小説 心が叫びたがってるんだ。 (小学館文庫 と 8-3)

  • 小学館
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094062120

作品紹介・あらすじ

『あの花』チームが贈る、青春アニメ小説版

言葉は人を傷つける――幼いころ、何気なく口にした言葉がきっかけで家族がバラバラになってしまった成瀬順は、突如現れた“玉子の妖精”にお喋りを封印する呪いをかけられてしまう。それ以来、トラウマを抱え目立たないように生きてきたのだが、クラスメイトの拓実、菜月、大樹と共に「地域ふれあい交流会」の実行委員に選ばれてしまった。さらには出し物に決まったミュージカルの主役にまで抜擢されて……。優しさゆえに本音を口にしない拓実、不器用だった過去の恋愛に悩み続ける菜月、甲子園を期待されながら肘を壊した大樹、それぞれが葛藤と苦悩を抱えながら成長への一歩を踏み出す、感動の青春群像劇。大ヒット映画「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」を生み出したスタッフが再び集結し、秩父を舞台に感動のドラマを繰り広げる劇場作品「心が叫びたがってるんだ。」を完全小説化。原画&劇中カットを収録したスペシャルカラー16ページ付き。

感想・レビュー・書評

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  • 青春だな~
    こういう、みんなで何かを成し遂げるっていう話はいいよね~
    言葉って難しい。
    知らないで、相手を傷つけてしまう場合もあるし。
    黙っていたら相手に何も伝わらないし。
    そういう事を乗り越えて成長していくんだよね。

  • ぜひ映画で観てみたい。
    物語としては最高だけど小説としては、、、汗

    残酷な世の中にはこういう透き通るように純粋な物語がいつだって必要だ。そしてそれを見た人々は得たものを実生活の中でもきちんと反映させなくちゃいけない。でもそれができないから世界は言葉の暴力であふれてる。一回口から出た言葉はもう取り消せないんだよ。それを分かった上でそんなひどいこと言うの?言われた人の心の痛みを分かってほしい。

    心が叫びたがってるんだ
    このタイトルにまず惹かれる。主語は人ではなく心という形のないもの。それでいて誰しもがもっているもの。
    そんな心がさけびたがってるんだって。今の私の心もまさにこんな感じ。言葉で言い表させないもやもやをどんどんどんどん自分のなかに溜め込んでしまったらさいごにはどうなるんだろう。
    だからこの物語の登場人物たちみたいに自分の心の声を勇気を出して表に出すこと。


    個人的に最後の拓実と菜月のやり取りいらないかなあ笑 結局そうなるんかい、って思っちゃうから…

  • 読んだ後、清々しい気持ちになりました! 幼い頃自らが発した言葉のせいで家族を引き裂いてしまった過去が呪いとなり言葉を発せなくなってしまった順ですが、彼女の心は人一倍叫びたがっていたことが伝わってきました。「言葉は誰かを傷つける」とふれあい交流会でのミュージカルの本番から逃げ出した順に、「俺を傷つけていいよ」「傷つけていいから、おまえの本当の言葉、もっと聞きたいんだ」と自分の真摯な想いをぶつけてくれる拓実がとてもカッコよく思えました!

  • まあ、このお年頃はみんな悩むよねー。

  • 小さな時おしゃべりが大好きだった順は
    玉子の妖精に口にチャックをされた。
    それから話すとお腹が痛くなってしまう。
    だから一言もしゃべらなくなったが
    高校の秋、ミュージカルの主役に抜擢され
    仲間と一緒に成長し、のびのび生きていこうとする物語。
    高校が舞台になっている青春のストーリーで
    読むなら今しかない!!

    by わにお

  • んー

  • 過去のトラウマに関して自分が書く小説に近いものがあったので読みました。

    人間関係の脆さや人の心の弱さがとても心に響いています。言葉一つで人間関係が崩れるなら人間って弱いものだと改めて感じました

  • この手の小説をあまり手に取らないため、あまりにサクサク読めることに驚いた。情景描写やモノローグが少なく、会話文が多い。

    順の全面緘黙は、物語を書く才能を生み出した。
    昔、谷川俊太郎とねじめ正一の「詩のボクシング」と言う即興詩を語り合う番組があった。「ラジオ」をテーマに谷川俊太郎が作った詩は、確かこんなだ。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    書かれた言葉は消せる。

    消しゴムで、修正インクで、パソコンのデリートキーで

    でも、言った言葉は消せない

    だから、忘れてください

    今日、私が言ったこと、みんな忘れて帰ってください

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    「ほら、やっぱり喋っちゃいけなかったんだ」
    と言う順の気分は、痛いほどよくわかる。
    喋り慣れてない人間は、傷つけ慣れてもいないのだ。
    お互い様の関係を築けて来なかったのだ。



    順の精一杯のわがままと想いを、ここまでみんなで受け止めていくというクラスは、実はありそうでない。順をいじめるタイプが一人以上いて、タクミはいくら優しくても周りの目が気になってここまでは動けず、新しいロマンスという順への置き土産もなく、というのが現実である。
    物語をよくしようと思ったら、複数の人がここまで勇気を出さないといけないという厳しい教えである。

    この話は、リーダーとは何かを考えさせられる話でもあった。

    一人一人の意見を尊重できるクラス。言い換えれば一人一人がリーダーになれるチーム。それがリーダーシップだ。

    ミュージカルの脚本を紡ぐ順、協力するタクミ、飄々と誘導する担任・・・みんなで本音を言い、みんなでフォローする。でしゃばりが人の気持ちを考えずにグイグイ行く姿はどこにも見られない。たいていの似非リーダーは、ただ大胆なだけだったりするが。

    もちろん、このイベントが必ずしもクラス全員にとってかけがえのないものではないということも忘れないでおきたい。
    義務で割り振られたイベントで、順のためだけのミュージカルではないし、一人一人が成長できたのも本当だろうが、個人差がかなりある。順の気持ちを一番汲み取って協力してくれたことは確かだ。
    団結には譲歩、妥協も含まれている。

    従ってミュージカルが成功して、クラス皆が泣くことはない。やることやったけど感動しなかった人をせめてはいけない。

    たとえ卒業後に誰も連絡を取らなくても、在学中には健全に機能している。それがいいクラスだと思う。

    在学中は、学校が全てだ。クラスメイトというある種の縛り、共通項の中で、同じ時間を過ごし精一杯生きる。だから、楽しいのだ。
    卒業後はそれぞれの新しいコミュニティがあり、そこで今の精一杯を生きる。
    同クラという共通項が取れた卒業生が無理に片手間に集っても、当時以上のきらめきは生まれまい。だからって、当時のクラスの思い出さえどうでもいいと言うつもりは全然ない。
    それでも集いますか?いや、思い出を胸に今の人生を煌めかせます、と言うのが個人的な意見。

  • ミュージカルを成功させるという目標にクラス一丸となって挑む青春群像劇。

    過去のトラウマや人との距離感が見事に描き出され、みんなで1つのものを作り上げる時の心の機微や苦悩が痛いほど感じられた1冊。

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著者プロフィール

大分県生まれ。成蹊大学文学部卒業。オリジナル小説『病名のない診察室』『台南の空ゆかば~ボクとうさぎのマンゴーデイズ』のほか、ノベライズ作品に『燈火 風の盆』『見えない目撃者』『最高の人生の見つけ方』など多数。

「2022年 『アニメ 五等分の花嫁 ノベライズ 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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