ヤマト、日本郵便各社が抱える問題が歴史的な背景とともに知ることができ、労働者や下請業者の立場から見ると普段何気なく使っている物流への見方が変わった一冊でした。 -
ルポ
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★やはり潜入してほしい★著者のルポを少しずつ遡りながら読んでみる。宅配業界の概略、ヤマトと佐川の違いを理解するには役に立ったが、やはり著者の真骨頂は潜入ルポにあるのだろう。ここでは1カ月のバイトなのでやや食い足りなかった。まっとうな解説本ではあるが、ストーリーテリングの技術が高いわけでも対象への(ユニクロのときのような)怒りがあるわけでもないので、やや平板に感じる。
とはいえ、得られた知見は多い。佐川が小口のBtoB、ヤマトがCtoCで始まり、ネット通販の拡大でいまの宅配便市場はBtoCが6割というのは興味深い。SGHDの栗和田会長は佐川清の前妻の子で、30歳ころまで父に会ったことがなかったとは。幹線の長距離輸送は下請けに出しているのも知らなかった。それが売り上げの3割ほどを占めるという。