- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864565
感想・レビュー・書評
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『夜行』に関してはまず絶対に言っておきたいのが、必ず単行本を手にしてほしいということ。例えば今後文庫版が発売したとしても最初は単行本を手元に置いてほしい。図書館で借りてくるでもいい。なんでもいいからとにかく単行本に触れてほしい。なぜなら内容よりもまず表紙が好きだから。カバーの絵柄だけなら手にしなくてもわかるけど、『夜行』と言われてこんなにイメージの合致する装丁、触り心地、何を取っても満点。だから騙されたと思って単行本を選んでほしい。騙されても責任とらないけど。
森見本にしては珍しいミステリー系。ミステリーは馴染みがないので読むのにかかるだろうなあと思いきや三日間暇さえあれば読み続けすぐに読破した。ミステリー×森見登美彦なのに文体はとってもマイルドなので正直文体だけで言えば過去作の中でも初心者にオススメ度高いのでは??
ただし内容が森見登美彦節全開どころか振り切ってるまである。
森見作品は総じて気合い入った時に一気に読むのがベストなので、数日間かけてちまちま読むのは内容がぼけるし惰性みたいになるのでオススメできないが、殊この作品はそれが顕著だと思う。
一気に読んでも二週はしないと核が読めてない気がするので小分けに読むと最悪のような感じがする。
追記する -
不思議な出来事が起きて、解決することはない。
たとえ小説であろうと、物事をきちんと論理的に整理して理解したいバリバリ理系脳!の方には向いていません。
物語全体に漂う不思議さ、雰囲気、情景、文体、みたいなものを、ただそのまま味わうような読み方がよいかもしれません。
「きつねのはなし」のときの不気味でホラーじみたダークな部分が前面に出た話ですが、あまり重苦しいとか怖い感じというよりは、ファンタジックな感じに少しの寂しさがプラスされたような、そんな読後感。 -
十年前に鞍馬の火祭りを訪れた5人に降りかかる不思議な体験を描くファンタジック・ホラー。
「夜行」の世界と「曙光」の世界を行き来しながら、時間も空間も超越する物語は狐につままれたような感覚になるけど、これがとても心地いい。
謎は謎のまま終わるけど、すっきりしないことはなく、むしろ謎がいい余韻となる類まれな作品。
お気に入りの一冊になった。 -
少し怖くてぞくぞくしたけれど、とても面白かった!京都が舞台じゃないとなんかしっかりしてる森見さん。久々のめり込んだ読書だった。「夜行」「曙光」表裏一体の世界。どっちにも「私」はいるけれど、全然違う人生を歩んでいるんだ。これは今までに出会ったことのない視点だ。人生違うなら行ったり来たりしてみたい。どちらかというと「夜行」の世界の方が好みかな。夜行列車も好きだしなあ。青森の五能線、ストーブ列車、飯田線など鉄男と鉄子が唸るチョイスもなかなか。五能線はいい。また乗りたい。私を「夜行」の世界へ運んでおくれよ。鉄道。
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メビウスの輪のように
一度夜の世界にはいったら
永遠に終わらない
夜をたどっているのではないか
という疑問が恐ろしいです -
森見登美彦さんは、「ペンギン・ハイウェイ」と「夜は短し歩けよ乙女」を読んで好きになったんだけど、世界観が独特すぎてなかなか次の手が出せなかった。「夜行」、途中だけど、もう好き。
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同じ世界を、夜と朝という二面から見た作品で、ある芸術家の作品を軸に話が展開する。
そこにあるはずの世界と交わることができない、取り残されたような感覚は、なぜか知ってるような気がした。
読了後も夢見心地。余韻のある物語だと感じた。 -
森見登美彦の本の中で一番好きかもしれない。
独特の進み方と情景描写の奇妙さからくる?
「不思議な世界観」に引き込まれて、僕も迷い込んでしまいそう。